北風が強く吹き、夏のにぎわいはなく、人も少なかった。
子供が二人、海に入りたそうにしていたが、風も冷たく、
海にはとても入れない。お母さんが浜辺で拾ったタカラ貝を子供の
耳にあてて「ほら、海の音が聞こえるよ」と教えていた。
子供は不思議そうに海の音を聞こうとしているが、子供二人で
「貸して貸して」と取り合いが始まる。
私も子供の頃にまったく同じことをしてもらった。
あのときも、従兄と一つの貝を取りあった覚えがある。
「ウチにタカセ貝の殻がたくさんあるから、帰りによって
帰るか?」と言いそうになったけれど、カラカラ先生から、
あまり観光客に迷惑をかけないようにと言いつけられているので、
何も言わなかった。
貝を耳にあてて聞こえる音は海の音ではなく、本当は自分の中から
聞こえる音。「本当はね、これは自分の心の中から聞こえて
くる音なんやで」
ダメダメ!子供の夢を壊すような事を言ってはダメ!
もしも女性が一人浜辺で拾った貝を耳にあてているのをみたなら
「君の心の中にも海があるんやで」とかなんとか余計な
事を言うに違いない。
子供の頃は、貝の中から聞こえるはずの海の音を一生懸命に
聞こう聞こうとした時期があった・・・・・
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