宮古島には4種のセミが分布し、ツマグロゼミは
そのうちの一種。宮古では、上野の新里集落など
一部地域にしか生息していない市指定の天然記念物である。
ツマグロゼミは小型の美しいセミで、体長2〜3センチ。
前脚の先端部分に暗色の紋があることから
ツマグロゼミと名付けられている。
例年だと5月中旬から7月中旬にかけて出現し、
6月上旬から中旬が出現の最盛期である。
このセミはいくつかの面白い特徴を持つ。
分布は八重山諸島(一部の島を除く)と宮古島から知られ、
宮古島が分布の北限で宮古島の中でも限られた地域に
だけ生息している。
体色は八重山のツマグロゼミは青緑色タイプのみで
個体差がほとんどないのに対して
宮古島のツマグロゼミには青緑色、橙色、中間色の
3つのタイプがいる。
八重山では主に山地性のセミで、多種類の樹木に
見られるそうだが、宮古島では一部を除いていずれも
人家の庭などに植栽されているイスノキにいる。
また、セミは通常、頭を上にして木にとまっているが
ツマグロゼミは頭を下にむけてとまる習性がある。
逆さまになって木にとまる習性があるのは、本土の
山地に生息するエゾゼミが知られているが、
沖縄ではツマグロゼミだけである。
例年であれば新里集落周辺で、その鳴き声が響くが、
今年はほとんど聞こえないと新聞に載っていた。
今年は梅雨の長雨と降水量の影響からか羽化する個体が
少なく抜け殻を確認したのは70匹あまりにとどまっているそうだ。
ツマグロゼミを増やすための施設もあるが、
北限の維持に危機感をを募らせている。