『 Time Out! 』をひさしぶりに通しで聴いた。
僕は佐野元春フリークを自認してるんだけど、
このアルバムは、発売当時もピンとこなかったし、
その後もそれほどシンパシーを感じることができなかった。
今回 何気なくバスルームで聴いたんだけど、
当時 見えなかったものを朧気ながら感じることができた。
『 Time Out! 』というアルバム・タイトルは、どういう意図でつけられたんだろう?
まんま意味の「小休止」「中断」なんだろうか?
それとも、今どきのアメリカ家庭の一般的な子どもの叱り方の「 Time Out 」なんだろうか?
NY の雑誌「 Time Out 」からのインスパイアなんだろうか?
アルバム発売当時の世情は、まさに混沌と停滞だった。
冷戦は終結したが、民族紛争が続発し、
相も変わらず戦争に向かおうとする社会状況。
盤石と思われた日本経済では、バブルがはじけた。
佐野さんは、オープニングで「僕は大人になった」と宣言し、
The Who を思わせるロックンロール「クエスチョンズ」では「革命する」と叫ぶ。
「夏の地球」では地球温暖化に警鐘を鳴らし、
パーティ・チューンの「ガンボ」でバブル経済のバカ騒ぎを風刺し、
「誰かここに来て 救い出してほしい」と冷静につぶやいてる。
そして、ラストの「空よりも高く」では、嵐の中、朝日の当たるわが家へ帰っていく。
1990年の世界や日本の状況と現在のそれは、奇しくも似通っている。
この閉塞感をぶち破るヒントが、このアルバムにはあるのかもしれない。
だから今回、シンパシーを感じることができたんだろう。
「時間がないから 僕はゆく 先に僕はゆく」
そう、僕らにはこんな世情にかかずらわってる暇なんてないんだ。
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