
いわゆるジャケ買い。
装丁、とくに帯の、凜々しく砂漠を闊歩する沙悟浄のイラストと
コピー「俺はもう、誰かの脇役ではないのだ」が気になって
ネットで買ってみた。
この本は、中国の古典・故事をフィーチャーした連作集。
日本人にも馴染みが深い有名な物語や人物ばかりだから、
僕のような無学の徒にも入りやすかった。
著者曰く、古典の脇役たちが主人公だ。
「西遊記」の沙悟浄
「三国志」の趙雲子龍
「四面楚歌」の虞美人
「荊軻刺秦」のテロリストと同音名の官吏
「史記」を著した司馬遷の娘
何を意図して書かれたアンソロジーなのか?
万城目作品初体験の僕には皆目見当がつかなかったけど、
オルタナティヴな解釈で古典・故事が描かれていて楽しかった。
今回、主役に抜擢された脇役たちはみんな、心に鬱屈を抱えている。
その鬱積された何ごとかが晴れていく(消されていく)ストーリーは、
読む人を少しだけハッピーにする。
万城目作品は読んだことなかったが、
家には嫁さんが買った彼の作品が何冊かあるはずだ。
こういうオフビートな作品が他にあるのなら、
ちょっと読んでみたい気がする。