SIDEWALK TALK

本物のセレブリティ

須賀敦子さんのような方が、本来、セレブリティと呼ばれるべき人なんだろう。
亡くなられて、もう20年ちかくになるのかな?
とにかく、須賀さんの文章の美しさは比類がない。


ミラノ霧の風景―須賀敦子コレクション (白水Uブックス―エッセイの小径) ミラノ 霧の風景

 須賀 敦子
 価格:¥ 914(税込)
 発売日:2001-11


翻訳活動など、多方面で活躍した須賀さんだが、
僕は彼女のエッセイがとくに好きだ。
なかでも、自身のイタリア(ミラノ)時代の想い出を綴った
『ミラノ 霧の風景』は白眉の1冊。
理屈抜きに、タイトルがイカしている。


セレブ特有の厭味など微塵もなく、
須賀さんの繊細な洞察を特有の美しい文章力で表現している。
また、この作品の重要なスパイスになっている
須賀さんのユーモアのセンスもピカイチだ。
何よりも自由、かつ可憐なところがカッコイイ。


荒廃した今の日本では、
もう須賀さんのような上品な随筆家は現れないような気がする。
そういった意味でも、この作品は貴重な1冊だと思う。

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