筆頭は、織田信長と坂本竜馬になるんじゃないかな。
二人ともおよそ日本的な秩序感とはかけ離れた人間で、
神がつかわした天才としかいいようがなく、日本の歴史を大きく回天させた。
地方(尾張)の小勢力からのしあがって天下に号令した信長はもちろんスゴいけど、
竜馬に関してはいえば、出自は郷士身分にすぎず、権力など生涯もったことがなく、
海軍といっても艦船が1艘あるだけで軍事力などというほどのバックボーンもなかった。
そんな一介の浪人が大名や外国公使と対等に渡りあえたのは、
いったいどういう機微が存在してたのだろうか?
「維新史の奇跡」としかいいようがない。
今では日本人ならだれでも知ってる竜馬だが、
維新後は無名の存在になっていた。
竜馬の名がにわかに世間に思いだされたのは、日露戦争が契機だった。
以下はうろ覚えだから、詳細については曖昧だけど、
日露戦争が不可避なものとなったとき、戦争独特の高揚感は国民のなかにあったものの、
日本は敗れてなくなる(占領される)んじゃないかという不安感が国内に横溢していた。
遼東半島で戦闘する陸軍はなんとかなるにしても、
バルチック艦隊と海戦し、しかも1隻のこらず沈めなければ制海権を握られ兵站の輸送ができなくなる海軍は、
とくに不安を感じていた。
そんなとき、皇后陛下の夢枕に坂本竜馬と名乗る武士があらわれ、日本海軍の守護を約束した。
この夢を、皇后は田中光顕をはじめとする土佐系の宮中関係者にお話しした。
さすがに皇后の夢を他言することをはばかった田中たちだが、
皇后陛下は翌日もおなじ夢をみたと侍従に告げた。
そこで竜馬の写真をお見せすると、はたしてこの人物にまちがいないとのお言葉を得た。
このエピソードがリークされ、新聞紙上で話題となり、竜馬は一躍世間に知られることになる。
バルチック艦隊との日本海海戦では、連合艦隊はパーフェクトゲームでロシアを破り、
結果は皇后の枕頭にあらわれた竜馬の予言どうりになった。
この功?により竜馬は軍神となり、靖国神社に奉じられた。
前置きが長くなったが、ここからがこのエントリーの本題。
麻生外相が小泉首相の靖国神社参拝問題に関連して、
A 級戦犯について言えば、靖国神社は戦死者をまつるところで、
戊辰の役以来、戦死者しかまつっていない。
(しかし)戦死者ではない方がまつられている
と述べ、A 級戦犯を分祀すべきだとの考えを示した。
泉下の竜馬は、どう思っているのだろうか?
もっとも本人は軍神なんかになりたくなかっただろうし、
自分が戦死者(殉国者)かどうかについては無頓着だろう。
幕末、西郷隆盛と維新後の政府の閣僚名簿を議論しているとき、
名簿に竜馬の名前がないことを西郷が指摘すると、
「オレは官僚なんかにならない。世界の海援隊でもやるさ」
と、嘯いた竜馬だから、木で鼻をくくったような顔をして笑ってるんじゃないかな。
とにかく、死者の霊はそっとしておくべきだと思う
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