
百人一首で詠まれる小倉山の中ほどに位置し、秋は全山紅葉に包まれる。
建立されたのは桃山時代だけど、
平安時代、小倉山には藤原定家の山荘「時雨亭」があったとの伝承もあり、
古より紅葉・新緑の名勝として芸術家たちに愛されてきたんだろう。
弊社には有田焼「真右エ門窯」さんというお客さまがあり、
現在は、2代目 馬場九洲夫 先生が当代としてご活躍されている。
僕が論評するなど畏れ多いことだけど、真右エ門窯さんの作風は、
白磁が美しい有田焼に、あえて鮮やかなルビー色の辰砂(シンシャ)や結晶釉などの窯変物をフィーチャーし、
わずかに残る白磁部分を際立たせている、唯一無二の器だといえる。
前置きが長くなった。
今般、九洲夫先生と嵯峨御流華道家 辻井博州・ミカ 両先生による色彩の共演
「小倉山で出会う色彩展」が、常寂光寺で開催された。
ご招待をいただいたので、京都まで足を運んだ。
芸術などこれっぽっちも解さない僕だけど、
常寂光寺の新緑と伽藍、
意表を突く色合いとユニークな形状の花器、
大胆に生けられた花や植物、
これら3つの要素が絶妙のバランスで表現されていた。
九洲夫先生とは毎週のようにお会いしてるし、それに JC の先輩でもある。
何よりも飾らない気さくな方で、僕のような若造にも気安くお声をかけていただけるんで、
お客さまとはいえ、(失礼ながら)心安い存在だ。
けど、改めてこういう圧倒的な"美"の世界を突きつけられると、
遠い存在に思えてしまう。
そんなことを思いながら、
おととい、佐賀県有田の先生の工房を訪れた。
普段よりいくぶん緊張していた僕だけど、
先生はなんの気取りもなく、相変わらずのスマイル。
一流の人ってのは自然体なんだよな、やっぱり!