話は盛り上がってきたが誰もあの日の事を話す者はいなかった。
そして校長が「さて皆さん話はつきませんがそろそろ時間です。私は先に失礼しますよ」と言って席を立った。「青木君、またお会い出来る日を楽しみにしていますよ、ではお元気で‥、先生方、子供達をお願いしますよ」と教室を出て行った。私は「えっ、校長」と追いかけようとしたが梅野が「先生」と私の手を握り締めた。吉田も佐藤も示し合わせたように席を立ち「さ、お前らも下校の時間だ、俺たちが引率するから帰るぞ」と子供達に促すと「ちぇ、もう少しいてぇな~」と青野が行った。佐藤が「残念だ、これでお別れだ青木元気でなまた会えるのを楽しみにしてるぞ」吉田も「残念だ、元気でな、ささ、ガキども行くぞ」「は~い」と教室を出て行った。と、利が戸を開け「御暑いこって」と言って吉田に「邪魔するな、すまん、じゃ‥」そして用務員さんも「梅野先生、私も最後の学校の見回をしてから行きます、青木先生お元気で‥」と出て行った。シ~ンとした教室。梅野が「先生、玄関まで送ります」何がなんだか訳が分からず困惑している私の手をつかみ席を立った。続く。
