たつのこ半畳記 350

坐禅会情報・四季折々の様子を伝えるときどき日記。
令和3年に開創360年を迎えている起雲山大龍寺のブログです。

★解体工事を止める

2008年10月23日 | マンション問題
本堂正面に10階建てのマンション建設の話。

今月から解体工事が始まっています。

まず低層家屋(1階RC駐車場+2階木造住宅)の解体が終了し、
今週からRC5階建てマンション部分の解体が始まりました。

想像を遙かに超えた騒音・振動・粉塵が発生して、
通常の生活をしていくことが困難な状態に巻き込まれています。

事業者と寺院とのお互いの人間関係を良好にしつつ
話し合いを進めていこうと配慮してきましたが、
先方の工事のすすめ方を目の当たりにしたことによって
その考えが寺院の保全という観点からすると
非常に甘かったということがわかってきました。



以下、今週の4日間の動きです。



■■月曜日■■
 2階から4階までの廊下部分(手前)の解体が行われていたようで、本堂がユラユラと揺れていました。次の日わかったことですが、近隣住民から振動と粉塵の苦情が役所に行っていたそうです。




■■火曜日■■
 5階部分から順次フロアの解体が始まったみたいで、たつのこ寺全体がユッサユッサと揺すられている?感じでした。人によって感じ方は違いますけど、震度3?ほどの横揺れが一日中続いているようなものでした。

 それでも午前中は、お寺の者は我慢をしていましたが、建設業界に携わる檀家さん(世話人をしてくれている方)が午後になって別件でお寺に来た所、解体工事のやり方が近隣住民を無視した非道く乱暴なやり方であることがわかりました。

 すぐさま役所の公害課に連絡をしたところ、既に別の近隣住民から怒りの通報があったようで、公害課の方が現地の確認をしている最中でした。引き続き、たつのこ寺にも来ていただきました。

 併せて現場に赴き、工事の中断を申し入れました。すると現場の人は「監督が文房具屋に買い出しに行っていて止められない」「解体工事は住民への了承が得られている」との旨を主張されたまま。その後しばらく経って解体工事が止まり、現場監督がたつのこ寺に来て交渉が持たれました。


◆指摘1 解体のスピード
 5階建てマンションの解体が始まって1日半にしては、進捗具合が早すぎる。RCを大きなペンチのようなモノで挟んで潰すという話だったが、実際にはスピードを優先するためか引きちぎって解体をしていて、騒音・振動・粉塵を引き起こしている。

◆指摘2 振動対策
 粉砕したガラ(解体した残骸)を寄せ集めて、その上に重機を載せることによって振動を軽減する事ができるが、解体開始時にはガラがない。他の現場から調達したり、砂利などを用意する事なく解体を始めた事が振動の元になっている。

◆指摘3 水かけの量
 粉塵対策として水かけをしなくてはならないが、5階部分へ水を掛けるための水圧が不足していることを理由に、ホースの本数を重機先端と地面からの放水の2本にしていた。通常であれば、3本から4本用意すべきではないか。水圧の低下について対策を取らずに水量(ホースの本数)を減らしたため、粉塵が舞い上がるのではないか。

◆指摘4 家屋調査の再実施
 近隣住宅へは地境でなくともの家屋調査をしていることがわかった。地境だけやればわかるとの説明のもと、地境の墓石のみ家屋調査をしたのは何故だろうか?たつのこ寺の本堂は高床式RCなのだが、振動に弱く、影響が出やすいと判断し敬遠したのだろうか。
 本堂・庫裡の家屋調査を早急に実施することをお願いした。


 上記等の指摘点を持ち帰ってもらい、家屋調査するまで工事ストップとのことでその場は終えました。しかし1時間ほどして「振動が少ない方法にするから工事を再開したい」とのお願いが来ました。世話人さんは帰った後だったため、「お互い様なので…」ということでOKしました。ただ、これが新たなトラブルを生むことになってしまったのです。



■■火曜日・工事再開■■
 工事が再開されました。再開からしばらくは中断前よりも振動は軽減されていましたが、その後、まさかの事態に…。工事を中断する前よりも激しく、まるで「当てつけか!?」と思うほどの振動・騒音が終了時間まで続き、その日の工事は終了しました。




■■水曜日■■
 当たり前のように、朝から工事が再開されました。防音壁を支えている壁面部分を残して上から順番に解体しているようです。結局、騒音・振動・粉塵は改善されず、元に戻ってしまったようでした。

 本堂と庫裡の家屋調査を翌日に行うことになったと、世話人さんに連絡したところ、家屋調査をする前に工事を再開させてしまうと、騒音・振動の酷い作業を敢えてやられてしまう恐れがあって、本堂の保全ができない!とアドバイスが入りました。急遽、たつのこ寺にて近隣の総代さん方にも集まっていただき、対策を協議しました。

 結果、本堂と庫裡の家屋調査と総合企画会社(折衝窓口)からの十分な説明を得られないままの工事が行われた場合は、今後に大きな問題を抱えることになるということで認識を1つにし、翌日を迎えました。




■■木曜日■■
 朝。
 家屋調査があるのに当然のように工事をしようとしていたため、現場監督に直訴しましたが、監督は「自分には工事を止めるだけの権限がない。工事は時間通り開始する」「自分が被害のあるという家屋に行くから了解して下さい」と主張するばかり。監督が現場を離れても良いのかなぁ…と思いつつ押し問答をしていたが埒があかず、一緒にいた世話人さんが「現場に一般人がいたら工事は出来ないだろう!上司に報告しなさい!」と現場のガラの上に居座り。たつのこは、解体業者・総合企画会社・区役所に連絡を取り始めました。

 しばらく経って携帯電話経由で解体現場監督の上司から連絡があり、家屋調査が終了するまで工事は再開しないということになりました。

 また、役所の公害担当の方と総合企画会社の担当さんにも来てもらい、説明と現実が余りにも違う事と、近隣に対する配慮の感じられない作業実態への対処を求めました。


 緊迫した協議を経て、今回の件についての回答を業者からいただく事になりました。明日の午前中。公害課の方の同席も非常に心強いものです。





■■感謝■■
全く別件でたつのこ寺に来られた世話人さんの指摘によって、
今回の解体工事が「お互いさまだから」という我慢の限界を逸脱した
非常に強引なすすめ方であることに気付かされました。

最重要に考えるべきはたつのこ寺の本堂が被害を受けないことで、
本堂の保護のために必要なことをハッキリと要求しなくてはならない。

そのために努力していきましょう!と手を携えてやってくれる人が
最も危機的な状況の中で現れてくれたのが有り難いことです。


たつのこ寺は、たくさんの人に護られています。


そのことを、今、ヒシヒシと感じています。
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2 コメント

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失礼いたします。 (tenjin95)
2008-10-24 10:12:02
> 管理人様

難しいところではありますが、一方で檀家さんから預かっている寺院という「法人」を守るためには、言うべき事は言う、或いは言ってもらうという態度が必要なのでしょうね。特に、相手が信義を通さないというのであれば尚更に・・・
返信する
Unknown (kiun350)
2008-10-25 19:45:27
tenjin95さま
1つのお寺を預かる身の苦労を感じています。ちっょとフォローをしないといけないこともあります。
建てようとしているマンションについては残念ですし、返ってくる回答も全然ですが、交渉窓口となっている総合企画会社の担当の方は、非常に紳士的であるという事です。交渉打ち切り!という態度ではないのが唯一の救いです。
返信する

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