自由民主党萩生田光一政調会長は、統一教会問題に対して次のような見解を述べたと東京新聞が伝えている。東京新聞「旧統一教会への解散命令は困難 自民・萩生田政調会長」(2022年10月2日 15時36分 (共同通信))
自民党の萩生田光一政調会長は2日のNHK番組で、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)問題を巡り、宗教法人法に基づく教団への解散命令は困難との見方を示した。「司法の判断ということになる。所轄庁から解散を請求できるが、法令に違反し著しく公共の福祉を害すると認められる行為をした場合などと規定されている。難しい」と述べた。
此の配信記事を読んで即座に気付く事がある。それは自民党内にいる統一教会関係議員及び自民党執行部は、本年一〇月三日に召集される臨時国会改正前に、国会議論が予期せぬ方向に動いてしまうことを警戒して予防線を張ったものだという点にある。具体的には、羽生田政調会長は、統一教会問題を、消費者保護法制中の消費者契約法や特定商取引法と、宗教法人法の範囲内に押しとどめたいのだ。
そのため、羽生田政調会長は、宗教法人法で定めた第一条2「憲法で保障された信教の自由は、すべての国政において尊重されなければならない。……」があるために統一教会の解散は難しいと論議の中心をこの条文を中心にして時間稼ぎをしたいと目論んだ。
何故に羽生田政調会長がこのような国会議論を誘導するような発言をしたのかと云えば、国会での議論が憲法二〇条③「国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。」にある政教分離問題に再び累が及ばないようにするため、あえて世間のひんしゅくをかってでるという作戦にでたのだ。おそらく自民党、特に萩生田政調会長に憲法二〇条触れないような国会運営を求めたのは公明党であろう。公明党は憲法二〇条の政教分離という高いハードルを宗教上の教義を、解釈を変更してまでして国会に留まっているからである。公明党にしてみれば「寝ている子を起されてしまった」のが統一教会問題なのだ。
公明党が、憲法二〇条に違反していると論議となった理由は、同党が国会内に国立戒壇を設けることを宗教の教義としていたからである。では統一教会はと云えば、文鮮明の指示で「国会内に自民党安倍派を中心に一二〇名以上の国会議員により統一教会を作ること」を目標とした宗教団体とされている。日本の憲法を無視した宗教団体が、信仰の自由を保障するように要求するのは「盗人猛猛しい」以外のなにものでもない。国会議員は、選挙民による民意として選出されるものである。ところが文鮮明は「私は統一教会を絶対的に支持する」ことと「統一思想は人類を解放することができる思想であることを受け入れる」ことなどを誓う誓約書を提出した議員に選挙支援をあたえたと断言している。したがって統一教会から選挙支援を受けたければ、統一教会に「誓約書」を提出しなければ支援は受けられないのだ。統一教会系国会議員は,国民を裏切る行為だと云われても致し方のないことなのだ。
心ある自民党国会議員は、統一教会関係議員を除名処分にするか、自民党を分裂させる位の覚悟が必要ではないのだろうか。このままでは、選挙で「自民党」と記載することはありえない。なぜならば投票用紙に自民党と書くことは、統一教会関係議員を「禊」させてしまうことになるからである。
最後に衆議院政治倫理綱領を載せておく。衆議院議長には特に読んで頂きたいものである。
政治倫理綱領
政治倫理の確立は、議会政治の根幹である。われわれは、主権者たる国民から国政に関する権能を信託された代表であることを自覚し、政治家の良心と責任感をもつて政治活動を行い、いやしくも国民の信頼にもとることがないよう努めなければならない。
ここに、国会の権威と名誉を守り、議会制民主主義の健全な発展に資するため、政治倫理綱領を定めるものである。
- われわれは、国民の信頼に値するより高い倫理的義務に徹し、政治不信を招く公私混淆を断ち、清廉を持し、かりそめにも国民の非難を受けないよう政治腐敗の根絶と政治倫理の向上に努めなければならない。
- われわれは、主権者である国民に責任を負い、その政治活動においては全力をあげかつ不断に任務を果たす義務を有するとともに、われわれの言動のすべてが常に国民の注視の下にあることを銘記しなければならない。
- われわれは、全国民の代表として、全体の利益の実現をめざして行動することを本旨とし、特定の利益の実現を求めて公共の利益をそこなうことがないよう努めなければならない。
- われわれは、政治倫理に反する事実があるとの疑惑をもたれた場合にはみずから真摯な態度をもつて疑惑を解明し、その責任を明らかにするよう努めなければならない。
- われわれは、議員本来の使命と任務の達成のため積極的に活動するとともに、より明るい明日の生活を願う国民のために、その代表としてふさわしい高い識見を養わなければならない。 (寄稿:近藤雄三氏)
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