ゆらぎつつゆく

添島揺之歌集。ツイッター感覚で毎日つぶやきます。色調主義とコラボ。

五月の夜明け

2017-10-21 03:05:53 | 絵画


ドワイト・ウィリアム・トライオン(1849-1925)、アメリカ。


どんな夜にも必ず夜明けが来る。

何も解決していなくとも、夜明けを見るたびに何かが始まる気がする。

きっと今日も昨日と同じ努力をするんだろう。

砂を積むように無駄だと見えることを。

それでもやらずばしょうがないことを。


あかつきの光に濡るる目を伏せてきのふの夢を消さむとぞする    揺之







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風の昼

2017-10-20 03:04:27 | 添削


また現代短歌の添削を試みた。

どこに行けば君に会えるということがない風の昼橋がまぶしい    永田紅



盗作臭い。
歌の内容と歌人の気風が合っていない。
こういうのは小町の例からもわかる。
おそらく霊的盗作と思われる。
霊的翻訳のあとがある。


かたもなきあはむちぎりをたよりつつ真昼の橋を見てはたたずむ    揺之






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星空につかむ手を入れ砂のごと一握にせむ啄木の夢

2017-10-19 03:07:42 | 

星空につかむ手を入れ砂のごと一握にせむ啄木の夢    揺之






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梅の花

2017-10-18 03:13:31 | 資料

また英訳古今に興味を持ってみた。


Though you have fallen,
Leave behind your scent, at least,
O, plum blossom!
Of those times of yearning,
Would I make a keepsake!


散りぬとも香をだにのこせ梅の花こひしき時の思いでにせん    よみ人しらず


plum blossom というとまるで別の花のようだ。梅とプラムは同じバラ科でも微妙に違うだろう。日本ではプラムはスモモのことである。

この国での梅の散り方は音もなく時に溶けていくようだが、かの国ではどういうものなのだろうか。

知っている花が違えば、思い浮かぶイメージも違うだろう。


かをりのみたよるおのれのはかなさを知りつつもおふ白梅の花    揺之






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冬の聖堂の門

2017-10-17 03:03:36 | 絵画


ローウェル・バージ・ハリソン(1854-1929)、アメリカ。


生きる苦しみから解放される門があるとすれば、それはどういうものだろう。

キリスト教の国では日曜ごとにミサに行くそうだが、苦悶の晴れた人間の顔を見ることは少ない。

雪に覆われた冬の聖堂の門は、ここにきてもなにもありはしないと、言っているような気がする。



降る雪のゆきてかへらぬ日のありて悔いて切なき聖堂の門    揺之






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春たてど

2017-10-16 03:04:50 | 資料

また英訳古今に興味を持った。

Spring has come, yet
The blossoms do not shine
At my mountain home
How reluctantly
Does the warbler sing…

春たてど花もにほはぬ山里は物うかる音に鶯ぞなく    在原棟梁


Reluctantlyは、辞書によれば、「いやいや、しぶしぶ」という意味だ。山里のわびしさに鶯も嫌々鳴いているという感じである。
「憂」ということばは、sadではないのだろう。
人間感情を表す言葉は、人間が感情をどんなふうに切り取るかにあると思う。
国や文化によってその切り取り方は違うが、情感の似ている言葉はあるに違いない。
結局は同じ人間なのだから。



ゆくすゑは夢にならむとかひをだきいでこしものはかたはねの鶴    揺之






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敷島の大和にはあらぬ唐衣ころも経ずして逢ふよしもがな

2017-10-15 03:06:55 | 古今抜粋

敷島の大和にはあらぬ唐衣ころも経ずして逢ふよしもがな    紀貫之



序詞の作例である。「敷島の大和にはあらぬ唐衣」までが「ころも」を呼ぶ序詞になっている。

時がかかることもなく、早く会いたいという心を、序詞を用いてうまく言うことによって、女心に訴えるのである。


この上は我が身も見えず春霞かすみゆくかなわがふるさとは    揺之






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今来んといひしばかりに長月の有明の月をまちいでつるかな

2017-10-14 03:07:06 | 古今抜粋

今来んといひしばかりに長月の有明の月をまちいでつるかな    素性


今すぐに来るよと言ったあなたの言葉を頼ったばかりに、長月の有明の月が出るまで、待ってしまったよ。

字余りの語句が続くことに、じっと長く待っていた心が偲ばれる。

字足らずは好きではないが、字余りには心がこめられると思う。



ゆふづきの細くかかるに手をのべて君の窓にもとりてゆかむぞ    揺之






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三首

2017-10-13 03:08:29 | 


あおくさき水を脱ぎ捨ているか飛ぶ三千万年ねむりてゐしが

空渡る銀河の水にとびこみてあをきいるかよこのためのわれ

いるか飛ぶまことの歌を広げむと下手の歌屑焚きほろぼさむ


                           揺之





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満ち欠けの硬き定めをくりかへす月の色こそ苦しかりけれ

2017-10-12 03:10:00 | 

満ち欠けの硬き定めをくりかへす月の色こそ苦しかりけれ    揺之





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