おもしろいので続けてやっている。
冬の皺よせゐる海よ今少し生きて己れの無残を見むか 中条ふみ子
おもしろくない。
短歌はこういう情感には向いていない。
人間の生き方を重苦しくする表現には、もっと長い詩文を適用するべきだ。
歌はその短さと形ゆえに、生き方を活発化させるものであったほうがよい。
高尚をきどって痛いことを言うと、足元に穴があくという例だと思う。
ゆふぐれの道をまよひて風かをる海のけはひにあしたをおもふ 揺之
寂しければ鹿島の灘の風浴びておもむろに被る夏の王冠 田中拓也
これは中学生並である。こういうのも現代短歌にはよくある。
情感も技巧も稚拙なのに、なぜかいいものという評価がある。
疑問をつけられる時もあるが、それはスルーされる。
疑問をつけられればこまるほど、ヘタだからだ。
字余りの語句も雑音に感じるだけでよい効果はない。
寂しさをおほふものなく鹿島灘風は冷えつつ我が頬をなづ 揺之