ゆらぎつつゆく

添島揺之歌集。ツイッター感覚で毎日つぶやきます。色調主義とコラボ。

思い出の

2017-11-13 03:06:02 | 添削


思い出の一つのようでそのままにしておく麦わら帽子のへこみ    俵万智


よくある情感をそのまま歌っている。

最近よく、一つの名詞を句の間で割る歌い方をするものがいるが、わたしは好きではない。

歌が乱調になる。


君去りてわれに残ししものはただわれのひたひのちひさきへこみ    揺之






  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ジャンヌ・ダルク

2017-11-12 03:06:36 | 絵画


アルバート・ピンカム・ライダー(1847-1917 )、アメリカ。


風景以外のテーマをよく描く、トーナリズムには珍しい画家である。

光の少ない世界に聖女が生きている。

少女の身でありながら国を救おうとして走りだした。

神の声を信じて生き抜いた。

その少女に平凡な田舎の女の風貌を与えている。

侮蔑なのか、それとも恐れなのか。


暗き世に滴る月の明りをも虚仮といひてはすくひも失せむ    揺之






  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

悲しみのつまるふくろをたそかれの空に裂きてはおらびたりけり

2017-11-11 03:06:42 | 

悲しみのつまるふくろをたそかれの空に裂きてはおらびたりけり






  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

君はかなしく

2017-11-10 03:06:36 | 添削


君はかなしくのびたる脚を組みかへて世紀の終る夜を渡つた    大辻隆弘


字余りの句が苦しい。

長くのびる脚に目がいくのは現代の悲しさだろう。

長い脚は若者の傲慢の象徴だ。

親の短い脚をあざ笑うように長い足を伸ばして見せびらかす子供もいる。

しかし傲慢がよい結果を招いた例はない。


高下駄のごとき脚をぞ伸ばしつつあしたは鶴にならむといふ鵜   揺之






  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

さびしさのみづにつかりていてはてむことりかひごにかへらむとする

2017-11-09 03:07:07 | 

さびしさのみづにつかりていてはてむことりかひごにかへらむとする    揺之





  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

灰黄の

2017-11-08 03:06:43 | 添削


灰黄の枝をひろぐる林みゆ亡びんとする愛恋ひとつ    岡井隆


盗作だろう。

一連の語句にその匂いがしみついている。

典型的な腰折れだ。それは印象を強める場合もあるが、これは成功しているとは言えない。



すみそめのゆふべにかげるいてふの木黄金散りつつ来ぬ人を待つ    揺之







  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

中空にボレロは響きいづくより来たりしものかあをき予言は

2017-11-07 03:05:35 | 

中空にボレロは響きいづくより来たりしものかあをき予言は






  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

緑と金

2017-11-06 03:06:27 | 絵画


トーマス・ウィルマー・デューイング(1851-1938)、アメリカ。


単調な背景の中に、女が流れるような肢体を見せている。

足元にある壺は秘密の象徴だ。

絹と陶器の相克は、性愛をにおわせる。

静寂の中に、かすかに背徳の気配がする。


かなしみにぬるるころもを打ち捨てて夢にながるる川音こそきけ    揺之






  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

羚羊の声のどかにて野を渡り風の声きく幻想の土

2017-11-05 03:05:52 | 

羚羊の声のどかにて野を渡り風の声きく幻想の土    揺之







  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

石上

2017-11-04 03:06:58 | 資料


In Isonokami at
Furu stands an ancient trunk out in the fields;
As an eternal oak
My feelings
Will never be forgotten…

石上布留から小野のもと柏本の心は忘られなくに    よみ人しらず


この訳者はとにかく枕詞はストレートに訳すようだ。

それしか方法がないといえばない。

しかし序詞もそのまま訳してある。

意味がつながらないことはないが、少々無理矢理という気がしないでもない。

歌枕も伝わりにくいだろう。

英語で歌を読むものには、何か不思議な印象があるかもしれない。

こうして感覚的に、日本の詩情が外国に移植されていくのはよいことだと思う。


いそのかみふるきかしはに風なびきこぬれさわぎて思ひ出ぞ立つ    揺之






  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする