食道がんと闘う自然爺の活動

自然の中での暮らしに憧れ、自作の山小屋を起点に自然と戯れていたが、平成21年10月、食道・胃がんが見つかり手術。

『夢追人、パピーの蝮 (マムシ)騒動』

2013年07月13日 17時17分27秒 | 趣味

ビーグルのパピーは山が好きだった。訓練は夕方と休みの日によく出掛けた。

今日も近くの山に行こう!団地の中を横切り公民館からすぐの山に入れる。兎は

夜行性で昼間は低木や草むらに寝屋を作り、そこで寝ている。この時間はもう兎

も起きている時間で。もし動き回っていたら臭いは強いから犬は直ぐに臭いを取

ることができる。陽は落ちてから一時間は経っている、サーチライトを頼りにいつも

のコースとするか。

我先に行くパピーを呼び戻し、行き先を指示する。心得たものでそこから笹の中

へガサガサと入って行く。50メーターも行かない内に『キャウーン』と変な声がした。

おかしいな、普段聞きなれないし兎に会った声でもない『パピー』と呼ぶが返事は

ないし降りてもこない。気になり上がつてみると片足を上げ、頻りにそこを舐めてい

る。電池を照らしてみた。よく見ないと判らないが2ヶ所から薄らと血が出ている。傷

は見えないが、この様子からするとマムシに噛まれたのだ。辺りを探したがマムシ

の姿はなかった。

あまり動こうともしないし、自力で歩こうともしないから抱きかかえて山を降りる。普段

でも温かい身体が心なしか余計に温かく感じる。

家に着く頃は僅かな時間しか経っていないのに毒が回り元気なく苦痛に耐えてい

様子が伺えた。我が家の玄関は犬にとっては高級ホテルか床の間に値する。

そこに寝かせてやったが、ただただジッとしているだけだ。

人の出入りが気になるのか落ち着いた様子ではなく、激痛を堪えるには静かな所が

よさそうなので小屋に移してやる。足は見る々間に腫れ上がり見るも無残な姿

続けて『連れて来ても、抗生物質を打つだけで大した効果はない。医者が喜ぶだけ

だ』と商売気のないつれない返事。

それもそのはず、この獣医さんとはツーカーの中で、杯を交わす仲だ。ある時は、一

緒に酒を呑んでいたら交通事故に遭った犬が急患として連れて来られた。

『丁度いい、手伝え』とばかりにいきなり助手に任命された。

足の骨折、患部の毛を剃り切開、折れた骨どうしに針金のような金属を入れて

縫い合わせる。雑な治療だがこれで十分だという。酔っ払いの先生に酔っ払いの素

人助手による手術は、救急治療を成功させたのである。

2~3日経つと喉のところに大きなコブのようなものができている。まるで瘤取り爺さん

のような大きなこぶで触ると中に水が入っているようにタポンタポンしている。毒素が何

かに換えられたのか毒素を取るための免疫剤でもできているのか。あれほど食べ物に

貪欲なパピーも暫くは食事に見向きもしなかったが、徐々に食べるようになり、4~5日

で元気を取り戻した。

皮が伸びきるほど腫れていたこぶは無くなり、傷口は2本の牙で噛まれた跡が小さく見

えた。傷が完治し何年経っても、噛まれた場所に毛が生えることはなかった。


『夢追人、猟犬Ⅱ』

2013年07月12日 18時04分03秒 | 趣味

後で判ったことだがジャックは既にフィラリアに冒されていた。症状としてはそう重

いようには見えなかったが時折、ハーハーと苦しそうな格好をすることがあった。Y

さんは病院へも連れて行ったが血液検査をする限りフィラリアの幼虫は見えず『何

度か検査しないと判断はできん』と医者は言う。

フィラリアは正式にはミクロフィラリア、豚が多い所では発生率が高いらしく源は豚

かもしれない。フィラリアの幼虫はミクロサイズで犬の血管の中に住みつき栄養分

を吸収し成長するとラーメン大で長さは三十センチにもなると言うから育成度はす

ざましい。初期のころは経口薬を蚊の出る頃から秋まで与え予防することができる。

この時点では幼虫は蚊が吸える大きさだから顕微鏡でなければ見えない。しかし

成長するに従いそれは心臓に集まりやがては血液の流れを妨げるようになってい

く。犬が激しい運動をすると心臓の鼓動が大きくなる。虫はその中で動こうとする。

結果は歴然としている。

外から見た症状ではクシャミをし出すと軽い症状とされるが必ずしもこんな風には

ならない。成虫を殺すには手術をして虫を取り出す方法はあるが危険が大き過ぎ

現実的には困難、別の方法は成虫を殺す注射がある。この方法も危険で一発勝

負、成虫が暴れ心臓麻痺を起こす可能性が高い、死んだ成虫が血液の中で溶け

る時に犬がそれを吸収し切れるかの問題がある。最後の治療として注射を打ち死

んだ犬は沢山いる。

蚊は血を吸う時に一度、吐き出す。もし以前に吸った血の中にフィラリアがいれば

その時、犬の体内に入る。蚊にかまれない予防として周波音を出す発振機を据

え付ける(音が蜻蛉の羽音に近い周波数音で蚊が寄って来なくなるとあるが余り効

き目はない)、黄色の虫避け電灯をつける、香取線香をたく、などがある。今、飼っ

ているビーグルの『小丸』は昨年の夏にフィラリアにかかり死の淵から生還した犬

だ。大体、夏に体力が落ちた後で具体的な症状が出てくる。散歩に連れて出ると

直ぐに息苦しそうにハーハーとする。収まるのに段々、

時間がかかるようになる。気付いたらどうもフィラリアに間違いなさそうだ。

その内、いつもはピョンと上がる所さえも自力で上がれなくなり食欲はゼロ、ハーハ

ーと苦しそうで見ておられない。医者に相談したが打つ手はなく、自分の方から『注

射で治療して下さい』と申し出た。この医者とは酒を何度も交わした中だし『注射』の

意味を私が充分理解していることも知っている。

『そうか、そうするか』とだけ言った

注射は二回に分けて打つ。注射後およそ二週間で成虫は溶け出し、いわゆる拒絶

反応はその頃から始まると説明を受けた。小丸は頭を上げることさえ出来ず上目使

いにしか見ない、情けない顔をして助けを求めているように見えた。米子市住む妹

の見舞いまであり我が家にとっては毎日が臨戦体制だった。

餌は何をやっても、大好物の牛の生肉をやっても見向きもしないから、口の横から

無理矢理に食べ物を入れて、口を塞ぐと仕方なしにゴックンとする。その方法で食べ

させる状態が続いた。注射を決心したのはその後だった。

一か八と賭けをした約三週後に回復の兆しがみえ出し一命を取リ留めた。

一方、ジャックは訓練から帰ったその日の夕方に急死した。今も自分の家が見える

小高い山裾に眠っている。


『夢追人、猟犬』

2013年07月11日 18時03分08秒 | 趣味

猟犬は獲物によって使う種類が異なる。何匹も飼える人は少ないので自分の犬で

猟をする時、獲物は限定されてしまう。種類はたくさんあるが一般的には鳥猟では

ポインター、セッターが代表格で兎はビーグル、猪は紀州犬、甲斐犬といったとこ

ろになる。兎は小型で完全な草食動物だから襲われると逃げの一手、猪は体力も

あり攻撃的な性格を備えており他の動物と闘うことも可能だから、それに対峙する

猟犬の種類も違う。またそれぞれを擭物に限定するには理由がある。例えば兎を

主としたビーグルを鳥撃ちばかりに連れて行くと兎を追わなくなる。兎はワンワンと

吠えながらの体力勝負になるが、鳥はちょっとだけ追えば片がつくので楽な鳥に

しか向かわなくなってしまうからだ。

 ポインターのジャック

Yさんが飼っていたのはジャックと名付けられたポインター。鳥の臭いを風の中で拾

うとその方向に行き鳥が隠れている場所で突擊の姿勢をする。主が行けと言うまで

その姿勢で待ち続ける。これをポイントしたと言う。それまでどんなに荒い息遣いし

ていてもポイントしている時は、どこで息をしているのだろうと思わせるほどピタリと息

を止める。『行け』と声を掛けると咄嗟に茂みに駆け込む。バダバタと雉が美しい姿

を表す。ハンターはそれをめがけて発射する。

私が狩猟免許を取る前の年、雉の剥製が欲しく捕ってもらう為に、Tさんについて歩

いた。木次町は養蚕家がまだ残っているので広い桑畑が幾つもあり、その周辺の草

地が雉の猟場になる。また裔麦を作る農家も多く雉の生息には環境のいい場所のよ

うだ。一日中、歩きまわったが獲物はなく『雉は夕餉を終えて寝床に入る時間だな』と

Tさんが言った。もう三十分もすれば時間切れで本日の猟はお開きになる。ジャック

探索に余念がない。

諦めム—ドの中、ジャックがススキの株に向けてポイントした。Tさんは『雉だ』と教え

くれた。『行け』と言っても中々、行かない。

ジャックは元々、慎重でポイントしても突っ込みに時間がかかる犬だった。

『行け』の声に突っ込んだ。

寝支度していた雉は羽音を高く飛び立った。そこにTさんの放った矢が炸裂する。

かし、雉はおかしげな格好をして十メ—タ程、下の畦の方に飛び去った。『半矢だ』

半矢とは当たったが致命傷にならず逃げる状態を言う。

舞い降りた哇に急いで行って見る。草は十センチほどの長さに刈られ何の変哲もな

い場所で雉が隠れる場所など見当らない。ジャックは先に降りて探索をしていた。

その変哲もない畦で再びポイントした。『まさか』誰が見ても判るだろう。

こんな隠れることの出来ない場所で雉はどうやって隠れるのだ。あの長い尾はどうや

っても草から出るし、鮮やかな色は草と比べれば直ぐに判るはずだ。

『そこに、隠れているぞ』、犬もTさんも、どうかしているんじゃないの?。

犬の鼻は人間の何千倍の嗅覚を持つと言われる。私に姿は見えなかったがそこから

半矢の雉が飛び出した。ジャックが追いかけ雉を咥えて帰って来た。犬の嗅覚はさす

がだ。猟では一犬、二足、三鉄砲と言われる訳がよく判る。


『夢追人、兎猟Ⅱ』

2013年07月10日 18時01分38秒 | 趣味

15分ほどしたら、枯葉をザッ、ザッと無雑作に音を立てながら兎が帰ってきた。パピ

ーの声は未だ裏側の方から聞こえてくる。姿が見え、通過したと思ったら同じ道をバ

ックし大きく直角に飛び上の方に逃げて行った。それに見とれ銃を撃つ余裕はなか

ったが面白い場面を見せてくれた。

兎のトリックと言われる仕業だ。兎は臭いを紛らわす為に、往復しそこに濃い臭いを

残し釘づけにする。ジャンプしたので臭いの空間ができ往復した場所はミステリーゾ

ーンにしようと言う訳だ。犬がここで迷っている間に遠くに行き息を整えて次の作戦

でも練っていることだろう。パピーが大分、遅れてやってきた。兎の思惑通りここで臭

いが取れないから迷い、追跡の時に吠える声も途絶えてしまった。辺りを大分バタバ

タしてからパピーは円を描くように捜索範囲を変えだした。円は段々と広げられやが

て兎が直角に跳んだ方向で再び元気な追い鳴きが始まった。

こうした時、私は兎が逃げた方向を知っているので、犬を捕まえてその場所に連れて

行くと、再び臭いを取ることができるから追跡の再開を早くできるが、犬の追跡能力ア

ップのためには自力で探させる方がいい。

今回は上だったから今度は下を通るかも知れないと思ったが、それまで上に行ったり、

下に行ったりして苦い思いをしているのでここで待つことにした。

先ほどよりは少し下の所から音がして兎が出て来た、木の陰にいることも知らずこちら

に向かって来る。安全装置を外し引金に指を入れる。バーン、兎は弱く一 粒でも玉

が当たると捕れる。コロコロと転がって落ちてきた。パピーは前回よりも更に遅れて到

着した。息を弾ませ必死に声を絞り出している。『パピー』と獲物を高々と持ち上げる。

喜んで兎に嚙りつく。

兎は根采を入れて鍋ものにすると美味しいが直ぐに肉が堅くなるので煮詰めない方が

いい。塩、コショウで焼き肉にしてもいける。あっさりとしており野生動物特有の臭いは

少ない方だ。

パピー夕食は、兎の頭と肉の御馳走だ。バリバリと喜んで食べる。あの鋭い歯も何の

カケラも残さないで食べてしまう。

夜は御馳走に満足したのか、昼間の夢でも見ているのか丸くなりぐっすりと眠っていた。


『夢追人、兎猟Ⅰ』

2013年07月09日 17時56分58秒 | 趣味

兎は草食動物で多産系。家兎と異なり耳は小さめで色は薄い茶色をしている。

音には敏感で気配は全て耳から吸収しているように見える。兎は鮎のように縄張

りを持っており大体、一山か二山位の広さの中に1羽いる。縄張り内の兎を捕ると

すぐに新しい住民がその縄張りにしてしまう。縄張りに隣接する二羽の兎を捕っ

てしまうとその時点で縄張りの範囲が変わり過去のデ—タは役に立たなくなってし

まう。兎は夜行性で夜に餌を食べたり遊んだりするがその範囲は自分の縄張りの

中に限られる。例外として発情期になると雄兎は雌を求めて自分の縄張りから出

て行く。その兎に当たると犬に追われた兎は自分の縄張りに戻ってから逃げ回る

ので、とんでもない遠くでワンワンとやり出す。

発情期以外の兎はその縄張りの中から出ないので犬に追われるとその中を回る

ので『回す』と言うのは犬が縄張りの中で兎を追いかけること。また、昼間は寝て

いるがその場所を寝屋と呼び犬が寝屋を見つけ兎を起こすことを単に"起こす"と

いう。これは猟全般で使われイノシシ猟でもこの言葉を使う。

猟期前には訓練で色々な所に行き、兎がどういうコースを逃げるのか予め知って

おくとよく捕れる。いつも同じコースを回れば兎は全滅してしまう。寝屋は一定し

ていないし、犬がどういう角度から寝屋に近づくかで逃げるコースも自ずから変わ

ってくる。今日の猟も以前に訓練した所で凡そ察しはつくが上手くいくかどうか。

パピーは毎週の猟で少々バテ気味だが 一丁頑張ってもらうか。

パピーは顔にそんな素振りが見えても山に行けるならと、私以上にやる気満々だ。

杉林の中には椎茸のホダ木が交互に立てかけられ、幾つかは小さな芽を出して

いる。下刈りもちゃんとしてある手入れの行き届いた山である。砂利混じりの急な

斜面にスイッチバックのような道がついている。

山の中腹を越した辺りがよく寝ている所だ。低い木が茂り割と日当たりのいい場所

で周りはどちらの方向へも逃げることができそうだ。椎茸のホダ木が途切れ草やら

低木が見え、食み跡がある。新しいものだから、ここの兎も健在と見える。

私はこの場所で兎を待つことにした。パピーは上に上に臭いを取りながら上がっ

て行く。相当、強い臭いに当たったのだろう。普段は寝屋でいきなり吠え出すのに

ワンと吠えた。それは目前に兎の寝屋があることを意味していた。

ワン、ワンと追跡が始まった。兎の足は速いのでパピーがいくら頑張っても追い着

くことはないだろうが臭いさえ確実に追えばスタミナのある方が勝つ。兎は逃げて

は休み、逃げては休むが犬はずーっと追いっ放しになる。


『夢追人、鴨3発3中』

2013年07月08日 18時09分02秒 | 趣味

一夜明け、昨日に味を占めた2人はまたあの池に行くことにし早めに家を出た。初

日の鉄砲騒動に遭った鴨は、池は危険であることを十分に理解する。動物の危険

予知能力は直接、自分の生命を左右するものだから半端なものではない。それが

今、実証されている。私たちが車の中で待っていると一塊の鴨がゲーゲーと鳴きな

がら飛び立った、すると暫くして別の塊が宍道湖を目指して池から出ていく。ひょっ

として全部出て行くのではないかと心配になる。

この傾向は日増しに強まり解禁から3日もすればこの池で鴨を見ることはなくなり極、

稀に出会いがある程度になってしまう。遊びや餌を食べに来るのは夜だけになり朝

が来る前に安全な宍道湖ということになる。大荒れが続くと予想されると山の静かな

池に行きそれをやり過ごす。

ハンターは昨日の半分くらいになっていた。今日は私が奥に行き鴨を追い出す役目

を勤めることになり抜き足、差し足で前進した。露で湿った落ち葉を踏みながら身体

を屈め奥に向かう。鴨は夜行性でもあり目はよく、気配を感じ取るのは抜群である。

遠くの所からこちらが『いるかなー』とキョ口キョ口していると直ぐに見つかり反対方向

に飛び立ってしまう。

足を進めるとパシャパシャと水音が聞こえてきた。鯉でも跳ねて遊んでいるのかなー

と思う、何か様子が違う。あの先の雑木の陰から覗けば判ると近づく、途端にパシャパ

シャと鴨が水を蹴る音がした。バーンと放つ、続いてバーン、バーンと立て続けに引

金を引く。 暫くしてから土手で待つ人の放った銃声が響く。私の弾は全部命中の大

金星だ。やがて、Yさんが様子を見に来て池に浮かぶ3羽の鴨を見て驚いた。昨日、

初めて銃を持ち獲物に向かったのに、昨日は山鳥を今日は3発で3羽の鴨を射った

のだ。Yさんが驚くよりも私自身の方がよっぽど驚きだ、何が何だか訳の判らないハン

ターがこうも順調すぎる成果をあげるなんて正にビギナーズラック。

鴨猟にはリールと竿を持ち歩くと便利だ。池の中に落ちた鴨を回収するのに泳ぐ訳に

もいかないしボートを用意する訳にもいかない。大きな浮木を用意し、出来る限り大き

めな針を十文字にしてゴンガラに結び付け、それを鴨に向けて魚釣りの遠投の要領

で投げて引掛け回収する。

今日は、1日だけかも知れないビッグスターになった気分だ。

夜は、お狩場焼きに水炊きと食い切れない御馳走に囲まれて美酒に酔い知れた。


『夢追人、初猟』

2013年07月06日 17時21分21秒 | 趣味

ハンターにとっては待ちに待った解禁の日を迎える。猟は日出から日没迄で新聞

やTVで言われるその時刻になる。1分でも1秒でも過ぎてから発射すると狩猟法違

反で免許取消しと罰金または懲役になるから趣味の中で違反に対する処罰が一番

厳しい。だから日の入り時刻丁度に目の前に獲物が出てきても撃つことは出来ない。

法律を破った為の過ちは人身に危険を及ぼすから当然のことだと思う。

私とYさんは二人で松江巿近郊の古江の池に鴨を狙って出かけた。子前6時50何分

が日出で、現地には1時間前に行き場所取りをすることにした。私たちが車の中で待

っていると数人のハンターがやってきて、同じように待っている。どの人も昨夜はグッ

スリと眠れたのだろうか?

やがて、パトカーまで駆け付けて動向を窺っている。時刻の違反取締りの為かと思っ

ていたらこちらにきて、銃の所持許可証、狩猟登録証等の検査を始め出した。やが

て、日の出時間がやってきた。土手に向いながら銃に散弾を詰め込む。自動銃で薬

室に一発、薬倉に二発入り発射すると薬室の空薬莢は横に押し出され薬倉の散弾が

自動的に薬室に持ち上げられ次の弾が発射可能になる。

土手から覗くと真鴨が一杯いる。一団が気配を知り奥に飛び立つ。それを契機に一

斉射撃が始まった。ババーン、すぐ近くでYさんも鴨めがけて撃っている。

奥から数え切れないほどの鴨が飛び出してくるがここからは高すぎて命中の確率が悪

そうだ。たまに鴨が落ちる。誰の弹が当たったのかは判らない。自分だぞと意思表示し

た人のものになってしまう感じだ。

その場は近くの人と言うことにして治まった。私たちも2人で1羽の真鴨を獲物にできた。

この池は大きい池で一番奥は歩いて行くと15分はかかる。池にいた鴨が逃げた後にも

別の池で追われた鴨が次から次へと出入りしてくるがい所を飛んでいるのに撃つ奴

がいるので猟にならない。私たちは2人とも弾を使い果たしてしまったので八雲で兎猟

をすることにして池を後にした。

パピーはビーグルで白と黒が主体でちょっとだけ茶がある四つ目だ(目の上に茶色の

盾毛みたいな模様があり目にみえるので四つ目と言う)。この年の春に友人の紹介でも

らった犬でこの日まで休みの度、山に行き訓練を重ねてきた。兎なら兎の縄張の中を

1〜2周くらいは回す(追跡)し山鳥も臭いがあれば追い出す。家から15分の所に前から

兎の訓練に行き兎がいることを確認してある場所があり、そこを選んだ。犬は主の長靴

姿を見ると条件反射し『山に行ける』と思いワンワンと大騒ぎを始める。喜び勇んで車に

乗る。猟犬は子供の頃から車に乗せ酔わないように訓練しておく。車酔いする犬は乗

用車には乗せられない。そうかと言って犬用の車を買えないし。


『夢追人、狩猟免許への挑戦』

2013年07月05日 18時15分26秒 | 趣味

 いよいよ、最後の関門となる狩猟講習会と試験だ。受験生に若い人は少なく当時、

36歳の私が若い部類だった。そもそも狩猟なる趣味は遠くの昔に衰退していること、

若者は山の中を駆けずり回ったりして野生の獲物を獲る必要性を全く持っていなか

った。だから、狩猟はスポーツだとか外国では貴族たちの嗜む高貴な趣味だと言っ

ても、文化論の違いに他ならない。

日本の若者からは『野蛮な趣味』としか映らなかったと思う。

この日の為に前猟期は人について歩き狩猟はどんなものか予備知識は身につけ

ていた。しかし、それは実践知識であり筆記にどれ位、役立つかは判らない。

狩猟に関する本など書店にはないから、六法全書の狩猟法を頼りにしていたら、

先輩が『狩猟読本』なる日本猟友会発刊の参考書を貸してくれたので、それを参

考に勉強した。狩猟に関する法律や数字などは大体覚えたものの、模擬試験の

ようなものさえないから、試験の想定すら出来ない状態だ。

狩猟鳥獣、つまり狩猟の対象となる動物のイラストが描かれているものの、実物を

見たことはないし、大きさも一切分からないなど不安材料は沢山あった。午前中に

狩猟講習があり、この講習で習ったことが午後の筆記に出るらしいとは聞いていた

が、午前の詰め込みを全て午後まで覚えているはずはない。

午後の筆記試験は予想外の問題が散見され、自信満々から半々になった。今で

も覚えている問題で困ったのが『日本狸は北海道に生息するか』『狸は木に登るか』

だった。筆記の後、挙銃姿勢の試験、絵を見て狩猟鳥獣かどうか、名前は何かを言

う口頭試験、そして松江城に行き距離の目測試験等があった。いい加減と言えばい

い加減なもので『あの松までの距離は?』と試験官が真面目な顔をして問う。

そんなもの分かるはずはないし、訓練もしたことはないのに受験生は真面目に『うー

ん、250m』なんて適当に答える。私も完全な当てずっぽうだったのに、不適格ではな

かったらしい。

発射した弾が大体どの辺りまで飛び、そこまでどれくらいの距離があるのか目測し、

その範囲内で発射による危険がないか確認するためのものだ。

試験結果は何の前触れもなく、いきなり免許が郵送されてきて合格を知った。

これで私もハンターの一員になった。

 狩猟登録

猟期は11月15日から翌年の2月15日までの3ヶ月しかない。免許を持っていても狩猟

ができるのではなく登録して初めて、この期間だけできる。従って免許はあるが今年

は休猟する人は登録しなくてもいい。

登録税や猟友会、ハンター保険等で3万円近くかかる。1か月、1万円につくのでドンド

ン山に行かないと何の為に登録したのか分からない。

ここで狩猟登録証、登録バッチ、弾の許可書、地図をもらう。10月の末に登録されるの

でそれから解禁の日までハンターにとつては待ち遠しい日が続く。また、この日ばかり

は普段は顔を合わせることのない人と出会うのであちこちで小さな輪ができ話を弾ま

せる。


『夢追人、射撃教習と試験』

2013年07月03日 17時09分00秒 | 趣味

実技試験は米子の法勝寺にある射撃場で射撃指導員のもとで行われる。

この試験の為に、銃の仮所持許可証が発行されたのだ。試験の前日までに散弾

を百発、購入しておかなければならない。弹を買うのにも購入許可証が必要で、使

用目的や必要事項を記載し警察署に出向き申請する。兎に角、お役所仕事で申

請の日と許可の下りる日は別でしかも平日ときているから時間を都合するのに苦労

する。実技講習の午前は分解組立てや扱い方で簡単だった。他人に銃口を向けな

いことは絶対条件で何があっても守らなければならない。銃を持ち誰かに声をかけ

られて振り向くと銃口が人に向かつてしまうので銃は必要時以外、地面か上を向け

ておく。

一緒に受験していた年配の爺さん指導員が何度も『人に銃口を向けないように』と注

意するが、散漫なのか性格的にいい加減なのか分からないが効き目がなく、注意され

舌が乾かない内に向けてしまう。

遂に指導員も業を煮やして『xxさん、試験は不合格ですから帰宅して下さい』と宣告

してしまった。これは当たり前の処置で、もしも弾倉に弾が入っており、そんなことにな

ったら事故になって『済みません』では済まない。

午後から実際に鉄砲を撃つ射撃教習に入る。説明を受け指導されながら実弹を発射

する。銃床を頰にしっかリ当てて、両目で照準を見つめ、発射時にも目を開けて見て

おく。誰もがこうした時、片目をつむって照準をみるが人には効き目というのがあり、必

ず右とか決まっていない。目の前30センチの所に指を出し、片目ずつで見てみると指

の見える位置が変わって見える。両目で見た位置に見える方が効き目。もし片目で見

た目が効き目でなかったら、物の正しい位置確認が出来ないことになる。

鉄砲の打ち方について細かい注意を聞きやってみる。

引金に指を入れ軽く引く。

バーンと大きな音がし硝煙の臭いがパッと走る。衝擊は肩よりも頬の方が強く感じる。頰

と銃床に隙間が開くとガッンと衝撃がきてとても痛いし、何度かすると頬が腫れてしまう、

それだけ大きな衝撃がある。撃った瞬間に銃身が上方向に向かうためだ。

実際に的となる皿を撃つクレー射撃が最終試験になる。試験は25発使うので残りの75発

は練習で使う。クレー射撃にはトラップとスキートの二種類あり、ここではスキートで練習し

た。スキートは皿の出る場所、飛ぶ方向は一定しているが撃台を移動するので撃つ角度

が変わってくる。また銃は腰の所に持っておき皿が出てから構えて撃つ。

一方、トラップは中心の撃台に立ち発射体制で構える。

皿は足先から皿が飛び出し、皿はどんな方向にどんな角度で飛ぶのか決まっていない。

『ハーッ』と合図すると皿が出るのでそれを狙って撃つ。

いよいよ、試験になった。撃台に立ち、皿を待つ、出た!バーン。

試験は25枚の内、僅か3枚当てればいいのに大変に難しい。2枚までは簡単に取れたの

合格までのあと1枚が遠く感じた。結局、5枚の成績で合格し正式に銃の所持が許可さ

れた。


夢追人、銃砲刀剣類所持等取締法の克服』

2013年07月02日 17時06分27秒 | 趣味

銃を持つ為には

1.講習会を受講し筆記試験をパスする。

2.実技講習を受講し実技試験をパスする。

これらを突破すると正式に銃の所持ができる。ここでは銃刀法と火薬類取締法に関す

ることが主になる。試験は年に2回しかなく、初心者が猟をしょうとする場合は狩猟免許

も取らなければならないので、第1回目の試験を受け合格し

ないとその年の猟期には間に合わない。私は後半の試験を受け、翌年に狩猟免許を

取ることにした。幸い、先輩の参考書があったのでそれで勉強したが書店には狩猟の

参考書なんか売っていなかった。また六法全書を買い細かい数字や規制について勉

強した。

銃のことなど何も知らないので兎に角、覚えることだけに専念して講習会に臨んだ。午

前中に講習があり午後に筆記試験だったが、どうにかパスすることができた。この時点

で仮許可証が下りる、半年間だけ銃を所持できその間に実技試験に合格しないと銃も

売却しなければならない。(実際には銃販売店が預ってくれるみたいだ)銃を持つのだ

から、過去の住居歴、親族に麻薬患者や精神病がいるか否か、同居人が銃を持つこ

への冋意書、そして最も手こずらせるのが医者の診断書である。

本人が麻薬、アルコ—ル中毒、精神病でないことを証明するものだ。街医者がよく知ら

い人のそんな全てを調べるのは不可能に近い。それを頼むのだから医者は嫌がる。

医者から

『あんたね、私が正常だと判断した翌日に貴方が,精神病になったとしてごらん、それに

れから先、ずーっと今のままだと誰が保証してくれますか。もし貴方が変になったら私

やられる』と聞かされた。

尤もなことだ。こんなのお上がきちんとした施設で判定すべきで民間に責任を押しつけ

ようなものだ。結局、いつもお世話になっている娘の父親というだけの、つてで異常な

しの診断書を書いてもらった。

仮許可証を貰い、銃を買いに行く。友人の口ききでイタリア製の軽量なものを選んだ。

それでも三キロはある。

先輩の説明では銃の命、銃身に使う鉄鋼はイタリアのものが良質で、銃もイタリア製の

ものがいい。銃のことで知っているのは西部劇に出て来るウィンチェスターが有名で、

はアメリカのイメージがあった。アメリカの銃はガッチリとして重いのに対し、イタリア

は高級品ということだった。

後々、調べてみると射撃用の銃などピンキリで数百万するものもザラにあり、私などが

違って買ったとして、使わずに飾るしかないようなことになってしまいそう。

 銃は手にしたものの、射撃試験を受けるめに弾を購入する申請を警察に出し、許可が

おりないと弾を持つことは出来ない。銃の保管についても詳細な規定がある。鉄板性の

鍵のあるロッカーを人目につかない場所に、カギはロッカーの扉用と銃を鎖でロックす

2つ必要で且つ、持ち去られないようロッカーの内側からネジで固定しておく。

銃と弾は別々の保管庫で保管することになっており、幾ら銃の保管庫が厳重でも一緒

保管することはできない。初めて手にした銃を構えたり、分解したりいい玩具ができた。


『夢追人、第二章 狩猟』

2013年07月01日 17時45分23秒 | 趣味

出会い

趣味に関する本を読むと『・・・は趣味の王様』と書かれているのを目にする。手前味

噌も甚だしい。全てのことをやり尽くし、極めた人が何か一つを選び王様を選択する

なら判るが、そうした人は自分のしてきたことだけで単に好きとか詳しい理由で言って

いるに過ぎない。勝手に王様なんて決めるな。色々やってみてから言え。

子供の頃の遊びはチャンバラや戦争ごっこで兎に角、外でばかり遊んでいた。刀や

鉄砲に見立てたものを使っていた。子供が武器に対して何故、あんなに興味を抱く

のか判らないがそれは今でもあまり変わりないかもしれない。また当時、どれだけ違

法性について考えていたのか知らないがカスミ網を使用して小鳥を捕まえて飼った

りもしていた。遊びの中の鉄砲、獲物を捕るこの二点は狩猟の下地が揃っていること

を示す。要するにきっかけがあれば抵抗なくその道に入っていけることでもある。

私の住む八雲村は松江市から約10キロ南に行った所にある。人口流出で過疎の村

になりつつあり、人口増加対策の一貫として住宅団地の造成に村が力を入れ入居の

先駆者となったのが私たちだ。自然に恵まれた環境で緑溢れる、人口6,000人ほど

の村である。

八雲村は歴史的にみると古く由緒ある土地柄で『出雲国風土記』にも登場する熊野

大社があり鑽火祭には出雲大社から火を貰いに使者が訪れ優位に立つ。

また、いたる所から古墳が発掘されどこかで道路拡張すれば横穴式の古墳が出たと

か、施設のために山を削ったらここでも古墳が出たとかよく聞く。それもそのはず出雲

国庁、出雲国分寺は源を八雲村に持つ意宇川(いうがわ)の下流にあり、川沿いに古

い文化があったことを物語っている。

熊野大社は狩猟の神さんでもある。毎年11月15日、狩猟解禁の日に御狩祭が催され

る。この団地に移ってから狩猟をしている友人が出来た。TさんとYさんの二人で私より

ちょっとだけ若い。猟をする土壌があったとは言え、鉄砲を持つことには些か抵抗があ

った。何故か、うまく説明は出来ない。

思案に思案を重ね決心するのに時間がかかった。しかし銃を手に持つまでには大変

な苦労が待っている。また試験はいつでも受けられるのではないし、相当、時間がか

かる。その年から猟期には鉄砲なしで丁稚奉公を勤めた。


『夢追人、魚の観賞Ⅱ』

2013年06月16日 19時14分34秒 | 趣味

自分で捕まえた魚を飼ってみようと思い立つ。無理は承知で渓流の山女を生かし

て帰り水槽に入れる。山女は岩男より下流に住む虹マスの陸封型で淡いピンクの

横線に斑点があり注意深い魚だ。水温が高いだろうから長期的に飼うことは難し

いかも知れない。ほんの数時間前までは渓流を自由奔放に泳いでいたものが狭

い水槽に入れられて、あちこちで水槽にぶつかりすっかり元気を無くしてしまつた。

ここの環境に順応するとは思えないが塩焼きになるよりは少し長生きができると勝

手なことを思う。水温の克服はできず今だかつてお目にかかったことのない菌で

遂に尾が腐れ始め、身体中に広がり死んでしまった。

水温を下げることの出来る器具が今、出来ているのかどうか知らないが当時は叶

わぬ夢だった。夜の海辺は小魚が明かりの下に集まる。小魚なら水槽への順応

性は高いだろうし餌付けも簡単に出来ると考え海水を汲むポリタンクを三つ持っ

て恵曇の海岸に出かけた。タモで群れているクロの子、桜エビを捕らえ早速、水

槽に放す。クロの子は一人前に真っ黒になったり灰色に戻ったりして見せる。水

槽への慣れは早く、水も故郷のものだから何の不足もないだろう。

餌は魚の骨に身を残したものを与える。おこぼれは下の桜エビが貰い受ける。

それからが大変だった。1〜2週間おきに水汲みに往復2時間の道程を通うことに

なった。餌は毎日やっているのに桜エビの数が減っている。よく見ると岩の陰に足

や手の殻がある。餌不足で共食いしてしまったのだ。弱肉強食の下剋上が自然

界の淀なのだ。1ヶ月も経つとクロは5センチ程度に育ち逞しささえ漂わせてきた。

友達が欲しいのか?キュウセンべラを釣り水槽に加える。こいつは飼うまで砂に潜

って寝ることを知らなかった。姿がなくなりまたエビの餌になったかと思っていたら

砂の中からチャッカリと顔を出していた。

別名、ギザミとも呼ばれ広島では珍重されるがこちらでは見向きもされない。白身

だが骨は緑色しておりあっさりとした味ながら箸が出て行かない魚だ。

セイゴの小型、サザエ、カニと色々、飼ってみた。海のミニ公園ができたようで楽し

く見せてもらった。

動物には口があり環境がある。多少のことは人ができるが所詮、人間の浅知恵で

彼らの望むことはしてやれない。魚を飼いながらそのことはつくづく感じた。

 

♪海は広いな大きいな♪

海を見ているとその雄大さに自分の心も

もっともっと広くなるような気がする。

寄せては返す波が語る。

小さいことにこだわるな、

ほら、ちゃんと次の波がくるさ。

人の世は辛抱の連続だろう。

ゆったりと行こうじやないか。

機を逃しても私のように寄せては返すのさ。

               第一章 おわり


『夢追人、釣り初めは関のタナゴ』

2013年06月14日 18時02分27秒 | 趣味

  冬

狩猟を始める前、元旦の行事は美保関の内防で釣り初めをするのが恒例になって

いた。小雪混じりであっても凍える手で餌をつけタナゴを釣る。別にタナゴと絞って

いる訳ではなくご祝儀みたいなものだから何でもいい。丁度、それにタナゴがあたり

恒例になった。

サヨリも時々、顔を出し俄かに五目釣りになってしまうが『今年もよろしくの挨拶』だ。

美保関には古くから漁業,海上安全の神さんとしてエビスさんと三穂津姫(みほつひ

め)が祭られている美保関神社がある。また、安来節で歌われる関の五本松も有名

である。今は全て枯れてしまい見る姿はないが、なお多くの観光客で賑わう。

朝のちょっとした時間だけやって家路につく頃は、美保関神社へ初詣に向かう長蛇

の列ができる。それを尻目にスイスイと走る。子供はお年玉を待っていることだろう。

家に着き、我が家の元旦が始まる。

 

厳寒の中、手なしイカ

冬は海が荒れ低調になる、釣り人も減って閑散としている。荒れた日本海に突き出す

防波堤に押し寄せる波を見ていると恐ろしくも見え、心洗われる殊勝な気持ちになる。

手結浦(たいのうら)は冬に手なしイカが釣れる。ここではゴンガラに魚かイカの身を巻

きつけ甲イカ釣りと同じ容量で巻きとる。この場所は岩場で滑りやすいのでどんなこと

があっても無理は禁物だ。何年かに1人は、鉄則を破り、命を落している。

寒い中の夜釣りだからカイロを背中に入れての奮戦になる。釣れても3杯どまりで大き

くは望めなかったが何もすることがなく釣りをしたくなったら出かける程度だった。


『夢追人、浜田のワカナ(ハマチ)』

2013年06月13日 18時00分17秒 | 趣味

面白い話を聞くと直ぐにその気になる。浜田の波止場で活気を見せているワカナ

釣りの模様をTVが流した。それが目につき早速のご出発。午前三時に起き車を

飛ばす、しかし早朝?の国道は長距離の卜ラックが我もの顔で飛ばす。信号無

視、追越し禁止区間での追越し、黄色の信号で止まったりすれば追突されかね

ない。三時間ほどで浜田に着く。

青川の波止場は既に沢山の釣り人が来ていた。ここで人の仕掛けをみて驚かさ

れた。私の用意したものは役に立ちそうにもない。あまりにもチャチな仕掛けでこ

れでは人の半分も投げることは出来ないだろう。

飛ばし浮木の大きさ、重さが全然違うのは見た目で判る。

釣具屋に足を急ぐ、しかしどうした訳か飛ばし浮木が売り切れで手に入らない。

仕方なく自分の持って来た電気浮木を使うしか手がないようだ。隣で三十五セン

チほどのワカナが掛かリ竿は大きく弧を描いている。横に走り釣り人を右往左往

させている。見ているだけでその迫力が伝わってくる。青物は横への引きが強く

底に近い所で住む魚は下へ下へと引く。投げてみるとやはり人の半分も飛ばな

い。そこで我慢してみたが近くで何本も上がるのに浮木は無情にもプカプカと浮

いているだけ。

やはりなー、その釣場に合った釣方でないとなー、諦めが先行するようになり、ポ

カンと浮木を眺めていた。浮木が見えなくなり、まさかと思った瞬間にガーンと竿

を引っ張った。とんでもない引きだ。竿を立てる、糸がキーンと唸り始めた。糸を

めなければと思いながらも引きが強く竿から手が離せない。唸りはー段と大きくな

り、突然、竿が後の方に跳ね返され軽くなった。僅かの時間で成す術もなく、あっ

さりと糸を切られてしまった。おそらくヒラマサだったと思う。

私が着く前に、置竿をしていた人が余所見をしている間にヒラマサと思われる魚

がかかり竿はそのまま引っ張られて海の中に消えてしまったと言う。

強烈な引きはあの一度しかない。それまでも、今までもあんな経験はない。

その夜、疲れを忘れ口惜しさだけが目を固くして寝付かれなかった。


『夢追人、鯵釣り変じてサバの大群』

2013年06月12日 18時00分30秒 | 趣味

もう二度と船には乗るまいと思っても虫が起きてきた。鰺釣りに行こうということに

なり馴染の富士丸にお願いする。やはり止めとけばよかった。今夜は月が出てお

り食いが悪い。

酔いはないものの釣れない釣りは堪える。そろそろ十時半になるが釣果は何もな

いに等しい有様。と、突然に船の周りにキラキラと腹を光らせながらサバの大群が

押し寄せてきた。集魚灯の灯りにつられてきたのだ。竿を上げ見える所で釣れる。

幾らでも釣れるのだ『空針でやれ』と船頭が大きな声をした。サバは何かにエキサ

イトしているから餌をつけなくても擬似針のままで釣れるとの指示だ。針は三本つ

いており上の針に食いついたサバを外していると海の中にある針にも食いつき下

から引っ張る。外した針に注意しないと予期しない方向に糸が引っ張られ、手に食

い込みでもしたら大変なことになる。そんな強い引きをしている。

サバは横走りする。その感触をたっぷりと楽しませてもらった。三十センチを少し越

すものだったが三十分あまりの間に皆のクーラーが一杯になった。『切りがない、

帰るぞ』船頭に促されて竿を納めた。皆の家の冷蔵庫はサバで一杯になったことだ

ろう。

 

ゴンズイとヘイズ鯛

秋もたけなわ山では松茸も採れる頃、冲泊という港のテトラの上で釣りをした。特に

目的の魚があったのではなく、何でもよかった。そこで初めてヘイズ鯛を釣り上げた。

十五㌢あるかないかの大きさだ。その時は名前も知らなかったが図鑑で調べて分か

った。時々、餌盗りの小魚がかかる。すると見慣れない五㌢ほどの魚の背に針が掛

かり上がってきた。

『何だ、こいつは』と指ではねのけようとしたところ、突然そいつが指に食らいついた。

まさか、嚙むとは思わないし、あっという間の出来事だ。口を見るとマムシが顎を外し

た時のように何倍にもなっている。上下にエイリアンのような鋭い牙がある。さほど痛

みはないし傷口は小さいのにおびただしい血が流れタオルで押さえても中々、止まら

ない。止血後、大事はないだろうと釣りを始めた。

家に帰って暫くは何事もなかったが何か熟っぽくなってきた。段々と身体がだるくなり

どうも調子が悪い。一晚寝ればよくなるだろうと思った。しかし症状は段々悪くなり熱

も高くなってきたようだ。疲れが出るような釣りではないし風邪をひいたのでもないこと

は、はっきりしている。翌日になっても変化なく会社を休むことにした。まさか魚に嚙ま

れて熱が出たと言う訳にもいかず『風邪気味なので』と説明する。結局、二日も休むは

めになった。どうも魚はゴンズイらしく、熱が出るような毒性云々は書いてなかったがこ

いつの精だと今でも信じている。


リンク