私はこの茸のことを『早松茸』が正しいと思っていた。調べてみると『差松茸』が正式の
ようで私が信じていた『早松』は『一部では梅雨時などにも生えるから早松茸・・・』とあ
った。逆に、この辺りでは梅雨に生えることなど殆どないし、本松茸の前に生えるから
『早い松茸』の方が実態に即しているように思う。
生える時期は、その年の夏から秋にかけて雨、温度の具合で前後する。
例年は9月の中ごろが多いが早い時は9月の頭には出回ることもある。今年は先週前半
くらいから出始めているから時期的には例年並み、店先の量は昨年より少ないように見
えるが、値段は昨年より安くいいものがあった。この辺りでは早松茸を人にあげる時は
『早松で、つまらないけど・・・』と本家の松茸とは断然に格が違う扱いをされてしまう。昔、
八雲町には松茸が沢山あり、あちこちで山の入札が行われ数100万円の値段もついた
ことがある。当時は松茸でさえ、人にあげることも頻繁だったから、早松だとやはり格が
下がり、松茸ではない断りめいた言葉を付け加えていた。早松にとっては不遇なことだ
が当時の名残ではないかと思う。
松茸と早松で大きな違いがあるとすれば、松茸は匂いがマイルドで茸自体が硬く包丁
で切るとキシキシと音がでるような感じがする。また、松茸の方が熱をかけられても匂い
の飛びが少ないから、やはり松茸ご飯は松茸が本家だ。私の山でも年間に5~8本の松
茸が採れていた。小さなアカマツが枯れてしまってから、全く姿を見せなくなってしまっ
た。八雲町の松はマツクイムシの被害で全滅に近く、産地だった平原地区の山も今は見
る影もなく、落札された山の範囲を示す白い紐が張られ季節を知ることもできたが、遠い
話になった。
国産はマツクイムシで大きな被害に遭い、輸入物が出回るようになってきた。しかし、匂い
は国産に遠く及ばず買ってまで食べるものではない。それは日本の風土が醸し出す特別
な香りで輸入物には元から質の劣るものだと信じ切っていた。所が目から鱗がポテン・・・
原産地では国産のものと香りも同じようなものだが、検疫で茸の根本の土まで洗い落とす
ことなど流通過程で劣化してしまうのが真実のようだ。香りを飛ばしてしまわないようにす
るため、水などで洗ってしまったりしないで、爪楊枝を使ってゴミを丁寧に取払う、包丁を
使うと刃物の匂いが移るので手で裂いて吸い物にどうぞ。
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