ついに男が城島さんのパンツが脱がし、スカートの中から引きずり降ろしました。
「へへへへ。
ん?」
男がふと何かを感じ、そして振り向きました。すると、ついてないはずのテレビがついてるのです。しかもそこには、長髪の女の子がどアップで映ってます。そうです、これは千可ちゃんです。でも、ウィッグの長髪が顔を覆っているので、かなり不気味な状態です。
「ひゃあ~…」
男は腰を抜かしました。なんとテレビ画面から千可ちゃんの指が出ているのです。さらに画面から両手がぬーと出てきました。
「うわ、は…」
男は腰を抜かしたまま、後ずさりしました。ついには千可ちゃんの前頭部が画面から抜け出てきました。かわいい千可ちゃんは睨んでもあまり怖くはないのですが、このときは長髪の隙間から目が見えてる状態。これは凄味があります。
「うぎゃあ~!!」
ついに男は駆け出し、そのままドアを開け、部屋を出ていってしまいました。この悲鳴を聞いて城島さんははっと我に帰りました。
「な、何が起きてるの?」
「城島さん…」
城島さんがその声のした方向を見ると、そこにはテレビから上半身まで身体を出した千可ちゃんがいました。ただし、長髪のウィッグが千可ちゃんの顔を隠してるので、悪霊の襲撃にしか見えません。
「うぎゃあ~!!」
城島さんは泡を吹いて失神してしまいました。
「ああ、城島さん!!」
と、千可ちゃんが目の前にある床に手をつきました。しかし、この部屋のテレビはラックの上にあります。千可ちゃんは床に手をついたつもりが、そのまま落下。顔面を真実の床にしたたかに打ちつけてしまいました。ああ、千可ちゃんの両目がなると状態、魂も抜けて行ってしまいました。が、千可ちゃんはすぐに目を開けました。
「そ、そうだ、城島さん!」
千可ちゃんが城島さんがいるベッドに行くと、城島さんはまだ泡を吹いて失神したままです。千可ちゃんは城島さんの両肩を揺らしました。
「城島さん!」
が、城島さんは目を開けません。千可ちゃんは足元に落ちてるナイフを拾い、城島さんの両手を縛っているロープを切りました。そしてまた、城島さんの肩を揺さぶりました。
「城島さん!、城島さん!」
やっと城島さんは目を覚ましてくれました。が、ナイフを握った千可ちゃんを見て、また暴れ出しそうです。
「うぎゃ~!!」
千可ちゃんは慌ててウィッグを取り、
「私ですよ!、羽月です!」
「は、羽月さん?…」
と、城島さんの目にうるうると涙があふれてきました。そして、わ~と泣きだしました。千可ちゃんはそんな城島さんを抱き締めました。
「大丈夫です。ちゃんと貞操は守られてますよ!」
でも、城島さんはしばらくは泣きやむことはありませんでした。
遠くの方でサイレンが鳴ってます。パトカーと救急車のサイレンのようです。そのサイレンがどんどん近付いてきます。千可ちゃんはカーテンを開け、下界を見ました。ここは10階くらいの位置にありますが、このマンションの下の方にパトカーと救急車と消防車が集まって来てます。あたりはすでに夜です。
城島さんはベッドに腰掛けてます。なんか、ちょっと震えてます。
「な、何が起きてんの?…」
「わかりません。私たちを助けに来たのかも」
と、いきなり玄関の呼び鈴が鳴りました。はっとする千可ちゃん。
「だれ!?」
「私よ。開けて!」
それは千可ちゃんのお母さんの声です。
「お母さん?」
千可ちゃんは玄関のドアを開けました。そこには千可ちゃんのお母さんが立ってました。お母さんは千可ちゃんの頬を1発、強烈に張りました。ただ、この前みたいな勢いはなく、千可ちゃんの身体は床を転がることはありませんでした。千可ちゃんは張られた頬を押さえ、
「ご、ごめんなさい…」
お母さんはそんな千可ちゃんを無視して、部屋の中に入りました。お母さんは城島さんの前で腰を降ろし、城島さんと視線の高さを合わせました。
「私は羽月千可の母よ。立てる?」
「はい」
城島さんは立ちました。
マンションの前にはたくさんのパトカーが駐まってます。中には救急車と消防車もいます。すべての回転灯が廻ってます。その脇を千可ちゃん、お母さん、城島さんが歩いてます。たくさんのヤジ馬たちの声が聞こえてきます。
「幽霊だーっ!て言って、道に飛び出したんだってさ」
別方向からおばちゃんの声。
「トラックに轢かれて、五体ともバラバラになってたんだよ。私、今夜、寝れないかも…」
どうやらあの男は、トラックに轢かれて死んだようです。
マンションからちょっと離れた100円駐車場に駐めてあるクルマに3人が乗り込みました。これは羽月家のクルマです。喧噪の中、クルマが出発しました。
クルマは城島さんの家の前で城島さんを降ろしました。城島さんとお母さんとの打ち合わせで、城島さんはこの時間まで千可ちゃんの家にいたことになりました。なお、城島さんが乗ってたときも、降りたあとも、千可ちゃんとお母さんの会話はありませんでした。
次の次の日、月曜日、城島さんはいつもと変わりなく登校してきました。千可ちゃんはそれを見て笑顔になり、話しかけてきました。
「城島さん、大丈夫ですか?」
「ふふ、大丈夫、大丈夫。あんなもん、一晩寝ちゃえば、すぐに忘れちゃうよ」
城島さんは大丈夫なようです。
「羽月さんはなんともなかったの?」
千可ちゃんは頭をかきながら、
「それが…、部長さんからもらったウィッグを忘れちゃって…」
「あ~、それは部長には内緒ね」
「はい」
どうやってあの部屋に入ったの?、なんでテレビから這い出てきたの?、なんて質問がくると思い千可ちゃんはいろんないい言い訳を考えてましたが、その必要はなかったようです。
「へへへへ。
ん?」
男がふと何かを感じ、そして振り向きました。すると、ついてないはずのテレビがついてるのです。しかもそこには、長髪の女の子がどアップで映ってます。そうです、これは千可ちゃんです。でも、ウィッグの長髪が顔を覆っているので、かなり不気味な状態です。
「ひゃあ~…」
男は腰を抜かしました。なんとテレビ画面から千可ちゃんの指が出ているのです。さらに画面から両手がぬーと出てきました。
「うわ、は…」
男は腰を抜かしたまま、後ずさりしました。ついには千可ちゃんの前頭部が画面から抜け出てきました。かわいい千可ちゃんは睨んでもあまり怖くはないのですが、このときは長髪の隙間から目が見えてる状態。これは凄味があります。
「うぎゃあ~!!」
ついに男は駆け出し、そのままドアを開け、部屋を出ていってしまいました。この悲鳴を聞いて城島さんははっと我に帰りました。
「な、何が起きてるの?」
「城島さん…」
城島さんがその声のした方向を見ると、そこにはテレビから上半身まで身体を出した千可ちゃんがいました。ただし、長髪のウィッグが千可ちゃんの顔を隠してるので、悪霊の襲撃にしか見えません。
「うぎゃあ~!!」
城島さんは泡を吹いて失神してしまいました。
「ああ、城島さん!!」
と、千可ちゃんが目の前にある床に手をつきました。しかし、この部屋のテレビはラックの上にあります。千可ちゃんは床に手をついたつもりが、そのまま落下。顔面を真実の床にしたたかに打ちつけてしまいました。ああ、千可ちゃんの両目がなると状態、魂も抜けて行ってしまいました。が、千可ちゃんはすぐに目を開けました。
「そ、そうだ、城島さん!」
千可ちゃんが城島さんがいるベッドに行くと、城島さんはまだ泡を吹いて失神したままです。千可ちゃんは城島さんの両肩を揺らしました。
「城島さん!」
が、城島さんは目を開けません。千可ちゃんは足元に落ちてるナイフを拾い、城島さんの両手を縛っているロープを切りました。そしてまた、城島さんの肩を揺さぶりました。
「城島さん!、城島さん!」
やっと城島さんは目を覚ましてくれました。が、ナイフを握った千可ちゃんを見て、また暴れ出しそうです。
「うぎゃ~!!」
千可ちゃんは慌ててウィッグを取り、
「私ですよ!、羽月です!」
「は、羽月さん?…」
と、城島さんの目にうるうると涙があふれてきました。そして、わ~と泣きだしました。千可ちゃんはそんな城島さんを抱き締めました。
「大丈夫です。ちゃんと貞操は守られてますよ!」
でも、城島さんはしばらくは泣きやむことはありませんでした。
遠くの方でサイレンが鳴ってます。パトカーと救急車のサイレンのようです。そのサイレンがどんどん近付いてきます。千可ちゃんはカーテンを開け、下界を見ました。ここは10階くらいの位置にありますが、このマンションの下の方にパトカーと救急車と消防車が集まって来てます。あたりはすでに夜です。
城島さんはベッドに腰掛けてます。なんか、ちょっと震えてます。
「な、何が起きてんの?…」
「わかりません。私たちを助けに来たのかも」
と、いきなり玄関の呼び鈴が鳴りました。はっとする千可ちゃん。
「だれ!?」
「私よ。開けて!」
それは千可ちゃんのお母さんの声です。
「お母さん?」
千可ちゃんは玄関のドアを開けました。そこには千可ちゃんのお母さんが立ってました。お母さんは千可ちゃんの頬を1発、強烈に張りました。ただ、この前みたいな勢いはなく、千可ちゃんの身体は床を転がることはありませんでした。千可ちゃんは張られた頬を押さえ、
「ご、ごめんなさい…」
お母さんはそんな千可ちゃんを無視して、部屋の中に入りました。お母さんは城島さんの前で腰を降ろし、城島さんと視線の高さを合わせました。
「私は羽月千可の母よ。立てる?」
「はい」
城島さんは立ちました。
マンションの前にはたくさんのパトカーが駐まってます。中には救急車と消防車もいます。すべての回転灯が廻ってます。その脇を千可ちゃん、お母さん、城島さんが歩いてます。たくさんのヤジ馬たちの声が聞こえてきます。
「幽霊だーっ!て言って、道に飛び出したんだってさ」
別方向からおばちゃんの声。
「トラックに轢かれて、五体ともバラバラになってたんだよ。私、今夜、寝れないかも…」
どうやらあの男は、トラックに轢かれて死んだようです。
マンションからちょっと離れた100円駐車場に駐めてあるクルマに3人が乗り込みました。これは羽月家のクルマです。喧噪の中、クルマが出発しました。
クルマは城島さんの家の前で城島さんを降ろしました。城島さんとお母さんとの打ち合わせで、城島さんはこの時間まで千可ちゃんの家にいたことになりました。なお、城島さんが乗ってたときも、降りたあとも、千可ちゃんとお母さんの会話はありませんでした。
次の次の日、月曜日、城島さんはいつもと変わりなく登校してきました。千可ちゃんはそれを見て笑顔になり、話しかけてきました。
「城島さん、大丈夫ですか?」
「ふふ、大丈夫、大丈夫。あんなもん、一晩寝ちゃえば、すぐに忘れちゃうよ」
城島さんは大丈夫なようです。
「羽月さんはなんともなかったの?」
千可ちゃんは頭をかきながら、
「それが…、部長さんからもらったウィッグを忘れちゃって…」
「あ~、それは部長には内緒ね」
「はい」
どうやってあの部屋に入ったの?、なんでテレビから這い出てきたの?、なんて質問がくると思い千可ちゃんはいろんないい言い訳を考えてましたが、その必要はなかったようです。