その後浜崎さんの豪邸でビデオカメラとスティルカメラをチェックしましたが、幽霊は一切写ってませんでした。ま、千可ちゃんが霊を感じてなかったんだから、写るはずがありません。ただ、あの呪いの絵馬に何かよからぬものを感じてたことは確かなようです。
幽霊をチェックしてるとき、森口くんが千可ちゃんに話しかけました。
「羽月さん、呪われたくないよね」
「うん。呪いたくもないけど」
「え?」
「人を呪うなんて、人として最低の行為だもん」
千可ちゃんはたいていの呪いははね退けることができますが、千可ちゃんが呪ったら大変です。でも、千可ちゃんはお母さんの躾が行き届いてるので、今まで人を呪ったことは一度もありませんでした。
部活はお開きとなりました。福永さん・城島さん・森口くん、そして千可ちゃんが帰るところです。浜崎さんがみんなを送り迎えしてます。
「それじゃあ、みんな!」
「はい!」
4人がそれぞれ自転車で漕ぎ出しました。最初4人は1つでしたが、途中福永さんが抜け、城島さんが抜け、千可ちゃんと森口さんだけになりました。
森口くんは何かを気にしてます。
「あの~、羽月さんてキスしたことあります?」
この森口くんからの質問に千可ちゃんは、
「あるよ」
その返答に森口くんはびっくりしました。
「幼いときにお母さんとしたよ。でも、ここ10年はしてないかな?」
「あは、そうですか」
森口くんは安堵の表情を浮かべました。一方千可ちゃんはそんな森口君の企みに気付いてますが、あえて無視することにしました。
2人の自転車が暗い個所にさしかかりました。と、千可ちゃんの斜め後ろを走ってた森口くんの姿が、悲鳴とともに消えました。
「うぐぁっ!」
千可ちゃんははっとして急ブレーキ。振り向くと森口くんは倒れており、その前に1人の男が立ってます。
「戸村!?」
そうです。この男がみみずく神社の絵馬で死ねと書かれていた戸村です。
「えへへ…」
千可ちゃんは左足を軸にさっとターンすると、自転車を走らせました。
「このーっ!!」
千可ちゃんは戸村に体当たりする気です。が、戸村は寸前にさっと横に避け、千可ちゃんの顔面に強烈なストレートパンチ。千可ちゃんの身体は無残に吹き飛ばされ、アスファルトに叩きつけられました。
「ああ…」
千可ちゃんはなんとか動こうとしますが、身体がまったくいうことをききません。と、その千可ちゃんの前に戸村が立ちはだかりました。
「おい、金出せよ」
「くっ…」
千可ちゃんは戸村を睨みました。
「なんだよ、その目は!?」
戸村は右足を思いっきり上げました。千可ちゃんの顔面を踏みつけるつもりです。
「死ぬや、このブスやろーっ!!」
千可ちゃん、危ない。が、
「やめてーっ!!」
次の瞬間、戸村の心臓に衝撃が走りました。
「うっ!?」
戸村は心臓を押さえ、うずくまりました。
「な、なんだ?…」
千可ちゃんは失神寸前です。その千可ちゃんの目の前に、おぼろげに何かの光景が現れました。絵馬です。そうです。あの呪いの絵馬です。千可ちゃんはその絵馬に書かれた文字を読みました。
「1年2組戸村死ね…」
と、戸村の胸に再び衝撃が走りました。今度はさらに強烈です。戸村は胸を押さえたまま、逆エビ状態に。
「うぐぁ~!!」
戸村は口から泡を吹き、そのまま倒れました。一方千可ちゃんも、すでに気を失った状態です。
先生の処置が終わったようです。千可ちゃんの右頬に大きなガーゼが貼られました。千可ちゃんはベッドに腰かけてます。ここは病室です。
先生に2人の男が語りかけました。1人は初老で、もう1人は若いようです。実は2人とも少年課の刑事さんです。
「先生、もう話しても大丈夫ですか?」
「ええ、大丈夫ですよ」
初老の刑事さんは、今度は千可ちゃんに語りかけました。
「え~と、羽月千可さんだっけ?」
「はい」
「あ~、何があったか、覚えてる?」
千可ちゃんは戸村に殴られた瞬間を思い浮かべました。
「あいつが襲ってきた」
「あ~、そこまではわかってるんですよ。問題はそのあと。なんで戸村は死んだのか、わかりますか?」
その瞬間、千可ちゃんの身体に衝撃が走りました。
「えっ、死んだ!?」
千可ちゃんは思い出しました。あのとき、薄れる意識の中で千可ちゃんが発した言葉、戸村死ね。そうです。あの瞬間、千可ちゃんは生まれて初めて人を呪ったのです。
千可ちゃんの目から一筋の涙が流れました。それを見た初老の刑事さんが、
「あ~、羽月さん、大丈夫ですか?」
「す、すみません…、ちょっと1人にさせてください…」
初老の刑事さんと若い刑事さんが顔を見合わせ、お互い顔を横に振りました。2人はドアを開けました。
「わかりました、羽月さん。明日また来ます」
ドアが閉まりました。次の瞬間、千可ちゃんの目からどっと涙があふれ出てきました。
「うわーっ!!」
ついに千可ちゃんが大声で泣き始めてしまいました。たとえ自分を傷つけた悪党とはいえ、呪い殺してしまったことに深い心の傷を追ってしまったようです。
幽霊をチェックしてるとき、森口くんが千可ちゃんに話しかけました。
「羽月さん、呪われたくないよね」
「うん。呪いたくもないけど」
「え?」
「人を呪うなんて、人として最低の行為だもん」
千可ちゃんはたいていの呪いははね退けることができますが、千可ちゃんが呪ったら大変です。でも、千可ちゃんはお母さんの躾が行き届いてるので、今まで人を呪ったことは一度もありませんでした。
部活はお開きとなりました。福永さん・城島さん・森口くん、そして千可ちゃんが帰るところです。浜崎さんがみんなを送り迎えしてます。
「それじゃあ、みんな!」
「はい!」
4人がそれぞれ自転車で漕ぎ出しました。最初4人は1つでしたが、途中福永さんが抜け、城島さんが抜け、千可ちゃんと森口さんだけになりました。
森口くんは何かを気にしてます。
「あの~、羽月さんてキスしたことあります?」
この森口くんからの質問に千可ちゃんは、
「あるよ」
その返答に森口くんはびっくりしました。
「幼いときにお母さんとしたよ。でも、ここ10年はしてないかな?」
「あは、そうですか」
森口くんは安堵の表情を浮かべました。一方千可ちゃんはそんな森口君の企みに気付いてますが、あえて無視することにしました。
2人の自転車が暗い個所にさしかかりました。と、千可ちゃんの斜め後ろを走ってた森口くんの姿が、悲鳴とともに消えました。
「うぐぁっ!」
千可ちゃんははっとして急ブレーキ。振り向くと森口くんは倒れており、その前に1人の男が立ってます。
「戸村!?」
そうです。この男がみみずく神社の絵馬で死ねと書かれていた戸村です。
「えへへ…」
千可ちゃんは左足を軸にさっとターンすると、自転車を走らせました。
「このーっ!!」
千可ちゃんは戸村に体当たりする気です。が、戸村は寸前にさっと横に避け、千可ちゃんの顔面に強烈なストレートパンチ。千可ちゃんの身体は無残に吹き飛ばされ、アスファルトに叩きつけられました。
「ああ…」
千可ちゃんはなんとか動こうとしますが、身体がまったくいうことをききません。と、その千可ちゃんの前に戸村が立ちはだかりました。
「おい、金出せよ」
「くっ…」
千可ちゃんは戸村を睨みました。
「なんだよ、その目は!?」
戸村は右足を思いっきり上げました。千可ちゃんの顔面を踏みつけるつもりです。
「死ぬや、このブスやろーっ!!」
千可ちゃん、危ない。が、
「やめてーっ!!」
次の瞬間、戸村の心臓に衝撃が走りました。
「うっ!?」
戸村は心臓を押さえ、うずくまりました。
「な、なんだ?…」
千可ちゃんは失神寸前です。その千可ちゃんの目の前に、おぼろげに何かの光景が現れました。絵馬です。そうです。あの呪いの絵馬です。千可ちゃんはその絵馬に書かれた文字を読みました。
「1年2組戸村死ね…」
と、戸村の胸に再び衝撃が走りました。今度はさらに強烈です。戸村は胸を押さえたまま、逆エビ状態に。
「うぐぁ~!!」
戸村は口から泡を吹き、そのまま倒れました。一方千可ちゃんも、すでに気を失った状態です。
先生の処置が終わったようです。千可ちゃんの右頬に大きなガーゼが貼られました。千可ちゃんはベッドに腰かけてます。ここは病室です。
先生に2人の男が語りかけました。1人は初老で、もう1人は若いようです。実は2人とも少年課の刑事さんです。
「先生、もう話しても大丈夫ですか?」
「ええ、大丈夫ですよ」
初老の刑事さんは、今度は千可ちゃんに語りかけました。
「え~と、羽月千可さんだっけ?」
「はい」
「あ~、何があったか、覚えてる?」
千可ちゃんは戸村に殴られた瞬間を思い浮かべました。
「あいつが襲ってきた」
「あ~、そこまではわかってるんですよ。問題はそのあと。なんで戸村は死んだのか、わかりますか?」
その瞬間、千可ちゃんの身体に衝撃が走りました。
「えっ、死んだ!?」
千可ちゃんは思い出しました。あのとき、薄れる意識の中で千可ちゃんが発した言葉、戸村死ね。そうです。あの瞬間、千可ちゃんは生まれて初めて人を呪ったのです。
千可ちゃんの目から一筋の涙が流れました。それを見た初老の刑事さんが、
「あ~、羽月さん、大丈夫ですか?」
「す、すみません…、ちょっと1人にさせてください…」
初老の刑事さんと若い刑事さんが顔を見合わせ、お互い顔を横に振りました。2人はドアを開けました。
「わかりました、羽月さん。明日また来ます」
ドアが閉まりました。次の瞬間、千可ちゃんの目からどっと涙があふれ出てきました。
「うわーっ!!」
ついに千可ちゃんが大声で泣き始めてしまいました。たとえ自分を傷つけた悪党とはいえ、呪い殺してしまったことに深い心の傷を追ってしまったようです。