24号 1990.4発行
表紙 かたくり
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●目 次●
2p…看板娘
3-6p…トピックス
3-4p…カラムコラム
7-18p特集…渡良瀬遊水池の自然
19-20p…協賛店名
21p…結婚しました
22p…街角の肖像/コーヒー
23p…モーター
24p…アウト
23-24p…危険な
25p…美容と健康
26p…おぞねとしこのエッセイ
26p…芝居三昧
27-28p…情報
29p…本10/キネマ倶楽部
30p…情報
31p…本紹介
32p…絵本
33p…子育て
【本文抜粋記事】
図書紹介 第二回
ガラスの地球を救え
手塚治虫・著
光文社・刊
フロンによるオゾン層の破壊、それに伴う紫外線の増加がもたらす動植物への影響。酸性雨による森林枯死や二炭化炭素の増加での温室効果。窒素酸化物による大気汚染など現在地球規模で物を考えなければならない時代に来ています。
巨星、手塚が現代に生きる私達に送ったたメッセージをまとめたのがこの本「ガラスの地球を救え」です。内容は手塚が想像したマンガの主人公達と現代とを織り混ぜながら、手塚の思いを平易な文章で表わしています。表紙には「二十一世紀の君たちへ」とうたってあり、子供向けのようにも取れますが大人達にもぜひ読んでもらいたい一冊です。
手塚はよくヒューマニストと言われています。私もその意見に反対するわけではありませんが、それよりも先にリアリストのように思えます。善も悪も現実をよく表わしている作品を多く作りあげたのではないでしょうか。もしそうでなかったら「アドルフに告ぐ」などの作品は生まれなかったはずです。ウォルト・ディズニーが手塚に大きな影響を与えたのはよく知られています。そのディズニーから学んだのは「ひたむきな開拓精神、絶えず求め前進する熱っぽさ」であると語っています。そこに手塚作品に押しつけヒューマニズムを感じさせない原動力があるのではないでしょうか。
「その思想が民族の境界を越えるかどうかは、偉大性を考えるための有力な要因の、少なくとも一つ」と本多勝一は主張しています。そして手塚治虫を「国境を越える普遍性は世紀の巨人と呼べる」とまで絶賛しています。
常に「自然の保護」「生き物への賛歌」「科学文明への疑い」「戦争反対」などのテーマを通して《命を大切にしよう》をマンガの中で描こうとした、と手塚は語っています。この本、ガラスの地球を救えの中にも、これ等の事が強く訴えられています。特に戦争反対の事が「僕は戦争を忘れない」「語り部になりたい」の二章の中に熱い口調によって語られています。その中に《正義》の名のもとに、国家権力によって人々の上に振り下ろされる凶刃。人間狩り、大量虐殺、言論の弾圧という暴力が現実にあった事を忘れてはならないと訴えています。ご一読の程を。 つづく 文・大川圭吾