■こならの森126号■1998.10発行
表紙 「つりふねそう」
C・o・n・t・e・n・t・s
■こならの森11月号■
3p としこの巻頭詩……ぎんなん
4p ヤンバル・お店紹介グリーンガーデン足利南店』
5p 結婚しました@森久さん夫妻
6p 安佐の名所クイズ
7p タウン・色々情報『銀亭』他
8-11p JC・ルネッサンストーク佐野税務署
12-19p 特集 出流原町
20-21pショート/現代国語
22p 辛口映画評『』
23p 書評・絵本紹介
24-27p インフォメーション98
28-29p 協賛店・MAP
30p こならの森から
■■■ ■ ■■■
【本文抜粋記事】
JC・ルネッサンストーク
佐野税務署長
■PROFILE
大屋 勲宏さん。
1941年 宇都宮市生まれ
あなたは、子供が義務教育を終えるまでにいくらの税金が使われるかを知っていますか?国の借金がどれくらいあるのかを知っていますか?日本が非常に早いスピードで高齢化しているのを知っていますか?そのために税負担が増えていくことを知っていますか?税金について考えるということは、私たちの将来を考えることでもあるのです。
@中田 こういうことを言うと失礼かもしれませんが、我々からすると税務署というのはちょっといやな所だなという印象があるのですが。
@大屋 確かに税金というのは取られてしまうという意識が強いものですから、税務署に来るのはいやだなという感じがあると思いますが、私共の一番の目標は、明るくて、納税者が相談に来やすい税務署にすることですので、窓口での案内などを重視しています。納税者は不安な気持ちで来るわけですから、気がついた職員がすぐに声を掛けるとか、そういうことに重点を置いてやっております。
@中田 今、なんとか景気を浮揚しようとして、税金を減らそうということが政府から言われてきていますけれども、国はお金がないという状態なのに、またここで税収を減らしてしまうと、ますます国の財政が悪くなるのではないかと思いますが、その辺はどのようにお考えですか。
@大屋 今年になりまして、二月と八月に特別減税が実施されました。消費が非常に低迷しているということで、政府の施策で二回行なったわけです。これは定額減税と言いまして、率ではなくて所得の多い人も少ない人も、一定額の税金をお返しするという形で行なったわけです。現在の国の財政の現状というのを見てみますと、平成十一年の三月には、国債の発行残高が二百八十五兆円というような非常に大きな額になっていまして、国の予算が今七十七兆円くらいですから、予算の四倍くらいの公債の発行残高があるわけです。これは国の借金ですので、必ず返さなければいけないわけです。後世代の人に借金が残っていくということですから、納税者の皆さんも財政の現状というものを良く認識して頂いた上で、いろいろ議論されるというのが一番良いかと思います。
@中田 これから所得税を減らそう、あるいは法人税についても見直そうということですが、国債残高がどんどん増えていくことになりますね。
@大屋 今年も法人税をはじめ抜本的な改正がされたわけですが、それは国際的に見て日本が非常に税率が高いということで、そのために産業が空洞化したり、企業の力が削がれているということで減税が行なわれたわけでして、これは財政が厳しいということとは別の話だと思います。ただ、国の歳入は税金でほとんど賄われるのが一番良いわけですが、現状は歳入に占める租税の割合は七十五%くらい、特例公債と一般公債を合わせた国債の依存率が二十%くらい有るということです。国債が多いということは、当然利息なども払っていかなければなりませんので、国の事業がそれだけ圧縮されるわけですね。ですから理想から言えば、国債は少ないほうが良いということが言えると思います。
不況の業種でも所得が出ている所はあるんです
@中田 税収の面では安佐地域の現状はどうなのでしょうか。
@大屋 消費が伸び悩んでいるということで、鉱工業生産なども前年をずっと下まわっていまして、設備投資もマイナスです。小売り関係も、大型小売り店の販売額も何ヶ月も続いて前年を下まわっていますし、住宅着工とか新車の販売台数もずっと厳しい状況が続いています。税務署の法人税の確定申告の状況を見ましても、やはり前年割れということが続いています。特に有所得割合(欠損ではない有所得の件数の全体に占める割合)が非常に厳しい状況が続いております。特に厳しいのが、小売り業の有所得割合が前年に比べて非常に低くなっています。それから料理飲食、建設関係、そういう所が前年に比べて有所得割合が減っています。反面、有所得割合の比較的順調な所は、時代を反映いたしまして、サービス業が全般的に良いという状況ですね。
@中田 栃木県全体から見ますと、安佐地域の状況はどうなのでしょうか。
@大屋 法人税などを見ますと県全体で落ち込みが見られますので、この地域特有というのはないと思います。ただ石灰砕石というのはこの地域の独自の業種ですので、それらを加味しますと、県全体から見るとちょっと落ち込みが多いかなという感じはします。
@中田 この地域の経営者の方に、こんな所に気を使うともう少し好転するというような、何かアドバイスがありましたらお願いしたいのですが。
@大屋 同じ不況だと言われている業種においても、中にはたいへん所得が出ているところがあります。何の業種でも同じことが言えると思いますが、その納税者の所に行った職員の話などを聞きますと、やはり経営者の方の姿勢が違うなということは言っていますね。具体的にどんなことをすればということは言えませんが、同じ業種であればそんなに大きく違うことはないわけですから、やはり経営者の姿勢とか、どこかで工夫をしているということなんでしょうね。
一人ひとりのマナーが税金の無駄遣いをなくす
@中田 納税もそうですが、税金が何に使われているのかを知るのも大切なことですが、それを知らない人が意外に多いように思うのですが。
@大屋 日本人は税金を納めてしまうと使う所までなかなか考えないという所がありますね。一例を申し上げますと、たとえば教育費ですが、サラリーマンの家庭で中学生と小学生の子供さんがいるとしますね。年収七百万円くらいとしますと所得税と住民税の合計が年間約四十九万円くらいになりますが、その小学生と中学生のために使われている年間の金額というのが、小学生が七十五万九千円、中学生が八十三万三千円ですから、二人合わせると一年間に百五十九万円という大変な額の税金が使われているんです。それから、年金などを貰っている方も多いかと思いますが、老齢基礎年金というのは三分の一は国庫、つまり税金で賄われているわけですね。税金というのはこういう所にも使われているんだということを、ぜひ知って欲しいと思います。
@中田 我々はどうしても、たとえば国会の時に寝ているような議員に給料がいくらだとか、そういう所に目が行きがちなんですけれども、税金が有効に使われているということも理解をしなければいけないですね。
@大屋 みんなが幸せになるために税金は使われているわけですので、この点を学生さんのうちに正しく認識して頂きたいということで、税務署では小学生、中学生、高校生を対象に租税教室をやっていまして、今年も佐野税務署管内で十七ヶ所ほどやらせて頂きます。その他税金に関心を持っていてもご存じない方、特に青年層の方とかご婦人の方、そういう方に機会があればお話をしたいと思っています。
@中田 青年会議所でもいろいろイベントや会合などがありますので、そういう機会がありましたらやらせて頂きたいと思います。@大屋 国税についてのご意見や、苦情・要望等を頂いている国税モニター制度というものがありまして、この前モニターの方にお集まり頂いた時に租税教室のお話をしましたら、ぜひそういった場で、国民一人ひとりが決まりごととかマナーを守っていこうという話をして欲しいと言われたんです。たとえばゴミ収集で分別収集をやっていますが、ひとりの方が守らずに分別をしないと、その後の作業に大きな手間が掛かってしまいます。その手間というのは結果から言いますと税金の無駄遣いになってきます。これが全てに言えるのではないかということなんです。それは全くその通りだと思いますので、機会がありましたら、そういった一人ひとりがいろいろなことに注意しながら、税金を効率的に有効に使っていこうというお話をさせて頂きたいと思っています。
@中田 日本は非常に早いスピードで高齢化が進んでいまして、このままでは自分たちの孫の時代には税金が七割くらいになってしまうんじゃないかと言われていますが、そうならないためにも、自分たちでできることは自分たちでする、そういう組織的なものも創っていかなければいけないと思います。それがNPOではないかということで、佐野青年会議所ではいろいろな形でNPOの活動する社会を目指していまして、教育とか、高齢者のこととか、障害者のことであるとか、そういう所で住民が自分たちでできることをやっていきましょうということを地域の方に提案していこうと考えています。
@大屋 人任せにしないということに
関連して言いますと、私共では確定申告における自力申告、自力記載ということをお願いしています。以前は申告書をお送りしましても封も開けずに署に持ってくるという方が多かったのですが、私共も大々的にPRしまして、最近はだいぶ認識して頂いています。もちろんお年寄りとか、どうしても書けないという方もいますので、私共も相談については万全の体制で臨んでおりますけれども、納税者の方には、ぜひ自分の納める税金について認識して頂いて、そして一人ひとりの方が、どういうふうに税金は使っていったら良いのかということを考えて頂ければ有り難いと思います。
@中田 お忙しい中ありがとうございました。
表紙 「つりふねそう」
C・o・n・t・e・n・t・s
■こならの森11月号■
3p としこの巻頭詩……ぎんなん
4p ヤンバル・お店紹介グリーンガーデン足利南店』
5p 結婚しました@森久さん夫妻
6p 安佐の名所クイズ
7p タウン・色々情報『銀亭』他
8-11p JC・ルネッサンストーク佐野税務署
12-19p 特集 出流原町
20-21pショート/現代国語
22p 辛口映画評『』
23p 書評・絵本紹介
24-27p インフォメーション98
28-29p 協賛店・MAP
30p こならの森から
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【本文抜粋記事】
JC・ルネッサンストーク
佐野税務署長
■PROFILE
大屋 勲宏さん。
1941年 宇都宮市生まれ
あなたは、子供が義務教育を終えるまでにいくらの税金が使われるかを知っていますか?国の借金がどれくらいあるのかを知っていますか?日本が非常に早いスピードで高齢化しているのを知っていますか?そのために税負担が増えていくことを知っていますか?税金について考えるということは、私たちの将来を考えることでもあるのです。
@中田 こういうことを言うと失礼かもしれませんが、我々からすると税務署というのはちょっといやな所だなという印象があるのですが。
@大屋 確かに税金というのは取られてしまうという意識が強いものですから、税務署に来るのはいやだなという感じがあると思いますが、私共の一番の目標は、明るくて、納税者が相談に来やすい税務署にすることですので、窓口での案内などを重視しています。納税者は不安な気持ちで来るわけですから、気がついた職員がすぐに声を掛けるとか、そういうことに重点を置いてやっております。
@中田 今、なんとか景気を浮揚しようとして、税金を減らそうということが政府から言われてきていますけれども、国はお金がないという状態なのに、またここで税収を減らしてしまうと、ますます国の財政が悪くなるのではないかと思いますが、その辺はどのようにお考えですか。
@大屋 今年になりまして、二月と八月に特別減税が実施されました。消費が非常に低迷しているということで、政府の施策で二回行なったわけです。これは定額減税と言いまして、率ではなくて所得の多い人も少ない人も、一定額の税金をお返しするという形で行なったわけです。現在の国の財政の現状というのを見てみますと、平成十一年の三月には、国債の発行残高が二百八十五兆円というような非常に大きな額になっていまして、国の予算が今七十七兆円くらいですから、予算の四倍くらいの公債の発行残高があるわけです。これは国の借金ですので、必ず返さなければいけないわけです。後世代の人に借金が残っていくということですから、納税者の皆さんも財政の現状というものを良く認識して頂いた上で、いろいろ議論されるというのが一番良いかと思います。
@中田 これから所得税を減らそう、あるいは法人税についても見直そうということですが、国債残高がどんどん増えていくことになりますね。
@大屋 今年も法人税をはじめ抜本的な改正がされたわけですが、それは国際的に見て日本が非常に税率が高いということで、そのために産業が空洞化したり、企業の力が削がれているということで減税が行なわれたわけでして、これは財政が厳しいということとは別の話だと思います。ただ、国の歳入は税金でほとんど賄われるのが一番良いわけですが、現状は歳入に占める租税の割合は七十五%くらい、特例公債と一般公債を合わせた国債の依存率が二十%くらい有るということです。国債が多いということは、当然利息なども払っていかなければなりませんので、国の事業がそれだけ圧縮されるわけですね。ですから理想から言えば、国債は少ないほうが良いということが言えると思います。
不況の業種でも所得が出ている所はあるんです
@中田 税収の面では安佐地域の現状はどうなのでしょうか。
@大屋 消費が伸び悩んでいるということで、鉱工業生産なども前年をずっと下まわっていまして、設備投資もマイナスです。小売り関係も、大型小売り店の販売額も何ヶ月も続いて前年を下まわっていますし、住宅着工とか新車の販売台数もずっと厳しい状況が続いています。税務署の法人税の確定申告の状況を見ましても、やはり前年割れということが続いています。特に有所得割合(欠損ではない有所得の件数の全体に占める割合)が非常に厳しい状況が続いております。特に厳しいのが、小売り業の有所得割合が前年に比べて非常に低くなっています。それから料理飲食、建設関係、そういう所が前年に比べて有所得割合が減っています。反面、有所得割合の比較的順調な所は、時代を反映いたしまして、サービス業が全般的に良いという状況ですね。
@中田 栃木県全体から見ますと、安佐地域の状況はどうなのでしょうか。
@大屋 法人税などを見ますと県全体で落ち込みが見られますので、この地域特有というのはないと思います。ただ石灰砕石というのはこの地域の独自の業種ですので、それらを加味しますと、県全体から見るとちょっと落ち込みが多いかなという感じはします。
@中田 この地域の経営者の方に、こんな所に気を使うともう少し好転するというような、何かアドバイスがありましたらお願いしたいのですが。
@大屋 同じ不況だと言われている業種においても、中にはたいへん所得が出ているところがあります。何の業種でも同じことが言えると思いますが、その納税者の所に行った職員の話などを聞きますと、やはり経営者の方の姿勢が違うなということは言っていますね。具体的にどんなことをすればということは言えませんが、同じ業種であればそんなに大きく違うことはないわけですから、やはり経営者の姿勢とか、どこかで工夫をしているということなんでしょうね。
一人ひとりのマナーが税金の無駄遣いをなくす
@中田 納税もそうですが、税金が何に使われているのかを知るのも大切なことですが、それを知らない人が意外に多いように思うのですが。
@大屋 日本人は税金を納めてしまうと使う所までなかなか考えないという所がありますね。一例を申し上げますと、たとえば教育費ですが、サラリーマンの家庭で中学生と小学生の子供さんがいるとしますね。年収七百万円くらいとしますと所得税と住民税の合計が年間約四十九万円くらいになりますが、その小学生と中学生のために使われている年間の金額というのが、小学生が七十五万九千円、中学生が八十三万三千円ですから、二人合わせると一年間に百五十九万円という大変な額の税金が使われているんです。それから、年金などを貰っている方も多いかと思いますが、老齢基礎年金というのは三分の一は国庫、つまり税金で賄われているわけですね。税金というのはこういう所にも使われているんだということを、ぜひ知って欲しいと思います。
@中田 我々はどうしても、たとえば国会の時に寝ているような議員に給料がいくらだとか、そういう所に目が行きがちなんですけれども、税金が有効に使われているということも理解をしなければいけないですね。
@大屋 みんなが幸せになるために税金は使われているわけですので、この点を学生さんのうちに正しく認識して頂きたいということで、税務署では小学生、中学生、高校生を対象に租税教室をやっていまして、今年も佐野税務署管内で十七ヶ所ほどやらせて頂きます。その他税金に関心を持っていてもご存じない方、特に青年層の方とかご婦人の方、そういう方に機会があればお話をしたいと思っています。
@中田 青年会議所でもいろいろイベントや会合などがありますので、そういう機会がありましたらやらせて頂きたいと思います。@大屋 国税についてのご意見や、苦情・要望等を頂いている国税モニター制度というものがありまして、この前モニターの方にお集まり頂いた時に租税教室のお話をしましたら、ぜひそういった場で、国民一人ひとりが決まりごととかマナーを守っていこうという話をして欲しいと言われたんです。たとえばゴミ収集で分別収集をやっていますが、ひとりの方が守らずに分別をしないと、その後の作業に大きな手間が掛かってしまいます。その手間というのは結果から言いますと税金の無駄遣いになってきます。これが全てに言えるのではないかということなんです。それは全くその通りだと思いますので、機会がありましたら、そういった一人ひとりがいろいろなことに注意しながら、税金を効率的に有効に使っていこうというお話をさせて頂きたいと思っています。
@中田 日本は非常に早いスピードで高齢化が進んでいまして、このままでは自分たちの孫の時代には税金が七割くらいになってしまうんじゃないかと言われていますが、そうならないためにも、自分たちでできることは自分たちでする、そういう組織的なものも創っていかなければいけないと思います。それがNPOではないかということで、佐野青年会議所ではいろいろな形でNPOの活動する社会を目指していまして、教育とか、高齢者のこととか、障害者のことであるとか、そういう所で住民が自分たちでできることをやっていきましょうということを地域の方に提案していこうと考えています。
@大屋 人任せにしないということに
関連して言いますと、私共では確定申告における自力申告、自力記載ということをお願いしています。以前は申告書をお送りしましても封も開けずに署に持ってくるという方が多かったのですが、私共も大々的にPRしまして、最近はだいぶ認識して頂いています。もちろんお年寄りとか、どうしても書けないという方もいますので、私共も相談については万全の体制で臨んでおりますけれども、納税者の方には、ぜひ自分の納める税金について認識して頂いて、そして一人ひとりの方が、どういうふうに税金は使っていったら良いのかということを考えて頂ければ有り難いと思います。
@中田 お忙しい中ありがとうございました。