こんぶろ-高知の酒屋ブログ-

土佐の国の とある小さな酒屋、近藤印 高知酒店・こんじるが綴る お酒にまつわったり・まつわんなかったりするブログです。

夏の詩(なつのうた)

2008年04月24日 | 短編小説?

since:1980 夏


まだ、僕は小学生低学年だったんだ。

学校は夏休みに入り、夏のこども・ラジヲ体操・虫取り・鬼ごっこ・・

とにかく、毎日が楽しくってたまらなかった。

 

朝、目が覚めた瞬間から 目に映るモノ全てがキラキラと光り輝き、

幼い僕は、この幸せに満ちた永遠がずっと、ずっと続くと・・・疑う事もしなかった。

 

 

 

 

あの日も僕は、昼食の後、仲の良い友達と近くの三角公園で、

追いかけっこなんかしたりして、汗まみれなシャツも気にせず

まるで、大草原に遊ぶ子犬達のように、駈けずり回って遊んでいたんだ。

 

何時間、走り回っただろうか、

まだ太陽は明るく、僕に燦々と光を与えてくれているが、

なぜだか、その日は夕暮れ前に、友達たちが一人、また一人と

それぞれの家族の待つ、自分達の家に帰って行ったんだ。。。

 

 

一人公園に残された僕は、汗をたくさん流したせいか

とても喉が渇いている事に気がつき、

公園の水飲み場で、水を飲もうとした。

 

はじめの一歩を踏み出したその時!

とてつもない虚無感が、僕を覆いつくしたんだ。

 

ここで、一人水を飲んではいけない!

そうだ、僕も家に帰って、母さんが作ってくれた「冷たい麦茶」を飲もう!

そう思った幼い僕は、残っていた力一杯に駆け出した。

 

そうだ!僕にも帰るべき家があるんだ!

早く帰って、酒屋を営みながらも一生懸命に愛情を注いでくれる

優しい母さんのもとへ帰ろう!

 

僕は、家路までのその道を、まるで

セリヌンティウスのもとへと駆けるメロスのように全力で走った。


その時、周りの風景が残像に変わり、僕は「風」になったんだ。

 

 

 

 

 

 

「ただいまー♪」

家に辿り着いた安堵感と、精一杯の力で走った脱力感、

そして、容赦なく照りつける夏の日差しと、むせ返る様にこみ上げる 

アスファルトからの熱気に中てられたせいか・・・

僕は少しボーっとしていた気がする。

 

 

でも、「ただいまー♪」 と言った瞬間に、その喉の渇きを癒そうと、

僕は麦藁帽子もクツも脱ぎ捨てるように、店にいた母さんへ

ろくな挨拶もせず、一目散に愛しい麦茶の入っている冷蔵庫へ。

 

冷蔵庫を開けると、そこから放たれる冷気に僕の細胞たちが目を覚ます。

 

 

・・・・あれ?

いつもは水筒に入って、下段に置いてある麦茶の水筒が見当たらない。。

 

こっ、こんなに喉が渇いているのに・・・麦茶が無いなんて・・

 

もう、この世のが終わってしまうんじゃないか、ぐらいに

途方に暮れようとしたその時、僕の視界に飛び込んできたのは、

冷蔵庫の上段に置かれた、ガラスのコップに入った「麦茶」!

 

そうか。。。母さん、遊びまわって喉が渇いて帰ってくるであろう

僕の為に、一時でもすぐに飲めるようにと、コップに入れて冷やしてくれたんだ!


母さん、ありがとう。 あなたの子供に生まれて僕は幸せです。

 

コップを手に取り、僕はその愛情の詰まった麦茶を、

躊躇する事無く、一気に喉の奥へと流し込んだんだ!!

 

            ん!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

んん!?

            

飲み込んだ瞬間

焼けるような衝撃
が、

ワタシの「気管と食道」を襲う!!
└|
゜ロ゜;|┘

 

 

ゲホゲホーーギョエっ!
 ガぁぁぁぁぁ!!
」 (` 曲 ´)

 

 

ワタシの尋常でない、
えずり声に母さん、もとい。


母ツネミが飛んで来た!

 

 

 

ああっ!あんたっ!
 コレ飲んだがかえ!!!

 

あんたという子は!!
 コレは・・・!

 

 

 

 

ニッカ・ウイスキーぞね!!

 


そう。麦茶と間違えて、
アルコール度数約40%のウイスキー

一気に飲んでしまった
小学低学年のワタシ。。
 
・゜・(ノД`)・゜・

 

この後大量に水を飲まされ
口に指を突っ込んで

ゲボゲボ吐かされるハメに。。

 

 

これが、ワタシ人生初の飲酒をした

夏の日の思い出」。


嗚呼、母さん・・・

 

 

 

 

※文中の画像は全くワタシと関係ございません。

母ツネミ・・・なんでウイスキー コップで冷蔵庫に入れてたんだよっ!
゛(`ヘ´#)  今だに謎です。(;△;)

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コメント (18)
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