写真は既存の風力発電所の風車30基が並ぶ白馬山脈
風力発電用の風車30基が立ち並ぶ日高川町と広川町の境界の白馬山頂に、新たな建設計画が進む風力発電所計画に対し、仁坂吉伸知事が環境保全の見地から「待った」をかけた。計画段階環境配慮書に対して知事は、白馬山脈の貴重な自然に配慮し「本事業の実施で重大な環境影響が生じる恐れが高く、環境影響を回避、十分に低減できる具体的な方策がない場合は、事業の廃止を含めた計画の抜本的な見直しが必要」との意見を事業者に提出した。
白馬山頂では、既存の2発電所に加え、東側に風車23基を備えた発電所が建設中で、来年夏ごろに供用を開始の予定。さらに龍神方面に向けて3つの発電所計画があり、6月中旬から日高川町役場などで計画段階環境配慮書の縦覧が行われた。3つの風力発電所が計画どおり進めば、令和10年頃までには最大で88基の風車が立ち並ぶことになる。
今回、知事が意見したのは「紀中ウインドファーム(仮称)」。住友林業(株)と電源開発(株)が白馬山では最大規模となる4300キロワットの風車20基程度を備える風力発電所を計画している。同計画について知事の意見書では、全ての計画が進めば、白馬山には既存の風力発電所を含めて約30キロにわたって合計88基が立ち並ぶ現状を前提に指摘。白馬山脈の東側(護摩壇山方面)は自然度が高く、ブナ林が近接し、「クマタカ」や「オオダイガハラサンショウウオ」などの稀少猛禽類や生物の生息域になっており、建設中の風力発電所計画でも当該地域が外された経緯を説明している。
これらを踏まえて知事は、地球温暖化対策や資源循環の観点から再生可能エネルギーが導入されるのは、あくまで自然環境や生活環境との調和を前提としたもので、それ以外のものは是認できないと前置き。「今回の事業実施想定区域と周辺には、県民の財産として将来にわたり守っていくべき自然環境が形成されている。本事業の実施で重大な環境影響が生じる恐れが高いことを認識した上で、慎重に環境影響にかかる調査、予測と評価を行い、環境影響を回避し、十分に低減できる具体的な方策がない場合は、当地域での事業廃止を含めた計画の抜本的な見直しが必要である」と意見を出した。同計画に対しては地元の日高川、広川、有田川各町長からも慎重に計画を検討する旨の意見が出されている。
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