令和4年秋の叙勲が発表され、県内から36人が受章した。日高地方から旭日双光章に地方自治功労で印南町古井18の12、元町議の藤本良昭氏(79)。瑞宝小綬章に法務行政事務功労で美浜町三尾1536、元福岡少年院長の大谷雅昭氏(78)と、教育研究功労で日高川町小熊4011の5、和歌山工業高等専門学校名誉教授の溝口幸美氏(79)。瑞宝単光章に消防功労で日高川町入野176、元町消防団長の西泰海氏(73)――の4人が選ばれた。コロナ感染予防で拝謁は行わない。各省庁による伝達式は検討中。県の伝達式は17日に県庁で行う。
地域振興、発展に寄与
旭日双光章 藤本良昭氏
平成元年8月、印南町議会議員に初当選。以後、8期連続32年間務めた。その間1期4年間議長の要職に就き、円滑な議会運営などに尽力。切目川多目的ダム対策促進協議会、国道425号改良促進協議会の会長を務めるなど地域の振興・発展に寄与した。
国道425号改良工事では地元議員、議会議長、改良促進協議会長として町と連携し国や県に実現を働きかけるなど全力で取り組み、令和3年に悲願であった町内全工区完成に貢献。梅雨時期や台風による大雨で切目川が氾らんし、河口周辺が農地や住居の浸水に悩まされていたことから、改善に取り組み、河川改修と合わせて上流にダムを建設することで解消できるとし平成13年の事業採択、平成27年のダム竣工に尽力。教育面では、町の発展は未来の担い手である子ども達への教育の充実にあるとの信念で、教育施設の整備とともに少子化に向けた学校統合に奔走、地元議員として真妻と切目川中を統合し清流中を開校(平成11年)、小学校においても切目川と樮川を統合(平成18年)後、さらに切目川と真妻、上洞を統合し清流小の開校(平成21年)と学校統合事業への功績は大きい。また、地籍の明確化による公共事業の円滑化、迅速な災害復旧など地籍調査の重要性をいち早く認め、町当局へ積極的に働きかけ、平成16年度の地籍調査事業着手につなげた。
藤本氏の話 身に余る光栄で、これも長い間、ご指導、ご支援頂いた地域をはじめ多くの皆様のおかげと感謝申し上げます。
法務教官で指導、教育
瑞宝小綬章 大谷雅昭氏
昭和43年、喜連川少年院を皮切りに30年間、各地の少年院で法務教官として、家庭裁判所から保護処分として送致された少年たちを社会復帰に向け指導・教育。院内での日常生活のなかで少年たちに寄り添いながらさまざまな働きかけをして、揺れ動く少年たちの物の見方や感じ方を矯正し、更生へと導いた。
学生時代、「バタ屋部落」と呼ばれた貧しいバラック街に暮らす子どもたちと交流を持っていたとき、子の一人が万引きをして警察に捕まった。同じ部落に暮らす子どもたちも同様の悪事を働いているのに、その親たちは「あの子は泥棒だから遊ぶな」と口々に我が子に命じた。警察に捕まったか否かの差で、捕まった子だけが非難、差別される現実を目の当たりにして「環境で生き方が変わる。そして子どもには選択の余地がない」と感じ、少年院に送られてきた少年たちと向き合う仕事に関心を持ったのがきっかけだった。
院の少年たちの生活全般に関わり共に立ち直りを考えていくなかで「信頼関係ができてくると、甘えたり、相談を持ってきたり、人間性が回復されてきて。そんな変化を見るのがうれしい」。院内の少年同士の間でも、互いにいい影響を与えあえるような雰囲気がつくれるよう、心がけた。
定年退職までの間に重ねた転勤は17回。退職後は美浜町に移り、調停委員や保護司、主任児童委員など務めた。
大谷氏の話 こういう機会を期待してやってきた訳ではありません。大変有り難いと思いますが。
消防団活動の功績大
瑞宝単光章 西 泰海氏
昭和43年に旧川辺町消防団員になり、川辺消防団、日高川町同分団長、同副団長を経て、平成30年4月から令和4年3月まで団長を務め、町民の安心安全を守るために尽力した。
45年以上にわたる団員生活では、火災や災害現場で常に先頭に立って地域住民の生命と財産保護に全力を尽くすとともに、地域への防火思想の普及徹底にも力を注いだ。町村合併後、日高川町消防団分団長に就任以来、団員の士気高揚やチームワークづくりに努め、
団内外から認められた。
町面積の約9割を森林が占め、山林火災の発生や拡大危ぐされる中、非常時にはいち早く現場に駆けつけて先頭に立ち、長年の経験をいかした土地勘と的確な状況判断で団員をけん引して消火活動を行った。
団長在任時の平成3年秋、夜に発生した千津川地内の建物火災では、周囲を雑木が囲み、消防車両の侵入が困難な状況下で林野火災への拡大が心配された。そんな中、通報を受けると現場に急行し的確な消火活動を行えるよう団員を指揮。広域消防本部と連携し、消火活動に努め山林への延焼拡大を食い止めた。
紀伊半島大水害時には自宅も被災する中で、避難誘導を指示するなど人的被害を最小限に食い止めた。非災害時にも団員の消防技術向上、規律の保持、器具点検など地域の防火指導者として役割を果たし、地域住民に大きな安心を与えた。
西氏の話 大変光栄です。団員はじめ諸先輩方や多くの皆様のご指導、ご協力のおかげと家族の支えがあってのものです。
その他の主なニュース
● 春の高校バレー・開智が男女揃って優勝、畑中舞桜選手(印南中出身)、前芝皓規選手(大成中出身)活躍
● 御坊市美術展覧会第1期始まる(6日まで)、第2期は10日~13日
● 日高川町かわべテニス公園内で「かわべスマイルドーム披露イベント」開催
● 由良町文化表彰式・文化賞は興国寺燈籠焼保存会、文化功労賞は燈籠製作の岡良次さん