一日目
天候:一時
、夕方から暴風
行程:駒ヶ池8:50-池山小屋-迷尾根-空木避難小屋(テント泊)16:30
単独
GW後半はjuqcho氏と剱尾根を予定していたが、出発当日が大雨、その後の天気予報もあまり良くないのでやむなく見送り。
天気には勝てないが、せっかくの連休どこにも行かないのもナンなので、計画を縮小し一人で中央アルプスへ。
雪のある時期に木曽駒から空木へ主稜線を歩いてみたいと思ったが、単独だと千畳敷の山岳補導員?にお咎めをくらって門前払いの可能性もあるし、ネットでGWの記録を見たら途中ロープを出してる場面もチラホラ。
ということで、余計な神経を使わないで済む空木岳とそこからちょっと足を延ばして南駒ヶ岳まで歩いてみようと思った。
家で車を使うので、今回は電車利用。深夜のムーンライト信州号に乗る。
前日が全国的に記録的な大雨だったし、最近は山へ行く人も車利用が多いのでガラ空きかと思ったら、けっこう登山者は多い。
八王子から岡谷まで約3時間、岡谷のホーム上待合室で2時間弱の仮眠をとったが、思ったより眠れた。
地元の女子高生の元気な姿を微笑ましく見ながらローカルな伊那線に揺られるのも、何となくテレビ東京の旅系番組のようで悪くない。
だが、この日、駒ヶ根駅で降りた登山者は自分一人。もう少しいるかと思ったが・・。天気がイマイチということもあるが、中央アルプスってあまり人気無いのかね。
とりあえず路線バスで駒ヶ池まで。どうでもいいが、いつも途中の「女体入口」というバス停が気になる。
水を補給し、歩き始める。
ここからだと登山口がよくわからないが、焚火をしていた地元のおっちゃん二人組に聞いたら、ショートカットの裏道を教えてくれた。
先ほどの路線バスの運転手もそうだったが、ここらの人は本当に気さくで優しい。
スキー場の前を横切り、池山尾根登山口から入る。
出だしにいきなり「熊出没、注意!」の看板有り。
他に登山者も見当たらないので、しばらくザックのチェストハーネスに付いているホイッスルを吹き鳴らしながら行く。
少し登って行くと三本木地蔵という所に到着。
きれいな前掛けをした小さな地蔵と遭難碑が三つほどあり、新しく花が供えられている。こちらも自分の無事を祈って手を合わせる。
マイカーやタクシーだと、この少し先まで林道で上がって来られる。
今日は誰も登っていないのかと思ったら、そのすぐ上で中高年夫婦、さらには中高年男三人組のパーティーに追いつき、そのまま追い越す。
自分の持っている古いエアリアマップには載っていないが、この先、途中の池山までの間には登山道とは別に自然観察の遊歩道が整備されているようだ。
とりあえずまっすぐ登山道を登っていくと、やがて水量豊富な水場に着き、すぐ近くが池山小屋だった。
無人だがけっこう大きく、中を覗くととても綺麗に使われていて、時間があれば一泊したくなるような小屋だ。
空木岳への往復や池山散策など、ここをベースにする人が多いようで、この時も三人組が休んでいた。
少し休んで、登りを再開。
ここからいよいよ登りも急になってきて、残雪もチラホラ現れる。
やがて鉄パイプの手摺や階段、鎖などで整備された道となり、コースは左上へと急な雪のトラバースが続くようになる。
この辺りが小地獄、大地獄、そして迷尾根と呼ばれる地点だが、表示もしっかりしているし、慌てなければ特に危ないことも無い。
日陰なので、細いトラバース道は雪が固く凍りついていたが、アイゼンは履かずに何とかこなせた。
ここを過ぎればようやく森林限界も近く、視界が少し開けるようになる。
午前中は少し晴れ間もあったが、どうも天気はすっきりしない。
できれば、今日のうちに空木岳山頂下の駒峰ヒュッテまで行きたいと思ったが、やはり雪があると夏のコースタイム通りにはいかなそうだ。
降りてくる人たちもいて話を聞くと、積雪期のヒュッテは3~4人が泊まれる土間が開いているだけで、今日はもう先客でいっぱいとのこと。
うーん、そうですか。そうなるとそろそろこの辺で別のテン場を捜さなければならない。
途中いい場所もあったが、もう少し、もう少しと登り続けるうち、左前方の真っ白いカール状の地点に半分雪に埋もれた空木避難小屋が見えた。
よく見ると、その脇に黄色いドームテントが一張りあった。自分もそこにしようとトラバースして近づいていく。 雪に半分埋もれた空木避難小屋
着いてみると、先客は単独の女性が一人。 (さすがに山ガールといった感じではない)
3~4人用のテントなので他にもいるかと思ったが、彼女がこの大きさのしか持っていないとのこと。
すぐ隣に張っても良かったが、何となく遠慮して少し離れた場所にした。
この頃から上部は雲とガスに覆われ、南東からの吹き下ろしの風がかなり強くなってきた。
風を避けるためには位置的には外のトイレの陰がベストだったが、そこまではできず、小屋入口の南西側にテントを密着させて張る。
夕食を済ましシュラフに入るが、その夜は一晩中、暴風に翻弄されることになる。
最初のうちは風が強いといってもせいぜい2、3時間で収まるだろうとタカをくくっていたが、冬富士の突風クラスの風が休むことなく吹き荒れ、ヘタな所に張っていたらテントごと転がっていただろう。
一度ベンチレーターから外を覗くと煌々とした月明かりが見えたりしたが、その後はまた暗雲に包まれ、あぁ今回はダメかなと思いながら断続的な眠りについた。