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夏目漱石『それから』大阪版

2012年03月05日 | 大阪
 今野真二『振仮名の歴史』(集英社新書)より、チョイネタ。
 大阪と東京では、ルビや表記が違った。夏目漱石『それから』も、大阪朝日新聞と東京朝日新聞では次のようにちがったのだそうだ。( )内が東京朝日。

 「好いだらう」 
 よいだらう(いゝだらう)
 「大分」
 だいぶん (だいぶ)
 「停車場」
 ステーシヨン(ていしやば)
 「一昨日」 
 をとつひ(をとゝひ)
 「窺つてゐた」
 ねらつてゐた(うかがつてゐた)
 「眠さうな」
 ねぶさうな(ねむさうな)

 「窺つてゐた」を「ねらつてゐた」と読ませるのは意外。大阪弁で「にらむ」を「ねらむ」という用例はあるけどね。



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1 コメント

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Unknown (トテトテトテ )
2012-03-05 21:40:02
>朝日
太宰治に戻ってしまいますが──

「あの日記を発表した、A新聞社週刊雑誌の、ガリガリ亡者的態度」(田中英光「如是我喚」)

スキャンダラスで愛憎入り乱れた面も。

「この傷痕は、ひそかに生涯に残り、死ぬまで、共産党に対し、ある種の愛情と、それでいて、ハッキリした敵対心をもっておられた」(同・『自叙伝全集 太宰治』解説)

もっとせつない「18禁」とは。

「僕の赤ちゃんが欲しいのかい」(太宰治「斜陽」新潮文庫P.149)
「僕の赤ちゃんが欲しいのかい」(「太宰治全集9」ちくま文庫P.214)
「僕の赤ちゃんが欲しいのかい」(「ザ・太宰治」第三書館P.894)

「ディテール」について。

「寝巻姿で、コトコト松葉杖をついて出て来た奥さんに、いきなり抱きついてキス」(「人間失格」)

しかし注意しよう。ここで重要なのは「寝巻姿」でもなければ「いきなり抱きついてキス」でもない。そうした直接的な単語の介入が問題なのではまったくない。

一方に「コトコト松葉杖」があり、もう一方に「完全な中毒患者」が突っ立っている。が、まだほんのわずか、「間」があるという情景。そうでなければ成立しようのない、埋み火のごとき庶民感覚のうしろ暗い炸裂が、「人間失格」を「18禁」へ導くにあたり、繰り返し強調されねば許されないディテールとして立ち現われてくるのだ。

とも思います。トテトテトテ~。
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