新・私に続きを記させて(くろまっくのブログ)

ハイキングに里山再生、れんちゃんとお父さんの日々。

宇治の姉妹

2011年02月11日 | 読書
八の宮が母を亡くした娘たちを不憫がったとき、姉妹が詠んだ歌。

大君 いかでかく 巣立ちけるぞと思ふにも 憂き水鳥の契りをぞ知る

「どうして大きくなってしまったのかしら。水鳥にはかわいそうな定めしかないのに」

中の君 泣く泣くも羽うち着する君なくは われぞ巣守になりは果てまし

「悲しいこともあるけれど羽を着せかけてくださるお父さまがいらっしゃられなければ、大きくなれかったでしょう」

「巣守」は孵化せずに巣に取り残された卵のこと。「巣守」は失われた原本の帖名の一つとも伝えられる。

「大きくなる」と単純に訳しているけれど、「巣立ち」と「巣守」の照応関係は消えてしまう。メランコリックな姉に、そんな姉を励ますけなげな妹。この歌が、その後の二人の運命も暗示しているところが興味深い。

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