ライフ&キャリアの制作現場

くらし、仕事、生き方のリセット、リメイク、リスタートのヒントになるような、なるべく本音でリアルな話にしたいと思います。

22.ちょっと誇らしい?仕事に向かう人

2016-06-17 23:44:50 | 仕事 キャリア ライフキャリア
 ある日の昼、小さな警備会社の古びたビルの前を通ると、青地に白線の入った警備服を着た7,8人の若者らが、日に焼けた顔の警備員を囲み何やら話をしていた。赤い交通誘導灯の使い方などを指示されている様子だった。一人の若い警備員が、年輩の警備員に腰からはみ出していたシャツを直され、ポンと尻をたたかれると皆の笑いが起きていた。

 少し離れた大通り交差点の手前に停めた車の前では、黒のスーツにイヤホンをつけた7,8人の大人が集まって、地図のようなものを見ながら何か確認していたかと思うと、2,3人づつに分かれて散っていった。

 大通りに出ると、反対側からTVカメラがこちらを向いて並んでいた。「報道」の腕章をつけたスタッフらが行き交う様子から、誰かVIPが来るのだろうとわかった。この時期、国政トップの遊説かと思いつつ少し待ってみたが、始まらないので仕事に向かった。

 警備員の仕事は、普段は工事現場や大型イベント会場などで行われることも多いのだろうが、身勝手なクレームを言われたり、邪魔者扱いされることも少なくないらしい。黒スーツの大人たちは、要人警護の県警SPや若手刑事だろう。普段は地道な捜査活動をしているのだろうが、仕事柄身の危険を感じることもあると思う。

 両者ともに、ミスや万一の事態は許されないという緊張感はあったと思うが、VIP到着(本番)前の気合と言うか、高揚感のようなものも感じられた。聴衆や交通の混乱を予防し、VIPの安全と円滑な遊説を担保する役割。多くの人が見ている前でやる仕事ながら、問題なくやって当然の裏方仕事。それでも、短い時間ながら手ごたえのある仕事を任された、信頼されたという気持ちが、彼らの表情を生き生きと、どこか誇らしげにさせていたのかもしれない。

 仕事帰りに同じ場所を通ると、いつもの夕暮れの雑踏があった。
 

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