ライフ&キャリアの制作現場

くらし、仕事、生き方のリセット、リメイク、リスタートのヒントになるような、なるべく本音でリアルな話にしたいと思います。

146.笑顔のリアリスト

2021-03-19 19:38:17 | 時代 世の中 人生いろいろ
  ヨガ教室が再開した。ヨガと言っても、呼吸や体の状態に意識を向けながら無理せず心身をほぐすような内容だ。座った前屈がほぼ直角の私でも、マインドフルネスの感覚で時々参加している。昨年に続き、2度目の休止期間が明けて、少人数で再開された。

 教室では、終盤に瞑想の時間がある。先生から、瞑想の間自分にとって神聖なものを思い浮かべるようにと言われる。雑念が沸いたら、それを脇に置いて、何も考えずゆっくり呼吸に集中するようアドバイスされる。

 私が、およそ2か月ぶりの瞑想で心に思い浮かべた、というより浮かんできたものは、身近な人の笑顔だった。行動の自粛を強いられていた間にも、食事、雑談、仕事など、日常のひと時に見せた笑顔だ。不安や迷いの中で、少しぎこちない笑顔、相手を気遣う笑顔、自然とこぼれた笑顔など。呵々大笑とか満面の笑みというものではない。そして、そのような笑顔を見せた相手に、私自身はどんな顔をしていたのだろうと振り返ってみる。固い表情が緩んだこともあれば、渋面のままのこともあった。こちらの笑いにつられて、相手も笑ったのかと思うこともある。

 リアリストとは、現実主義者という意味だ。どこかクールで冷徹。感情に左右されず、良くも悪くも理論的で計算高く、完璧主義のイメージもある。政治家や官僚、ビジネスマンなど、現実社会の中で葛藤しながら働いている人間もいれば、メディアやネットの中の「専門家」や訳知り顔の正体不明の者など。悲観論や批判ばかりだったり、虚栄心や自己顕示欲だけが見え透いていたり…。その実態は、有象無象の輩もいて、まさに玉石混交だろう。

 実際のリアリストは、現実の事態に即して物事を考え、対処をする。悲観も楽観もしない。まじめで計画性が高いという特徴があるらしい。そう考えると、混沌とした重苦しい空気の中でも、笑顔という他者への気遣いや心の余裕を忘れず、何気ない日々をまじめに粛々と生きている人。良い時も苦しい時も、なるべく右往左往したり人のせいにすることなく、自分が今できることを懸命にする人。先が見通せなければ、今日するべきことを計画的にする。起床、睡眠、食事、あいさつ、仕事、家事。あたりまえのことをあたり前にする。自身の弱さや痛みだけでなく、周りの人にも心の揺れや痛みがあるという事実に目を向けられる人。時には笑顔という心の手を差し伸べられる人。現実にただ追随するだけでなく、現実と折り合いをつけながら生きている。そんな人こそが、くらしや仕事を支えているリアリストではないかと思う。

 「笑顔のリアリスト」は、知恵も感情も、強さも弱さもある生身の人間。
瞑想しながら、そんな身近な人の笑顔がいくつも思い浮かんでくると、呼吸が暖かく軽くなった。そして、リアルな明日に意識が向いた。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 145.働く意味に思いをはせる | トップ | 147.数字 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

時代 世の中 人生いろいろ」カテゴリの最新記事