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足利事件と御殿場少女暴行未遂事件

2009-06-27 | 日々のニュース
足利事件と御殿場少女暴行未遂事件

 6月23日、東京高裁は足利事件の再審開始を決定しました。菅家さんに笑顔はありません。虚偽を自白を強要され犯人にでっち上げられ、17年半に渡って服役させられた、その原因を徹底して追及する構えを示しています。冤罪の構図が解明されない限り、無罪となったとしても罪が晴れることはないと語っています。「代用監獄」での暴力的取り調べや精神的圧迫、自白偏重主義、現物証拠の軽視等さまざまな問題が指摘されています。重大なのは「無罪推定」「疑わしきは被告人の利益に」という大原則が全く機能していないと思われることです。この足利事件では、再鑑定による別人のDNA検出という決定的な物的証拠によって無実が明らかになりました。富山の婦女暴行えん罪事件は、真犯人が名乗り出たことで無実が確定しました。いずれも決定的証拠を突きつけられなければ、裁判所も、警察も検察もシラを切り続けたと思われます。
 メディアは、それぞれに再発防止を問題にしていました。もちろんそれが重要であることはいうまでもありません。しかしそれと併せて、今まさに起こっているえん罪事件についてもっと報道し、世論に訴えるべきだと思いました。
 6月1日放送の報道発ドキュメンタリー宣言「それでも僕らはやっていない」(テレビ朝日系)は、裁判所という国家権力によって翻弄され、無実の罪をでっち上げられ、刑務所に収監されていくという許し難い暴力を丹念に描いています。御殿場少女暴行未遂事件。元少年達が収監されたのは、ついこの間の4月16日の事です。この権力犯罪をどの新聞もまともに取り上げていません。私は、この番組を観て、冤罪についての見方がまだまだ甘かったと思いました。番組の内容は以下です。
 この事件は、少女が援助交際をして帰宅が遅くなり親にばれるのが怖くて、その時間少年たちに暴行されていたと嘘をついたのが発端です。少女はそれでその場を乗り切れると思いましたが、当然親は警察に被害届を出し、少年達が逮捕されました。少女はウソにウソを積み重ねていきます。弁護団の懸命な証拠集めでウソが裁判で追及されました。そこで裁判は終わるはずでした。ところが少女は、その日(6月16日)は確かに援助交際をしていたが、少年たちに暴行されたのは別の日(6月9日)だったと開きなおりました。証拠やアリバイも全て「6月16日」を前提に構築されていたにも拘わらず、裁判長はあっさりとその変更を認めたのです。しかしその「6月9日」は台風警報が出ており、前日から雨が降り続いていました。気象庁の降雨記録も残っています。ところが、少女の証言によると衣服は濡れていませんでした。それで、「6月9日」は破綻したはずでした。ところが検察は降雨観測場所と現場とは500メートル離れていて、現場は雨が降っていなかった可能性があるなどと言い、観測記録のねつ造さえ行いました。そして最高裁で有罪が確定し、2009年4月13日2人の被告は刑務所に収監されたのです。被告たちはすでに家庭を持っており、妻と幼い子どもを残して、号泣しながら壁の向こうへ消えていきました。
 足利事件などは、実際に事件があって「自白」が強要されたという冤罪でした。しかしこの御殿場事件は事件そのものがもともと存在せず、少女の全くの作り話であったと思われます。裁判所は、少女の作り話に9年間も騙され続けてきたということを認めることはできないという自己保身と、権力への反抗は許さないという権威主義と権力主義だけで、元少年たちを有罪にしたとしか思えません。少女のウソが発端であるとはいえ、何ども無罪判決を下すチャンスがあったにも拘わらず、少女のウソを真実にするために警察と検察が「証拠」を次々とでっち上げ、裁判所がそれを精査することなく採用し、最高裁で有罪を確定するなど、警察・検察・裁判所が癒着した権力犯罪以外の何ものでもありません。DNA鑑定や真犯人が出るなどの決定的な証拠を突きつけられない限り決してえん罪であることを認めず、無実の人をしばりつづけるということです。権力機構が人権を抑圧して暴力を行使し続けるということです。 
 和歌山ヒ素カレー事件死刑判決、舞鶴女子高生殺人事件での犯人逮捕、金沢痴漢えん罪事件、志布志事件なども含め、「疑わしきは被告人の利益に」という原則、無罪推定の原則が全く無視されているに等しい状況が加速しているのではないかと強い危惧を覚えます。
 裁判員制度は市民の良識を入れることで冤罪を防ぐというよりも、一般市民を強制的に裁判に巻き込み飾りとして利用し、警察・検察・裁判所の癒着、官僚主義的な権力構造を維持する片棒を担がせようとするものでしかないように思います。警察の捜査や検察による証拠採用と立件、裁判所の判断などが根本的に改められなければならないと思います。

 なお、この番組に対してはものすごい反響があり、6月29日(月)夜7時より続編が放送され、前回には紹介しきれなかった資料なども紹介されるそうです。
(ハンマー)



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