第2に、シリア「内戦」はもともと、米欧諸国と湾岸王政、トルコなどが直接的な軍事力を行使したり、軍事要員や諜報要員を派兵し、世界中からのイスラム原理主義武装勢力をかき集め、アサド政権を打倒するための侵略戦争という性格を持っていました。ISを攻撃するかに見せて実はシリア内のはん政府勢力を援助しアサド打倒の侵略を続けてきたのです。シリアは国家崩壊寸前に陥りました。
ところが今年に入り、アレッポをシリア政府軍が攻略し、和平と国家再建への展望が出てきました。シリア戦争勃発以来初めての出来事で、何年にも渡り膨大な犠牲者を出してきた戦争が終結に向かい始めていたのです。今回の米の攻撃は、アサド政権が主要都市と要衝を解放し、アサド政権主導で和平と国家再建への動きがようやく具体化し始めていたその矢先です。アサド大統領が化学兵器を使う合理的な理由は全くありません。自らの和平と国家再建の努力を水泡に帰すものでしかありません。
逆に、米欧と反動王政諸国にとっては、ロシアの介入によってアサド政権が優位に立った局面を再び戦争状態に戻すチャンス、アサド打倒のチャンスと見たのです。
(ハンマー)