7月27日大阪市議会で「大阪市立学校活性化条例」、「大阪市労使関係に関する条例」、「職員の政治的行為の制限に関する条例」、「政治的中立性を確保するための組織的活動の制限に関する条例」が可決されました。それぞれ大阪市政や教育、公務員・教職員のあり方を大きくかえるもので、極めて重大な問題をはらんでいます。
※「市政改革プラン予算」「学校活性化条例」「職員・労組の言論弾圧3条例」可決糾弾!
http://blog.goo.ne.jp/liveinpeace_925/e/13d9db23fde8720955d4b4c23113867b
8月1日、橋下市長は早速「公務員の意見表明について」なる文書を全職員に発しています。直接言及はしていませんが、「大阪市労使関係に関する条例」、「職員の政治的行為の制限に関する条例」などの成立を受け、公務員・教職員がやってはならないこと、「懲戒の対象」となる事例をここで挙げ、恫喝を加えているのはまちがいありません。
ここで紹介されている事例はいずれも、ごみ収集事業の民営化と子どもの家事業廃止という、セーフティーネットを壊してしまう市政に対して公務員、教員が危惧を表明したものです。
労働組合が賃金労働条件以外についてビラで発言すること、教員がテレビのインタビューに答えて自分の意見を表明することが「条例違反」である可能性を強く示唆し自粛を呼びかけているのです。
しかし、それぞれの職員が自分の仕事や活動にやりがいや誇りを持ち、それが切り捨てられ、必要としている人たちに困難が及ぼうとしていることに対して反対を表明することがなぜ悪いのでしょうか。橋下市長は巧妙です。ストレートにそれを言わないで、「誤った事実を発信」「不安に陥れる」という言い方でこれらの発言を非難しています。ところがこれらの市政方針は公表され、パブリックコメントの対象にもなってきた重大な事案なのです。
公務員・教職員によるこのような発言が禁止されるようになれば、関わる市民の生活自身が危ぶまれることになります。「公務員からの表現の自由の剥奪」というようなレベルではすみません。子どもの家事業の意義などは、なかなか当事者でないとわからないことが多いです。テレビで報道されて初めてその意義を知ったという人も多くいるはずです。困難な家庭事情を抱えている子どもたちの唯一の居場所、文字通り命のセーフティネットになっているという事実があります。それは当事者のスタッフや教員、子どもたちの言葉によって伝えられなければわからないものです。
公務員や教員がテレビのインタビューに答えて発言をしたり、チラシをまいたり、さまざまな表現をすることがますます困難になってしまいます。公務員の人権を無視し、市長の方針には奴隷のように従えという、このような文書は撤回されるべきです。
大阪市、橋下市長に「公務員の意見表明について」を撤回するよう働きかけましょう。
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大阪市人事室 人事課
住所: 〒530-8201 大阪市北区中之島1丁目3番20号(大阪市役所4階)
電話: 06-6208-7511 ファックス: 06-6202-7070
メールは下記アドレスの一番下にあるメール送信フォームから送ることができます。http://www.city.osaka.lg.jp/jinji/page/0000179110.html
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公務員の意見表明について(大阪市ホームページ)
http://www.city.osaka.lg.jp/jinji/page/0000179110.html
公務員の意見表明について
本市職員向けに本日、以下のメッセージを発信しました。
先日、公務員による次の2つの事案が発生しました。これらが市民・府民に与える影響を見つめなおすことで、公務員の情報発信について、職員の皆さんにあらためて考えていただきたいと思います。
事案1 労働組合が市民配布したビラの記載
「いま「コスト削減」が優先され、ごみ収集事業の民営化・非公務員化が検討されています。」「セーフティーネットが危ぶまれています。市民の皆さんの日常生活に大きく影響することがほんとうに心配です。」
事案2 府立教員による市政改革に対するテレビコメント
「(子どもの家事業廃止は)私たちの学校からすると考えられないことで、セーフティーネットをいきなり切るということですから、…」
誤解のないように言いますが、個人の立場で発言することは、公務員であっても基本的に自由です。また、自らの業務について積極的に広報することはどんどんやるべきです。
しかし、事案1については、労働組合が自らの勤務条件に関することを表明するならともかく、市の施策方針に反対するために、市民生活を不安に陥れる表現を使っています。
民営化・非公務員化にあたっても、市民サービスの維持向上を図り、災害発生時の廃棄物対策も含めて、ごみ処理の責任を果たすことは、市として当然のことであるにもかかわらず、です。
民間企業で、従業員が会社の信用を傷つけ、業務に支障を生じさせるような宣伝をするなど聞いたことがありません。このようなことが許されるのでしょうか。
事案2についても、個人的な発言ということですが、府立高校教員という肩書きで、勤務先の学校内で発言されたものです。それがテレビで流されれば、だれでも学校を代表する発言と受け取ります。まして、コメントは、具体的な見直しの内容や時期など事実に基づくものでなく、市民に誤解を与えています。
社会に大きな影響力を持つ公務員が、無責任な発言をすることはあってはなりません。公務員という肩書きで個人的な見解を言うべきではないし、たとえ個人的な発言であっても、誤った事実を発信することは言語道断です。
公務員は、身分や職が保証されているために、一般の会社員と異なり自らの発言が組織全体の事業に与える影響を軽視する傾向にあるのではないでしょうか。
公務員の責任の重さ、事業への影響を充分に自覚した上で、組織の一員として正確な情報発信に努めていただきたいと思います。そして、誤った内容がメディアなどに流れれば、直ちに修正してほしい。
市民の皆さんに、正確な情報を伝え、理解や評価をしてもらう。まさに、行政の説明責任です。皆さんの意識改革を強く期待します。
平成24年8月1日
大阪市長 橋下徹
(ハンマー)