PTAも保護者の立場から教育基本条例に厳しい批判をしている。
府立138高校のPTAでつくる府立高等学校PTA協議会(藤田城光会長)が10月19日、橋下知事や浅田均議長(維新の会)らに嘆願書を提出した。
条例案は保護者に対して、学校運営に主体的に関わる義務(第10条)、学校への不当要求の禁止(第10条)、家庭教育の義務(第10条)が条文化されていることをとりわけ問題視している。報道では、不景気で両親が働かなければ食べていけないとか、親の介護をしている家庭も多い現状を説明し、なかなか学校へ通えない保護者と学校に通える保護者との間に、「貢献度」を巡って対立が生じる可能性など、広い信頼関係を崩すものとして批判したという。
家庭に教育の義務を課して、十分に勉強をみることのできない家庭はどうなるのか。子どもが日々の暖かい食事をとることさえ困難な状況がある中、条例はそのような具体的な現状を全く考慮していない。
さらに保護者が学校協議会を通じて、校長や教員の評価に関与できることについても、藤田会長は記者会見で「評価する基盤も持っていないし、人づたえの情報に基づいて評価などできない」と語っている。
橋下・維新の会は、教員には校長への服従を義務づけながら、住民と学校については、保護者に義務を課す一方で学校を監視する権限を与えるという異様な対立関係をつくり出そうとしている。信頼関係ではなく、敵対・対立・監視・不信の関係によって、学校をどうよくしようとしているのか。学校協議会に橋下氏の肝いりのメンバーを集めて学校を監視する権力機関にしようというもくろみは破綻していると言わなければならない。
藤田氏は「橋下徹知事の一方向だけが『大阪の教育』と決めてしまうのは怖い、教育の場が政治の道具であってはならない」と条例の眼目である政治介入をも厳しく批判している。
※大阪のPTA「教育基本条例案再考を」橋下知事に要求(朝日新聞)
http://www.asahi.com/national/update/1019/OSK201110190192.html
※府立高PTA協 「保護者負担大きい」
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news/20111020-OYT8T00636.htm(読売新聞)
※教育基本条例案:大阪府立138高のPTA協議会が嘆願書 見直し求め知事らに(毎日新聞)
http://mainichi.jp/kansai/news/20111020ddn041010013000c.html
※保護者もノー 府立高PTA協が教育条例嘆願書(大阪日日新聞)
http://www.nnn.co.jp/dainichi/news/111020/20111020025.html
(ハンマー)