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[オスプレイ配備を許すな(9)]機体設計の基本的欠陥③原理の違う飛行システムの強引な組み合わせ

2012-06-26 | 沖縄

 こういう安全性に余裕のない機体を無理やり飛ばすには人間の能力だけでは不可能だ。なので、フライ・バイ・ワイア・システムで全面的にコンピュータに頼っているが、どのようなプログラマーでも、他に例を見ない二つの飛行原理の組み合わせという複雑なシステムによる各種の飛行パターンに完全に対応できるプログラムの作成などまず不可能だ。

 また、ヘリモードでの操縦に使用するサイクリック操縦桿と、飛行機モードでの操縦桿は兼用だが、操作する対象は全く別物であり、一番微妙なモード遷移時の操縦の切り替えや、その際にエンジンなど重要な機材にトラブルが発生したらどうなるか、考えただけでも恐ろしい。
 「死荷重を減らして搭載量を増やす」という至上命題のもとで、確信犯的に最低限のシステムの冗長性まで犠牲にしてしまったために、いつまでたっても事故が絶えない結果を招いている。

ちなみに、普通の飛行機の場合は、操縦索による人力操縦か、それに油圧によるバックアップ機構を付加した機力操縦が一般的だ。しかしフライ・バイ・ワイアでは、操縦桿は単なる「ジョイスティック」。単にコンピュータに電気信号を送っているだけだ。その信号に応じてコンピュータがエンジンや各舵などを操作している。

つまりフライ・バイ・ワイアでは、操縦桿と各舵面は機械的につながっていないため、何らかの原因で電源喪失→即ノーコントロールになる。コンピュータに被弾しても即墜落となる。エンジン停止で発電不能となっても、即アウトではなくバッテリーに電気が残っている間は操縦できるだろうが、どのくらい持つのかはわからない。

また、各舵面やエンジンナセルの角度変更は油圧操作だろうから、油圧システムがエンジン駆動の油圧ポンプによるものだったら、エンジンが両方止まれば操縦は不可能となる。
 ただ、各舵の制御程度は能力の小さい電動ポンプでも可能だろうが、重量と空気抵抗が大きくパワーのいるエンジンナセルの角度変更は電動ポンプでは到底無理だろう。
 水平飛行時にエンジンが故障したときに、ヘリモードに変更できないというのは、そのためだと思われる。
※操縦系統 flight control system(航空実用辞典)
http://www.jal.com/ja/jiten/dict/p118.html#01

 ミラマー基地所属の操縦士は1月、固定翼機モードで飛行中にエンジンが停止した場合、回転翼をヘリモードに切り替えることができず、固定翼のみで着陸を図ることを明らかにしている。
※オスプレイ緊急着陸 固定翼のみ 米軍操縦士が説明(琉球新報)
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-186500-storytopic-53.html

 繰り返しになるが、いつまでも事故が絶えないのは、もともと飛行原理のまったく違うヘリと、飛行機のいいトコ取りという虫のいい設計の機体を、未完成のプログラムで無理やり飛ばそうとすることによる当然の結果だと思う。このタイプでは過去にフェアリー・ロートダインがあったが、この場合はローターとプロペラはそれぞれ独立していたのでまだ安全(それでも結局商業化はできなかった)だったが、それではローターとプロペラの片方がいつも死荷重となるので、こういう無謀な設計になったと思われる。しかし結果は失敗だったというべきだろう。
フェアリー・ロートダイン(ウィキペディア)

 付け加えれば、オスプレイの売り物のヘリ・モードでの垂直離着陸については、カタログにはうたっていても実際は搭載量が制限されるため常用できず、ローターを傾けての滑走による離陸が通常の運用形態となっている。
V-22(航空機)(ウィキペディア)

 結局オスプレイは、せいぜい実験機どまりで、実用機として運用するのは不可能で全く暴挙なのである。

(Fuku)

 

 


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