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「われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する」

「事件」への怒りを県民とともに分かち合おう(沖縄からのたより)

2016-06-03 | 沖縄

沖縄在住の会員より「たより」がとどきましたので、写真とともに掲載します。

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 言葉が出ない。仰天。またか、で済ますことができない。沖縄をないがしろにするな。このことは、まちがいのない県民の想いである。

5月19日、4月末日から行方不明であった20才の女性が遺体となって、発見され、米軍属・海兵隊員の男性が逮捕された。

「私たちに静かな沖縄を返してください。軍隊のない、悲劇のない平和な島を返してください」。1995年、米兵の少女暴行事件に抗議し、地位協定見直しを求める「県民総決起大会」での高校生の訴えである。米軍当局は、協定を盾に軍人・軍属の身柄は県警に引き渡すことを拒否した。あまつさえ、軍高官は、レンタカーを借りる金があれば、「欲求」を満たせるとの被害者のみならず、女性全体を侮蔑し、火に油を注いだ。その怒りは復帰後の最多の8万5千の集会となった。

それから20年。ほぼ同時期に生を育んできた被害者女性は、この1月に成人式を終えたばかり、約束した結婚もまじかに控えていた。快活で、気配りができ、皆からに好かれていたという。この上のない幸せのなかで「好きな人と心通わせ、今が一番楽しい時期だった。かけがえのない宝物」が、失われた。

夢や希望が描かれるはずの華やかなピンクのキャンバスが、真っ赤に染められた。事件後、「娘の魂(マブイ)を拾い」に遺棄現場を訪れた父親は悲しみをこらえながら、「お父さんだよ。お父さんのところに帰るよ。みんなと一緒についてきてよ。お父さんのところに帰ってきてよ」と、哀切の心を絞り出すように表された。 

日米両政府の小手先の幕引きを許さない

「全基地撤去」の声が響き合っている。政府は「地位協定の運用改善」、「基地負担の軽減」、米当局は「綱紀粛正」、「再発防止」を繰り返し、「迅速」な終結の幕を引こうとしている。 

日米首脳会談の繰り上げての会談、元海兵隊員・軍属の加害者の取り調べの県警側への引き去り、の「小手先」の対応で解決しようとしている。そもそも、ニコルソン在沖米四軍調整官は、加害者は「米軍の兵士でなく、米国政府の従業員でもない」、このような軽い認識の下での「責任・協力」でしか持ち合わせていないのである。

 翁長知事のオバマ大統領との会談要求に「中央政府間で協議されるものだ」(菅官房長官)と、にべもない。事後対策としては、「防犯灯の設置等」危険なところに近づくなとの、単なる防犯対策。安倍首相に至っては、先にあげた首脳会談では、「辺野古移設が唯一の解決策」と、のたまう。これでは、島尻大臣が「今後、改正・改定を求めていかざるを得ない」の閣内の不一致となる発言、ケネディ大使の来沖停止の混乱と動揺が避けられなくしているのは当然である。 まさに「ガッテンナラン」(稲嶺名護市長)。県民は怒り心頭。落としどころのないメルトダウン状態だ。

沖縄県民は即刻の抗議と反撃に打って出ている。

なにしろ、3月での那覇市内での「暴行事件」からの直近のことであり、逮捕からの直後といってもいい22日未明には、北谷で米軍兵が飲酒運転で検挙される始末。4月19日の事故防止の県、外務省、防衛相、米軍による「ワーキングチーム」の発足での藥組が作られ、その実効性が待たれるところであったにもかかわらず、である。 

辺野古新基地建設反対から 全ての米軍基地の撤去へと闘いを進めよう

1972年の復帰から15年末までの米軍関係者による犯罪検挙件数は5896件、そのうち殺人、強盗、強姦、放火などの凶悪犯は574件。うち強姦は129件147人にのぼっている。

米国防総省2012年には、軍内部での実質的な性的暴行の被害者数は1万9千人とする報告を行っている。「基地があるがゆえに」である。相手と自らの人権と尊厳を最低限にレベルへと引き下げ、そのことによって、越えがたい生死の境界をなくし、暴力をもって弱肉強食の世界を演じるのが戦争である。基地での日常生活や訓練が、無意識にできるまでに、頭脳や肉体を鍛錬するのであろう。

5月22日、在沖トップの事務所がある米軍キャンプ瑞慶覧ゲート前で女性団体を中心とする「元米海兵隊兵士の事件被害者を追悼し、米軍の撤退を求める集会」が開かれた。沖縄の風習で、死者の化身・魂(マブイ)とみなされる「ハーベールー(蝶・オオゴマダラ)」をデザインしたプラカードと黒か白の喪服にちなんだ服装で哀悼を表したマイクやシュプレヒコールなしのサイレント集会で抗議した。緊急の集会であったが、2千人が駆け付けた。静かであるが、その沈黙が叫びの深刻さを一層浮かびあがらせるものとなった。

後半部分の要求書・・・・

私たちは「軍隊は構造的暴力組織であり、平時と戦時を問わず、人間の安全を保障しない」と訴え続けてきました。基地・軍隊は、人間の心と身体を深刻までに破壊しており、それはフェンスの内と外とを問いません。沖縄に駐留する米軍人・軍属・家族のひとりひとりにも呼びかけます。自分たちには関係ないという態度は許されません。私たちと共に悼み、怒り、抗議の声を上げてください。

私たちは、日米両政府、米軍、沖縄県に対して、基地・軍隊の駐留がもたらすこのような現実を直視、責任ある行動を、以下のことを強く要求します。

一、       被害者を取り巻く人びとへの謝罪とケアが丁寧に行われること

一、       真実が究明され、加害者への七厳正な処罰が行われること

一、       沖縄に暮らす人びとの真に安全な社会が実現するため、沖縄からすべての基地・軍隊の撤退を求める

2016年5月20日

基地・軍隊を許さない行動する女たちとの会 他36団体

 25日、緊急県民集会に4000人参加

  5月25日、平日の2時、嘉手納基地第一ゲート前は予定の3千人を大きく上回る4千人が結集した。梅雨空の肌にねっとりとまつわる汗、曇天を貫く熱線。怒りはそれらを払いのけ、集会をヒートアップさせる。

冒頭の稲嶺名護市長は、「綱紀粛正」の空文句の繰りかえされる言葉は、もういらない。安心して暮らせる生活を送れる環境を自ら作り出し、そのための闘いの継続と協力を呼びかけた。被害者と同世代ともいえるシールズ琉球の玉城さんは、もうこんな沖縄は嫌だ。基地のある沖縄で生きていきたくない。ウチナンチュウとして過去とその社会構造と向き合い、沖縄だけにとどめるだけでなく、世界中で訴えていこう。声が詰まり、涙を浮かべての呼びかけは、参加者の家族の同世代の子や孫か、被害者の姿と重なり合ったのか、あちこちで涙を誘った。話のごちそうは、もういらない。保守も革新もない、もう米軍基地は全面撤去した方がいいとの声が演壇に立ち上がった人たちの共通の言葉となった。

決議も述べている。「本土復帰後44年を経てもなお、在日米軍専用施設の約74%が集中する沖縄。その現実を日米両政府は無視し続けてきた。早急に日米両政府の責任で具体的な解決策を取らなければ、戦後最大級の『県民総ぐるみの基地撤去運動』が展開されるだろう」と。

すでに6月19日には、その行動が決定された。昨年の5月17日の奥武山公園内にある球場からあふれて、それでも3万5千人の参加者を見た。今回は、これを大きく上回ることは間違いない。球場以外の全面を会場として準備されていることだ。県議選と参院選のはざまであり、それらとの闘いとも結合しての闘いでもある。さらに、予定されている代執行裁判に代わる係争委員会の結審も予定されており、県内最大・最高の政治決戦、しかも、改憲阻止、安保法制廃止の全国内な政治的焦点へと立ち上がろうとしている。沖縄への支援と本土各地の連帯した闘いを強大にし、立ち上げよう。

(N)


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