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「われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する」

[オスプレイ配備を許すな(18)] オスプレイを沖縄と日本に配備する戦略的意味などない

2012-07-23 | 沖縄

 オスプレイの岩国への陸揚げが強行された。沖縄と全国から反対と怒りの声が高まる中、一体何のためにもってくるのか。欠陥だらけの軍用機オスプレイを日本に持ち込み危機にさらすことにどんな意味があるというのか。
※オスプレイ12機の岩国搬入終わる 政府、海上ルート飛行要請へ(中国新聞)
http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp201207230159.html
※オスプレイ、岩国陸揚げ…試験飛行は当面自粛(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20120723-OYT1T00220.htm

 玄葉外相は 「実は非常に性能が高い。南西諸島の防衛を含め、抑止力が高まる」などと語っているが、そもそも海兵隊の沖縄駐留に戦略的意味など存在しない。鳩山元首相が「抑止力は方便」といったことで証明済みだ。
※朝鮮半島有事に威力 オスプレイ配備(産経新聞)
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120701/plc12070100160000-n1.htm

 クリントン米国務長官も「沖縄に配備すれば日本の防衛に貢献するし、人道支援、災害対策、その他の任務も行うことができる」と語っているがこれもまた欺瞞以外の何ものでもない。いつ被災地に墜落してくるわからない。最大の人道支援はオスプレイを配備しないことだ。「災害支援」で被災地に派遣してホバリングなどしたら、それこそ強烈なダウンウォッシュで二次災害のほうが大きくなるのは間違いない。そもそも「人道支援、災害対策」を言わざるをえないことが、オスプレイ配備の意義が希薄であることを示している。

 確かにオスプレイは現在配備されているCH46と比較し、航続距離が約3900キロで5・5倍、荷物の搭載量も3倍以上で、中国内陸部まで兵員や物資を輸送でき、米にとっては、対中国戦略の重要な兵器と言われている。これだけでも中国にとっては大きな脅威となる。

 

 しかし、アメリカの「アジア重視」の対中軍事包囲網が、どれだけ軍事的にリアリティがあるものなのかが大きく疑問である。もちろん政治的には、急速に没落しつつある米国が、中国に世界の覇権を奪われることに対する強い焦燥感をもち、経済・政治・軍事面からそれへの巻き返しが衝動力になっていることは間違いない。TPPはその経済版である。

 しかし、ノルマンディや硫黄島などの古典的な「敵前上陸作戦」を米海兵隊が中国相手に実行するなどというシナリオが今時ありえるわけがない。そんな作戦は朝鮮戦争での仁川上陸が最後だ。

 オスプレイは輸送機である。今の時代に、もし米海兵隊が中国領土に足を踏み入れることになれば、核戦争の引き金を米政府が引いてもかまわないと決意したことになる。オスプレイで輸送された人員だけで対中戦争を遂行できるなど、だれでもわかることだ。(第一そうなるはるか前に、中国が手持ちのドルと米国債を放出しただけで、世界経済はヨーロッパ危機どころではない大混乱になるだろう。)

 また、日本の尖閣列島などのために米国が、ワシントンやニューヨークを中国のICBMの標的に差し出す覚悟で、対中戦争に踏み切るというのも絶対あり得ない。(アメリカは歴史的に開戦するかどうかを決める際は、いつでもそれによってこうむる自国の損害と、得られるであろう利益を天秤にかけて、利益が十分に大きい場合にのみ戦争をしかけてきた。ただし、アフガニスタン戦争やイラク戦争の結果などで明らかなように、その皮算用も全く破算しているが。)

 今米国が対中軍事包囲網を提起している意図は、自らは対中経済関係を維持しながら、自分の手は汚さず日本やベトナム、フィリピンなどを中国にけしかけて東アジアに「軍事的緊張関係」を作り出し、なんとか衰え始めた覇権を維持し、国家財政危機で縮小を余儀なくされつつある軍と軍産複合体の利益を確保することではないか。

 その一環として米海兵隊を、沖縄やハワイだけでなくオーストラリアやフィリピンにも常駐させ、定期的に部隊を移動させるための移動手段としてオスプレイを使おうということなのである。
 長期間の開発で経費がかさみ、今や現用CH-46の10倍以上の価格になったオスプレイを、世界一厚遇してくれる沖縄に配備して、利用価値を誇示しようというのが米国の意図だが、オスプレイ固有の致命的な欠陥がそれを阻んでしまったというところだろう。

 戦闘状態の続いているところにオスプレイのような不安定で脆弱な機体を投入したら、戦う前に被害は続出する。米軍は2005年に運用評価を完了し配備を開始するが、初めてオスプレイをイラクに派遣したのは主だった戦闘が終息した2007年12月になってからであった。アフガニスタンにも占領開始から8年もたってから配備している。戦闘が激化している段階では危なくて使えなかったのである。

 そのイラクやアフガニスタンでは、ローターの巻き上げた土埃を吸い込んでエンジンの耐用限度がわずか200時間程度になったと報じられている。2010年オスプレイがアフガニスタンで墜落し4人が死亡した事故については、空軍司令官がこのエンジン不具合を事故原因としないよう執拗な圧力をかけたことが暴露されている。
※[オスプレイ配備を許すな(15)] アフガニスタン事故原因=エンジン不具合を改ざんするよう圧力
http://blog.goo.ne.jp/liveinpeace_925/e/0ced2755c84d2c38dd28ab2f74e5e0f5

 米本国では低空飛行訓練は騒音問題等で問題になって住民の声を無視できなくなり、訓練の中止を追い込まれている。
※[オスプレイ配備を許すな(6)]米空軍、住民の反対で本国でのオスプレイ訓練保留。
http://blog.goo.ne.jp/liveinpeace_925/e/595c84b2fc54543e3749aeaae09e4fb7

 オスプレイを日本へ持ち込む戦略的意味など存在しない。あるのは、沖縄と日本の住民を人とも思わず、危険なオスプレイの格好の演習場として沖縄と日本列島全体を利用したいという意図だけである。野田民主党政権は、高江のヘリパッド工事を強行し、岩国へのオスプレイ陸揚げを容認し、日本の国民のためではなく、米国のための政治へと急旋回している。全国から、反対の声を強めていこう。オスプレイ配備、訓練を絶対に阻止しよう。

(Fuku)


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