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公務員にだって政治活動の権利はあるんだよ

2012-07-23 | 橋下・維新の会にNO!

 7月の大阪市議会に提出された大阪市職員の政治活動規制条例案について、大阪維新の会と公明党が合意したとの報道がありましたが、他の会派から反対意見が続々出ていることが報じられました。

大阪市:職員の政治活動規制条例案「時代錯誤だ」 議会反対続々 橋下市長、将来的見直し示唆 毎日新聞 2012年07月21日 大阪夕刊

「市議会では条例案への批判が続出。自民の黒田當士(まさし)市議は「このまま進めると訴訟リスクが大きい」と反対を表明。OSAKAみらい(民主系)の奥野正美市議は、欧米で公務員の政治活動が幅広く認められていることに触れ、「(世界の)流れに逆行している」と批判。共産の山中智子市議は「なぜ休日の活動まで規制するのか」と疑問を投げかけた。」

 自民党議員が「訴訟リスクが大きい」と言っているのは、この条例案が、基本的人権を侵害し、憲法に違反しているからです。つまり、この条例で不利益をこうむった人が裁判に訴えた場合に、「違憲判決」が出される可能性が高いのです。

 この条例案の第1条には次のようにあります。
 
第1条(趣旨)この条例は、地方公務員法の政治的行為の制限に関し必要な事項を定めるものとする。
 
 ここで取り上げられている地方公務員法の内容について具体的に見ていきましょう。
 

第36条 職員は、政党その他の政治的団体の結成に関与し、若しくはこれらの団体の役員となつてはならず、又はこれらの団体の構成員となるように、若しくはならないように勧誘運動をしてはならない。

②職員は、特定の政党その他の政治的団体又は特定の内閣若しくは地方公共団体の執行機関を支持し、又はこれに反対する目的をもつて、あるいは公の選挙又は投票において特定の人又は事件を支持し、又はこれに反対する目的をもつて、左に掲げる政治的行為をしてはならない。但し、当該職員の属する地方公共団体の区域外において、第1号から第3号まで及び第5号に掲げる政治的行為をすることができる。

一 公の選挙又は投票において投票をするように、又はしないように勧誘運動をすること。

二 署名運動を企画し、又は主宰する等これに積極的に関与すること。

三 寄附金その他の金品の募集に関与すること。

四 文書又は図画を地方公共団体又は特定地方独立行政法人の庁舎、施設等に掲示し、又は掲示させ、その他地方公共団体又は特定地方独立行政法人の庁舎、施設、資材又は資金を利用し、又は利用させること。

五 前各号に定めるものを除く外、条例で定める政治的行為

③何人も前2項に規定する政治的行為を行うよう職員に求め、職員をそそのかし、若しくはあおつてはならず、又は職員が前2項に規定する政治的行為をなし、若しくはなさないことに対する代償若しくは報復として、任用、職務、給与その他職員の地位に関してなんらかの利益若しくは不利益を与え、与えようと企て、若しくは約束してはならない。

④職員は、前項に規定する違法な行為に応じなかつたことの故をもつて不利益な取扱を受けることはない。

⑤本条の規定は、職員の政治的中立性を保障することにより、地方公共団体の行政及び特定地方独立行政法人の業務の公正な運営を確保するとともに職員の利益を保護することを目的とするものであるという趣旨において解釈され、及び運用されなければならない。

 条例案では、この36条②五の「条例で定める政治的行為」というのを定めようとしているわけです。

 しかし、そもそも、政治的行為をする権利は誰にとっても基本的な権利であり、公務員といえどもその権利はたしかに有しています。思想良心の自由、集会・結社・表現の自由は、憲法19条、21条において、全ての人に認められています。

憲法第19条 思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。

憲法第21条 (1)集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。

 この条項をみだりに否定することは、もはや“民主主義の死”と言わざるをえません。

 そして、公務員としての職務の特殊性からその権利の制限が認められるとしても、その制限は必要最小限度にとどめられなければなりません。
 したがって、この地方公務員法においては、罰則は定められておらず、その趣旨も、⑤にあるように、「地方公共団体の行政及び特定地方独立行政法人の業務の公正な運営を確保するとともに職員の利益を保護することを目的とする」というものであって、その趣旨において、解釈・運用されなければなりません。

 さらに、「当該職員の属する地方公共団体の区域外において、第1号から第3号まで及び第5号に掲げる政治的行為をすることができる」とあります。私人としての活動を何から何まで縛るような条例は、明らかにこの法律に違反しています。

 法律で罰則が定められていない事柄について、条例で罰則が定められるのか、しかも、罷免をも含む非常に重い不利益が課せられるのか、という問題ひとつをとってみても、この条例のおかしさは明らかです。(鈴)


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