(政府記者会見会場にて)
警察官「トクヒ!!記者会見中止!!」
毎朝新聞記者「おい、またかよ!!官房長官の記者会見が中止になっちゃったじゃないか。」
朝晩新聞記者「読買新聞の記者が、今度政府が導入を計画しているイージス艦の種類と調達数量を聞いたからだよ。」
朝晩「秘密保護法の別表に「武器、弾薬、航空機その他の防衛の用に供する物(船舶を含む)の種類又は数量」とあって、自衛隊の装備や数量、計画などは特定秘密扱いだからな。」
毎朝「記者会見が中止になるだけで、逮捕されないだけましだよ。この前の記者会見では、東京オリンピック会場整地について追及しようとした記者が逮捕されたからね。」
朝晩「あれは、老朽化した霞ヶ丘アパートの撤去・立ち退き問題や東京湾臨海部の埋め立て問題で、記者は住民の反対を伝えようとしたんだけど、政府は別表4にある「テロ活動による被害の発生・拡大の防止」を口実に記者会見を拒んだんだ。」
毎朝「立ち退きも埋め立ても、本当は巨額の利権が動いていて談合や汚職疑惑が渦巻いているけど、「テロ活動防止のため」の「特定秘密」と言われれば、マスコミは何も聞けなくなる。」
朝晩「5年前に「特定秘密保護法」ができてから政府の記者会見には必ず警察が立ち会い、記者が特定秘密に触れた質問をしないかどうか監視するようになった。トクヒなんて言葉もできちゃって、子どもたちも「トクヒごっこ」して遊んでいるよ。こっちは何がトクヒかわからないからビクビクだ。トクヒと言っているが、本当は特定秘密に指定されていないかもしれない。ウソをつかれてもわからない。」
毎朝「当時、メディア規制につながるという批判に対して、政府は「報道統制はしない」「しつこい取材をしても罰則の対象外」なんて言明したんだけど、結局ウソだった。」
朝晩「そうだ。1999年に国旗国歌法ができたとき「日の丸・君が代強制はしない」と言っていたけど、瞬く間に強制は小中高校の卒業式に広がっていって、ついには教職員の口元の動きまでチェックする自治体まで現れたのと同じだ。」
毎朝「政府は、記者を逮捕してマスコミを萎縮させる。そして記者会見も中止する。そうしたらトクヒ以外のことも何も答えなくて済むようになるからね。」
朝晩「「秘密保護法」ができた直後は、自衛隊の数や装備、防衛計画の大綱の中身などもだいたいはわかっていたけど、5年もたつといったい自衛隊がどうなっていてどんな運用がされているのかさっぱり分からない。」
毎朝「安全保障に関する外国の政府との協力、つまり米国との協力の方針」もトクヒになっているみたいだから、米軍基地に何がどれだけ配備されているのかもわからない。「自衛隊の運用計画」も全部トクヒみたいだ。日米軍事同盟は今どうなってるんだ!?」
朝晩「福島原発でも、汚染水が出続けているのは確実なのに、テロ活動防止を理由に、原発の被害のことは一切公開しないようになった。甲状腺ガンなどの健康被害の情報も「社会不安」をあおるから、テロ活動防止のためにということで一切公表されない。もともと東京五輪にむけて原発事故対策が進むかに見えたけど、秘密保護法ができて、政府は何もしなくなった。」
毎朝「おや、こんどは首相の緊急記者会見がはじまるみたいだ。」
(首相緊急記者会見)
首相「K国が我が国に対してミサイルを発射することが確実となりました。集団的自衛権法における緊急対応を発動し、予防的措置として自衛隊によるK国ミサイル基地爆撃に踏み切ります。」
読買「総理、質問です。K国が我が国に向けてミサイルを発射すると判断した根拠について教えてください。」
首相「国家安全保障会議(日本版NSC)の決定事項です。」
読買「閣議決定もしていないじゃないですか。」
首相「軍事外交政策については、国家安全保障会議が最高決定権を持ちます。」
読買「そんなことどこで決まったんですか。」
首相「それはトクヒです。」
毎朝「K国攻撃を判断した根拠を教えてください。」
首相「それもトクヒです。」
朝晩「在日米軍との共同行動ですか。」
首相「それもトクヒです。みんなトクヒです。」
朝晩「首相、国民にきちんと説明してください。」
警察「教唆と強要、特定秘密保護法違反で逮捕だ。」
毎朝「たいへんだ、国民に何も知らされないうちに戦争になっちゃうよ。」
(ハンマー)