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自民党「特定秘密保護法の新聞報道への反論・23」が明らかにする特定秘密保護法の危険(その五)

2014-01-09 | 秘密保護法

リブインピースホームページ自民党「特定秘密保護法の新聞報道への反論・23」が明らかにする特定秘密保護法の危険よりの転載 

以下Qは「特定秘密保護法の新聞報道への反論・23」による

Q14 アフリカ出身者や支援団体が「テロ防止」や「外交上の必要性」との名目によって、安易に監視対象になりかねない(12月2日 朝日新聞・朝刊)

 回答は「本法は、特定秘密の保護について規定するものであり、特定の者の監視について規定する者ではありません」「適性評価は、あらかじめ、対象者本人の同意を得た上で実施」するとしている。
 だが、第12条第1項で書かれている「適性評価」を行う条件は、その対象が、“新たに特定秘密を扱う者”に加えて、“以前の「適性評価」から5年経った者”、そして“引き続き当該おそれがないと認めることについて疑いを生じさせる事情があるもの”である。

 最後の「疑いを生じさせる事情があるもの」とは何か、そしてだれがそう判断するのか。【逐条解説】ではこれについて、「疑いを生じさせるおそれがある事情を行政機関の長が把握した者」および5年間に「重大な変化(婚姻等)があった者」とされる。「行政機関の長が把握」するためには職場の上司や同僚が日常的に「取扱者」を監視し情報交換しなければならないだろう。そこには婚姻だけでなく交友関係や参加しているサークル、新たな借金なども含まれるのは当然だろう。外国人や外国人の支援団体などと関わるようになったら、「疑いを生じさせる事情がある」と判断されるだろう。
 つまり、「適性評価」は一回限りではなく日常的な監視体制を含み、しかもそれは行政庁だけでなく民間企業、さらには家庭、地域、社会全体にひろがって行かざるを得ないのである。

 外国人については、【逐条解説】において適性評価の国籍条項として以下の記述がある。
 「評価対象者の配偶者や家族、同居人といった者に外国籍の者や帰化歴がある者がいる場合は、・・・当該外国や原籍国の情報機関等が当該評価対象者に特定有害活動(スパイ行為)への関与の働きかけを行うことがあり得ると考えられる」
 「外国に頻繁に渡航している場合、・・・外国人との親密な交友関係がある場合等には、外国情報機関等から情報提供の働きかけを受けていることがあり得ると考えられる」

 これは実に恐ろしい規定である。配偶者が外国人の者、外国人の友達がいる者はスパイ予備軍である。まさに「外国人を見たらスパイと思え」「外国人と親密な者はスパイの危険性がある」と言っているに等しい。宮澤・レーン事件で、宮澤氏らのサークル「心の会」がレーン夫妻との交流から特高に目を付けられたのと全く同じである。
 外国人に対するこのような見方が、「アフリカ出身者や支援団体」への差別と日常的な監視体制につながることは、想像に難くない。

Q15(11月29日 東京新聞・朝刊)、Q16、Q17、Q21(12月6日 朝日新聞・朝刊)、Q20(12月2日 毎日新聞・朝刊)

 これらの報道では、官僚による「情報の囲い込み」、行政機関の長による「恣意的運用」、特定秘密の増殖などが問題にされている。
 内閣総理大臣による関与が問題であるのはQ7、Q16、Q17で述べた通りである。
 ここでは、5年間「特定秘密」指定をしなかった省庁は指定機関から排除されることから、「とりあえず特定秘密に指定しよう」として秘密の増殖が起こること、別表に「その他」が入っていることで際限ない拡大解釈が行われることが問題だ。

 Q20(官僚による情報の「囲い込み」)への回答では、「官僚が情報を特定秘密として「囲い込む」ことはあり得ません」としているが、秘密指定の基準を決めるという情報保全諮問会議も内閣府に置かれ、指定の是非を判断するという「保全監視委員会」も事務次官級つまり行政のトップで構成され内閣官房に設置される。情報の管理状況をチェックする「情報保全監察室」も内閣府に、特定秘密に関する公文書の廃棄の是非を判断する「独立公文書管理監」も内閣府に設置される。すべてが安倍首相の管理下に置かれるのである。そもそも40万件にもおよび各省庁に散在している秘密情報をすべてチェックできるばすがない。

 また、自民党のQ&AではQ23で「.違法行為を隠すために、これを「特定秘密」に指定した場合、内部告発できなくなるのではないですか?」という問いに対して、
 「仮に、違法行為を隠蔽するために、これが特定秘密に指定されたとしても、このような指定は有効なものではなくこれらの事実について内部告発された場合、特定秘密の漏えいには該当せず、通報した者が処罰されることはありません」と回答している。
 ここではたしかに“内部告発者”が処罰されないとは言っているが、それは内部告発があった場合の話である。重要なのは「違法行為を隠蔽するために、特定秘密に指定する」可能性は否定していないということだ。内部告発されない限り、違法行為、汚職、不正は特定秘密として闇の中に葬られるだろう。
 つまり恣意的な運用、情報の囲い込み、秘密の増殖を抑制するしくみは存在しないのである。

(参考)
※「特定秘密保護法の新聞報道への反論・23」は以下のホームページに掲載
  秘密保護法報道?自民党反論文書の中身」(GoHoo)
「特定秘密の保護に関する法律Q&A」(自民党)
「特定秘密保護法 ―3つのポイント―」(自民党)
「特別秘密の保護に関する法律案【逐条解説】」(内閣官房 2013年11月)
「秘密保全のための法制の在り方について(報告書)」(秘密保全のための法制の在り方に関する有識者会議)
 (なお、法律案の制定過程で「特別秘密」が「特定秘密」に変わったため、古い文書では「特別秘密」と表記されている場合がある)

「特定秘密の保護に関する法律(全文)」

(つづく)

(ハンマー)


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