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「われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する」

「戦争国家」を目指す自民党改憲案とそれを絶賛する維新の会代表・石原氏

2012-12-14 | 日々のニュース

 外交問題を武力による威嚇と戦争で解決(石原氏)!?

 日本維新の会の石原慎太郎代表は10日、東京都内での街頭演説で、「自民党が過半数を取りそうだ。そうしたら憲法を変えよう。私たちも賛成する」と述べた上で、さらに朝鮮民主主義人民共和国による日本人拉致問題に触れ「憲法9条のせいで日本は強い姿勢で北朝鮮に臨むことができなかった。・・・あんなモノがなければ・・・『戦争するぞ』『攻めていくぞ』という姿勢で同胞を取り戻せた」などと語りました。
 石原氏は、「有色人種で近代国家は日本だけ」「この国はずっと米国の妾でやってきた。下手すると、今度は隣のシナの妾になりかねない」など、差別意識と偏見満載の問題発言を繰り返しています。
※石原氏 自民と協力し改憲 拉致問題「戦争する、で解決」(東京新聞)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2012121102000109.html
※拉致問題は「9条あるから」 石原氏、街頭演説で(朝日新聞)
http://www.asahi.com/politics/update/1212/TKY201212120676.html
※「200人以上拉致され殺された」石原氏が街頭演説で(日経新聞)
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS1006U_Q2A211C1PP8000/
※「有色人種で近代国家は日本だけ」 暴走止まらぬ石原氏(朝日新聞)
http://www.asahi.com/politics/update/1213/TKY201212130803.html

 今回の総選挙のもっとも危険な面がストレートに出ています。自民党と民主党が「国防軍」「日米同意強化」「消費税切り捨て」「オスプレイ配備」などの右翼的な政策で争点にならず、さらに日本維新の会がそれを上回る露骨な極右政策で対応するという構図です。橋下徹氏は沖縄で「普天間基地はまず辺野古に移設するしかない」と沖縄の人々のこれまでの思いと闘いを踏みにじっています。絶対許せません。
※衆院選:橋下氏、辺野古移設を容認 地元候補と食い違い 「反対なら出ていって」(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/news/20121212ddm005010066000c.html

 石原氏の発言は、日本国憲法が前文や9条で禁じている、「武力による威嚇」そのものであり、外交問題を軍事力による恫喝と武力行使によって解決しようというきわめて危険な考えです。これに対して維新の会の松井一郎幹事長は、「まず憲法96条を変えないと、9条は変えられない」と応じ、石原氏の発言を否定するどころか、そのための道筋を語っているのです。

 自民党の安倍晋三氏は、憲法を改定し「国防軍」を創設すること、その「国防軍」が世界で米軍と一緒に戦えるように集団的自衛権を認めることなどを公言しています。安倍氏は、「自衛隊員が敵に捕まっても軍隊でないから捕虜として扱われない」とも語っています。明らかに、イラクやアフガニスタンなど米国が他国に侵攻するような戦争に参加することを想定しているのです。

戦争ができる国をつくるための自民党憲法改正草案

 自民党は4月に自民党憲法改正草案を発表し、10月には日本国憲法改正草案 Q&Aを出して国民への浸透を図ろうとしています。

※日本国憲法改正草案(全文)
http://www.jimin.jp/policy/policy_topics/pdf/seisaku-109.pdf
※日本国憲法改正草案 Q&APDF
http://www.jimin.jp/policy/pamphlet/pdf/kenpou_qa.pdf

 この自民党憲法草案一言で言えば、戦争ができる国をつくるための憲法です。

 Q&Aでは武力の威嚇や武力の行使の類型を①侵略目的②自衛権の行使③制裁の3つに分け、憲法9条第一項で禁じられているのは①侵略戦争だけで、②や③の戦争は認められていると言います。石原氏が言っているのは、まさに制裁のための戦争です。しかし制裁戦争や報復戦争は国際法でも認められていません。外交問題を軍事力によって解決するなど決して許されていません。北朝鮮に言いがかりをつけて軍事的恫喝をかけ、あわよくば攻めていく、そのような危険な軍事・戦争優先政策を表明するものです。

 「改正草案」の9条には「国防軍」や「集団的自衛権」が明記されているだけでなく第二項の5には審判所=「軍法会議」の設置が入っています。現在の日本国憲法は、軍と武力行使を完全に否定しており、全体が不戦の精神で貫かれていることから、軍法会議など軍の存在を前提にするあらゆる国家システムが排除された構造になっています。それを根本的に変えようというのです。

 さらに9条の三項として「領土保全の義務」がかかれています。つまり尖閣諸島などで領土紛争が問題になったとき、国は軍事力を行使してでも守るということが義務となってしまいます。
 Q&Aの中では、もともとは「国民の「国を守る義務」」を明記すべきとの議論もあったが、徴兵制が問題になるので今回は見送ったことがかかれています。事態はそこまで進んでいたことが分かります。しかし、「国は、「国民と協力して」領土を守る」義務が明記されることで、国民に協力させることが国の義務となってしまうのです。

戦争をするために国民の人権を大きく制約

 このように、国家が戦争をするには国民を動員する強制力を行使しなければならないため、国民の権利の制限、基本的人権を制約するよう諸条項が追加、修正されています。これについてはここではいくつかを列挙するにとどめますが、重大な問題です。

○日本国憲法の根幹をなす「個人の尊重」(第13条)が書き換えられています。 
(改正案)第13条 全て国民は、人として尊重される。
(現行)第13条 すべて国民は、個人として尊重される。
 
 「個人」から「人」への変更は重大です。個人の価値観や生き方を尊重し、一人一人がかけがえのない存在であるという基本的な思想が否定されています。国が“人のあり方”の基準を示しそれに諸個人が合致する限りで尊重するに過ぎないということになりかねません。国と郷土に誇りを持ち、国旗・国歌を尊ぶ国民こそが尊重される「人」なのであり、そこに「個人」の価値観が入り込む余地が無くなってしまいます。

○この書き換えは「公共の福祉」が「公の秩序」にすり替えられていることに連動します。「公共の福祉」は「相互の人権」ととらえることが定説となっていますが、Q&Aではこの考えを敵視し、「公の秩序」=社会秩序とした上で、これを乱す場合は人権が制約されるのが当然としています。国の政策に反対する「反原発デモ」や基地に反対する沖縄の住民の行動などが「社会秩序を乱す」とされてしまう危険がすぐに思い浮かびます。
 実際、表現の自由として認められている結社の自由について、「公の秩序」に反するものは認められないという一項が新たに加わっているのです(第21条)。

○「基本的人権」は第11条で残っていますが、これも書き換えられています。
(改正案)「・・・基本的人権は、侵すことの出来ない永久の権利である」
(現行)「基本的人権は、侵すことの出来ない永久の権利として、現在及び将来の国民に与えられる」
 
 この書き換えは、現在は認めるが将来は認めなくなるかもしれないというニュアンスを含んでいます。それだけではありません。
 Q&Aでは、“基本的人権は(天から与えられた)人が生まれながらにしてもつ権利である”という「天賦人権説」を否定し、「我が国の歴史、文化、伝統を踏まえたものである」という考えで変更したことを明記しています。つまり、基本的人権も「日本の歴史や伝統」によって制約を受けるものなのです。「我が国の歴史と伝統からして、そんなものは日本では基本的人権には入らない」という論理がまかり通ってしまうことになりかねません。

 改憲を目指す安倍自民党とそれを絶賛する維新の会・石原代表。こんな人たちが政権をとったら国民がものを言えない「戦争国家」になってしまいます。

(ハンマー)


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