*朝鮮学校を標的としてきた橋下氏
大阪府の補助金の停止は、2010年3月、大阪維新の会の橋下徹大阪府知事(当時)が、朝鮮学校に対して補助金を支給するにあたっては以下の4要件を満たさなければならないと述べたことに端を発しています。
①日本の学習指導要領に準じた教育活動をおこなうこと
②学校の財務情報を一般公開すること
③特定の政治団体と一線を画すこと
④特定の政治指導者の肖像画を教室から外すこと
その一方で、知事は朝鮮学校の教育について専門家に調査を命じました。その調査結果においては次のような報告がなされています。
・専修学校の設置基準を満たし、教育内容・卒業に必要な単位等について学習要領をおおむね満たしている。
・「日本の教育でも参考にできる点がある」、「民族教育を通じて、大阪とアジアの架け橋となりうる、グローバルな人材の育成が期待される」
朝鮮学校に対する口汚い言葉ばかりが声高に宣伝される一方で、大阪府がこのような調査報告を出していたというのは、ほとんど誰も知りません。
マスメディアを駆使したバッシングが渦巻く中で、学校法人大阪朝鮮学園は、2011年3月8日、大阪朝鮮学園のHPで財務情報を公開するなどしていきました。そして、2010年度の補助金は、初・中級学校には支給されましたが、高級学校に対しては教室から肖像画を外していないことをもって支給を停止されてしまいました。
*4要件を満たしたにもかかわらず様々な口実をつけて補助金を停止する大阪府・市
2011年8月29日の時点では、橋下前府知事は「4要件さえ満たせば補助金を出すというルール」は堅持という姿勢を示していましたが、2011年10月、大阪府は、当初の4要件にはなかった肖像画を職員室からも撤去することを申し入れてきました。これに対して朝鮮学園は「真摯に受け止め、検討する」と返答しました。
そして、2011年11月27日、府知事選挙・市長選挙があり、橋下氏は大阪市長に、大阪府知事には同じ維新の会の松井氏が就任しました。12月21日、新知事は(前年度の8700万円を)800万円に減額した案を議会に提出しました。これは職員室に肖像画のなかった1校分ということでした。
当初の4要件に付け加えられた「肖像画撤去の対象は『職員室を含む』教室」という要件に従って、小・中級学校では職員室からも撤去しました。それは2012年3月10日~17日の大阪市の調査で確認されました。
次々と後出しじゃんけんのように突きつけられる条件を朝鮮学園側はのんでいったのですが、3月16日に、今度は産経新聞が、朝鮮学校生徒が北朝鮮の迎春公演に行ったことを問題視してきました。この件に関して大阪府から朝鮮学園に、学校行事として行ったのかという問い合わせがあり、これに対して学園側は、参加者は自由意志で個人として参加し、学校行事ではないと回答しました。大阪府からはそれ以上の話はありませんでした。
ところが、3月29日大阪府が、要項違反として、補助金を不支給とする処分をおこない、その翌日、大阪府に追随する形で大阪市も補助金を不支給とする処分をおこないました。そして、今に至るまで補助金の支給は完全にストップしたままになっています。
2012年4月から毎週火曜日、大阪府庁前で補助金の再開を求める行動が続いていますが、大阪府・市のの態度は変わりません。そこでついに2012年9月20日、大阪府と大阪市に対する補助金の不交付の取り消しを求めて大阪地方裁判所に提訴することになりました。
次回はこの裁判の公判の課程について報告していきたいと思います。(続く)
(鈴)