毎週火曜日、大阪府庁前では、朝鮮学校への補助金支給の復活と朝鮮高校への「高校無償化」適用を求めるビラまきとアピール行動が続けられています。橋下知事の時にこれまで出されていた補助金が打ち切られてから開始されたこの「火曜日行動」は、2016年1月5日でもう177回目になります。
この新年早々の火曜日行動で、とんでもない出来事がありました。
生後数か月の赤ん坊を抱いたお母さんが、ついさっき松井知事にビラを渡そうとした時のことを報告しました。
火曜日行動は大阪府庁の正面でおこなわれていますが、松井知事はこのごろたいてい裏口から出入りするのです。彼女はそれでも果敢に知事を待ちかまえてビラを渡そうとします。しかし昨年はついに彼女が渡すビラを受け取ろうとはしませんでした。
赤ん坊を抱いて今年こそはと意気込んでいましたが、やはり受け取ろうとしません。彼女は自分の思いを精一杯込めて、立ち去っていく知事の後ろから大声で叫びました。
「知事! この子に面と向かって、この子に学ぶ権利がないと言えるのでしょうか!」
「ない。」
そう言ったのが彼女には聞こえました。信じがたい言葉です。しかし、それは空耳でも聞き間違いでもありませんでした。同じように赤ん坊を抱いていっしょにビラを配っていたもう一人のお母さんも同じ言葉を聞きました。彼女もまた怒りに震えながら、続いてアピールしました。
「知事は、吐き捨てるように『ない』と言い放ちました。これが公人なのか! どんな大人なのか!」
全ての子どもには学ぶ権利があります。当然のことです。それを松井知事は言下に否定したのです。全ての人間には生まれながらに基本的人権が与えられているというのは、あらためて言うのも恥ずかしいぐらいの憲法の基本原則であり、行政職に就いている者なら絶対に否定してはならない最も大切なルールです。
最近、松井知事が「憲法改正」を口に出していますが、このような無知と傲慢さをさらけ出して、いったいどんな「改正」をしようというのでしょうか。
もしも松井知事が、そんなことは言っていない、その赤ん坊にも当然学ぶ権利はあるのだと言われるなら、それはもちろん大歓迎です。ぜひ、補助金支給を復活させ、民族的アイデンティティーを大切にしたいと思って朝鮮学校に通う子どもたちの学ぶ権利を保障してほしいものです。(鈴)