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新型コロナをめぐる新たな「中国陰謀論」「中国情報隠蔽論」(1)

2020-07-19 | 反中プロパガンダ批判

新型コロナをめぐる新たな「中国陰謀論」「中国情報隠蔽論」(1)
西側政府・メディアによる反中・反社会主義攻撃を批判する

反中・嫌中感情の作られ方と帝国主義イデオロギーの怖さ

(1)グローバル・メディア独占資本によるイデオロギー洗脳
 世界中で、新型コロナ問題に関する中国攻撃がエスカレートしている。「発生国中国責任論」「生物兵器説」については、前にブログで事実を上げて反論した(「トランプは自分の責任を中国とWHOになすりつけるな」(1)~(3))。その後も次から次へと中国攻撃が相次いでいる。ここでは「武漢ウイルス研究所犯人説」「武漢の李医師の告発」「AP通信発中国情報隠蔽論」について反論しておきたい。
 中国の党・政府系メディアは、これらに詳細な事実に基づく反論を出しているが、多勢に無勢の状態だ。国際的な新聞・テレビ・通信社のネットワークを支配する国際メディア独占資本は、相互に資本提携しており、大量の反中宣伝を世界中の人々に一斉に拡散し洗脳する仕組みが出来上がっている。それが間違いだと判明しても、彼らは一々訂正しないし、一旦、形作られた反中・嫌中感情は簡単には消えない。やったもん勝ちだ。それが帝国主義支配層の狙いであり、イデオロギー的洗脳支配の怖さだ。自分自身でその情報の真偽を見極めるメディア・リテラシーを意識的に身につけない限り、帝国主義の世論誘導は効果を発する。それはリベラルだけではなく、社会主義を信奉する人々をも捉える。

(2)帝国主義イデオロギーの集中点--社会主義中国攻撃
 トランプ大統領の反中国攻撃が、新型コロナ関連でも、台湾・香港・新疆ウイグルなど中国に対する内政干渉問題でも、貿易問題でも、5Gなどハイテク技術問題でも、南シナ海など軍事問題でも、見境なく全分野にわたるようになっている。それは、11月の大統領再選が危うくなったトランプの危機感と焦りの現れであり、米国民に甚大な被害をもたらしたコロナ対策の失敗を中国への責任転嫁でごまかそうとするものだ。トランプ陣営だけではない。民主党のバイデン陣営も、反中・反社会主義でトランプと競い合う始末だ。米支配層そのものが中国の急速な政治的・経済的発展に恐怖感を抱いている。残念だが、反中・反社会主義では民主党内左派の「民主社会主義」派にも共通する。
 米国だけではない。日本やヨーロッパの西側政府と主要メディアも反中・反社会主義プロパガンダで合唱することが日常茶飯事になっている。いわば中国批判は帝国主義全体に共通の政治イデオロギー攻撃の最大の集中点になっているのだ。それは知らない間に、人々に真の階級敵に対する敵愾心を失わせ、階級意識を曇らせ、民族排外主義、反社会主義を浸透させる。
 事実に基づかない反科学的プロパガンダの跋扈と嫌中感情の扇動に対して、事実に立脚した厳しい反論と批判が必要である。

新たな反中・嫌中プロパガンダの数々

(a)「武漢ウイルス研究所犯人説」
 トランプが先頭に立って騒ぎ立てた反中国プロパガンダの代表は「武漢ウイルス研究所犯人説」だ。5月初めに「大量の証拠がある」「私は見た」とまで言って中国非難を繰り返した。ポンペオ国務長官も同調した。世界中の帝国主義メディアも、いつもはトランプを批判するリベラル系を含めて全てがこれに飛びつき、一斉に垂れ流した。ところが、そんな証拠は何一つ出てこなかった。トランプもポンペオも、国際メディアも、無責任にも知らん顔を決め込んでいる。これとセットで、同時に「中国・WHO共謀説」がトランプと西側メディアによって垂れ流された。WHO攻撃も「武漢ウイルス」と同次元のデタラメなものに過ぎない。トランプは、コロナ禍で国際協力が最も必要なときにWHOへの資金拠出を拒否し、国際的な感染症対策を混乱に陥れている。
 6月18日には、ウォールストリート・ジャーナル紙のインタビューで「中国は新型コロナが国境の外に出て拡散するよう放置したのには、経済的意図があり得る」と繰り返した。ただし、「根拠はない」「自分の勘だが」と述べた。いわゆる与太話の類だ。西側政府・メディアはこれらにただ追随するだけだ。

(b)李医師の「内部告発」の真実
 西側メディアは、武漢の李文亮医師を中国共産党に楯突いた「秘密暴露の英雄」「内部告発の犠牲者」に仕立て上げ宣伝した。曰く、武漢で不審な肺炎が広がっていることを世界に知らせ、事実を隠そうとした当局に処罰された、と。そして彼の悲劇的な感染と死亡を宣伝に大いに利用した。しかし、事実は全く違う。それはむしろ彼の名誉を傷つけるものだ。李医師(眼科医)は12月30日に、勤務する武漢市中心医院の「部内資料」で原因不明の肺炎の発生を知り、会員専用SNS(WeChat)で友人の医者仲間に知らせた。受け取った一人がそれを勝手に外部に広げた。確かに彼は1月3日に公安局から注意(訓戒)を受けたが、それは情報を隠蔽しろということではなく、部内資料流出やSARS発生という誤情報の流出についての注意だ。この1月3日は、中国の武漢当局が「原因不明の肺炎の発生」をWHOに報告した後であり、情報隠蔽を命じても意味がない。まして彼が圧力に反して情報公開したということでもない。
 病院で治療にあたった李医師は、そこで新型コロナウィルスに感染し、2月7日に亡くなった。のちに政府は彼の死を悼み表彰し、4月には新型肺炎との戦いの最前線で命を落とした他の医師ら14人とともに李文亮氏に烈士の称号が授けられたが、それは生命を賭して武漢市民の治療に当たった医師の英雄的行為を称えてのことであった。

(c)「昨年8月に武漢で新型コロナ感染」報道
 最近の反中国プロパガンダで顕著なものに、ハーバード大学医学部チームが6月9日に発表した、「昨年8月には武漢で新型コロナが広がっていた」説がある。彼らは人工衛星の画像分析から昨年8月に武漢の病院の駐車場が例年以上の駐車率だったこと、SNSなどで咳や下痢の検索が増えたことを見つけた。そこですでに武漢で感染が広がっていたのではないかと憶測し、発表したのだ。しかし、そこには新型肺炎に直接つながる証拠は何もなく、武漢で8月に新型肺炎が流行した何の証拠もない。この発表に対して中国外務省華報道官は「交通量という表面的なものから結論を出すとは信じられないくらいばかげている」とのコメントを出した。その通りだ。
 問題はこのばかげた発表をAP通信、CNN、ロイター、ニューズウィークなど米の大手メディア独占資本が、そしてこれと提携する日本のほとんどのメディアがこぞって取り上げたことだ。従来、信憑性の低い情報や与太話は、嫌中ヘイトサイトや極右反中サイトが発信し、それを大手メディアが紹介して広げる形で拡散してきた。今回は逆で、「大紀元」などの極右サイトが後追いで宣伝している。反中宣伝には、もはや信憑性もクソもないのだ。                                                                 (W)


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