11月6日朝日新聞大阪本社版朝刊社会面は、「国が秘密と言えば秘密か、『防衛に支障』実は普通の建物、沖縄危惧、行政の好き勝手」を報じた。
これは、1989年「那覇市情報公開訴訟」という国が「防衛秘密」を守るという口実で、那覇市を訴えるという前代未聞の出来事に端を発したものである。この訴訟は、自衛隊那覇基地に建設されようとしていた対潜水艦戦作戦センター(ASWOC)の図面を那覇市が情報公開制度で市民に公開しようとしたことを国が差し止めを求めたものである。国は、図面公開の危険性では(1)建物の耐久性、(2)建物内の重要施設配置、(3)電気容量からコンピューター能力の推定の3点の秘密が敵に知られると主張。特に耐久性は「爆撃機からの攻撃を想定し、爆弾の威力を計算して設計」と強弁した。しかし、実際にはセンターの地下階の壁の厚さは35センチで、一般の建物と同等だった。市側弁護団事務局長は、「市側は、国が建築確認の手続きで提出した図面を持っていたから、主張は茶番だと知っていた。国は裁判所をだまそうとした」と指摘した。那覇地裁は1995年に「建物は脆弱であることは明らか」と秘密性を認めず、国が敗訴し、2001年最高裁で判決が確定した。
今日の朝日新聞の記事では、当時那覇市企画部長の方がこの訴訟を振り返り、「軍機保護法のもと多くの人がスパイ容疑で虐殺され、本土復帰後も『秘密のかたまり』の基地に囲まれた暮らしが続いた。秘密を増やせば行政の好き勝手にできるけど、もう、それはやめようと」と語り、機密保護法案が行政機関の長が秘密を指定することについて、「行政にとってこんなに都合がいいものはなく、秘密が際限なく広がるのではないか」と危惧が表明されている。
(ルーラー)