どんな料理とも相性が良く、生活習慣病の予防に不可欠な栄養素をまんべんなく摂れ、満腹感が出やすいので食べすぎを防ぐ・・・”ごはん”はまさに世界に誇る主食です。粒食のごはんは粉食のパンに比べ、食後の血糖値の上昇が穏やかで、肥満ホルモンのインスリンが急激に出ません。このように良いことづくめのごはんがいつのまにか敬遠され、脂肪が多くてインスリンが急速に出る欧米食が広まった結果、ついに日本人の血液中のコレステロール濃度は、若年層ですら米国並みになってしまいました。
そのような中で、ごはんが見直され始め、ことに最近注目されているのが、”発芽玄米”です。玄米は胚芽とぬかを付けたままの未精製の米で、水につけておけば芽を出す生命力を持った稲の実です。
発芽玄米とは、この玄米を水につけて胚芽の部分から0.5mmくらい発芽状態にしたものです。この発見は「研いだお米を少し水につけておくと、ごはんが美味しく炊ける。では、お米を水につけておくと何かの成分が変化するのか」という素朴な疑問から、研究が進められ発見されたものです。そしてなんと、玄米を水につけると、ギャバ(ガンマγアミノ酪酸=GABA)という物質が急速に増えることがわかったのです。このギャバは、脳の血流を改善して、イライラを鎮めたり、高血圧や高脂血症を改善するなど、数々の健康効果が知られています。
また、玄米のぬか部分に多く含まれるIP6は抗酸化力が強く、ガンの予防効果が数多く報告されている成分ですが、このIP6は玄米が発芽の準備状態に入ると、一部が分解してイノシトールという抗酸化力がより強い物質に変わることもわかりました。
「IP6の驚異」の著者である米国メリーランド大学のシャムスディン教授は「IP6にイノシトールが加わるとガン予防効果が相乗的に増す」と語っています。高脂血症の治療薬であるγ(ガンマ)オリザノールや、ガンの予防効果が強いフェルラ酸など、玄米のぬか部分に含まれる脂溶性の健康成分も発芽玄米にはしっかり入っています。
”健康増進機能は十分理解できるが、炊くのが面倒だし持続できない”といった玄米に対する不満を解消し、効能も強化した発芽玄米は、これからもますます注目を浴びることになりそうです。
玄米加工食品は、現在数社より発売されていますが、普通の米に比べて3倍程度価格が高いのが難点です。しかし、健康のことを考えれば、試してみる価値が十分にある優れた健康食品でしょう。