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愛を読むひと(映画)~ 「朗読者」

2009年06月27日 | 映画
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映画「愛を読むひと

この映画の原作「朗読者」を以前読んだことがあった。
原作を読んだ時、最初は主人公の少年と母親と同じぐらいの年上の女性との「青い春」的なベッドシーンの連続で、前半はちょっと辟易するような感じがあった。
それは、年齢差もあるだろうし、女性の方が美しくもない、知性に裏打ちされた高い経歴や役職があるわけでもない。むしろうらぶれた生活臭の漂う中年女という印象があるからだ。女性がぷっつりといなくなることでその関係は終わる。

しかし、ガラリと中盤、話は展開する。主人公が青年になり、授業で裁判を傍聴する。そこで、その女性と再会するのだ。しかも彼女は被告席に座っている。憎むべき戦争犯罪人として。
そして、裁判の経過により冗漫だった前半のストーリーの端々に現れていた「朗読」の意味を、主人公と一緒に読者は初めて知ることになる。

結果、女性はプライドのために抗弁したため、同じ罪のものからも責任を転嫁され、多くの罪を一人で背負うこととなる。そして、そもそもその憎むべき行いに転職したのも、自分のある秘密を隠すためだったことがわかってくる。無知とプライドのために大きな罪を犯し、重罪人として監獄へ送られた女性。

大人になった少年が、彼女のためになしうること…それは朗読…。

この後は話せませんが、前半の愛の物語と、戦争の爪あとが深く残る後半の物語とのコントラストが出色でした。

映画版ではケイト・ウィンスレットがアカデミーをはじめ主演女優賞をさらいました。ケイトの多忙さゆえ、ニコール・キッドマンが演じる予定だったそうですが、妊娠でこちらも降板。結局、ケイトが演じることになったそうなんです。
でも、細くてきれいなニコールより、たくましい感じのケイトの方がこの女性ハンナ役には合っていると思います。
とはいえ、水浴のシーンなどを観ると、本で読んだ想像のハンナより若く美しいハンナ役で、映画と文学の違いを感じます。もちろん、それでいいのだと思います。

それから、主人公の大人になった姿がレイフ・ファインズ。こういう役、合ってるなー。「ナイロビの蜂」といい、悩める役が似合います。結婚もし、子どもまでできたのに、妻とは別れ、服役する女性のために朗読者となる。
こういうの、本当の意味での離れられない愛、縁とでもいうのでしょうね。

<ストーリー>
1958年、ドイツ。15歳のマイケルは、街で具合の悪くなった彼を看病してくれたハンナに恋をした。21歳年上の彼女は、少年の一途な思いを受け入れた。毎日、彼女のアパートに通い、本を読み聞かせるマイケル。それが終わるとハンナは彼の体をていねいに洗い、ベッドへと誘う。そんな至福の時も、突然ハンナが消えて終わった。 8年後。大学の法科に通うマイケルは、ゼミで実際の裁判の傍聴することになった。そして、被告席に座るハンナを見た。暴かれるハンナの過去、そして頑なに守るある秘密。衝撃を受けたマイケルは、逃げるようにその場から去ってしまった。もし、彼が知っている彼女の秘密を明らかにすれば、減刑の余地もあったのに。

監督 スティーヴン・ダルドリー
原作 ベルンハルト・シュリンク朗読者
出演 ケイト・ウィンスレット、レイフ・ファインズ、ブルーノ・ガンツ他
上映時間 124分
TOHOシネマズ スカラ座ほか全国ロードショー公開中
公式URL http://www.aiyomu.com/



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