[映画紹介]
1985年、アフリカの飢饉を支援するために、
アメリカ音楽界のスーパースターたちが集結して
「ウィ・アー・ザ・ワールド」という曲をレコーディング。
販売した利益を飢える人々へのチャリティーとした。
この歴史的出来事の舞台裏に迫るドキュメンタリー。
この種の映像作品は
公式メイキングをはじめ、
多数存在し、若干被るところはあるが、
マイケル・ジャクソンと共に
「ウィ・アー・ザ・ワールド」を作った
ライオネル・リッチーを始め、
ブルース・スプリングスティーン、ヒューイー・ルイス、
シンディ・ローパー、ディオンヌ・ワーウック、
ケニー・ロギンス、シーラ・Eらに
直接インダビューし、
カメラマンやスタッ フの声も紹介する、
決定版的作品。
インタビューは当時と同じヘンソン・スタジオ(元A&Mスタジオ)で収録。
ハリー・ベラフォンテの発案で始まった支援活動の一つとして、
マイケル・ジャクソンとライオネル・リッチーが曲を担当、
クインシー・ジョーンズが呼びかけてスターたちを集めた。
その日は、「アメリカン・ミュージック・アワード」の授賞式で、
ミュージシャンたちがロサンゼルスに集結してきる機会を捕らえ、
この日しかない、と設定し、
授賞式を終えたスターたちがA&Mスタジオに向かった。
授賞式会場から車で運ばれたスターたちは、
どこに連れていかれるか、
何をするかも知らなかったという。
マスコミの目を逃れて、情報漏れを防ぎ、
会場は極秘だったからだ。
そして、集まった45人のスターの前で
エチオピアの飢餓状態を関係者から伝え、
全員がこのイベントの意義を把握して、録音が始まった。
曲が出来たのは、その8日前。
その創作の過程をライオネルが証言する。
そして5日前に、マイケルとライオネルが歌ってデモテープを製作、
収録4日前に、譜面と共に、
各自に送られた。
と言っても、現場は大変。
あくの強いスターたちの集まりだ。
それを見越して、
クインシーはドアの上に
「CHECK YOUR EGO AT THE DOOR」という紙を貼った。
「エゴは入口で預けてくれ」と。
集まったのは、
マイケル、ライオネルをはじめ、
シンディー・ローパー、ウィリー・ネルソン、
ボブ・ディラン、レイ・チャールズ、
ダイアナ・ロス、スティービー・ワンダー、
スモーキー・ロビンソン、ポール・サイモン、
ティナ・ターナー、ディオンヌ・ワーウィック、
ビリー・ジョエル、ブルース・スプリングスティーン
ヒューイ・ルイス、アル・ジャロウ
ケニー・ロギンス、ケニー・ロジャース
シーラ・E、ホール&オーツ
ハリー・ベラフォンテ、ベット・ミドラー
ら錚々たるメンバー、45人。
録音は深夜から始まり、
まず、合唱の録音。
ソロ部分の録音は深夜4時から
午前8時まで続いた。
その様子は公式ビデオで公開された。
当時、秋葉原の電器店の店頭で
繰り返し流されていた。
様々な裏話も本作に描かれている。
デモテープはカセット。
まだCDなど、影も形もなかった時代だ。
ソロパートの割り振りは、
歌手たちそれぞれの声域で決めたという。
カードを並べて、人物の配置を決め、
床に貼ったテープに名前を記入する場面も出て来る。
「アメリカン・ミュージック・アワード」には
マイケルは欠席し、
一足先にスタジオで、
コーラスのマイクテストのためのガイド・ボーカルで歌っていた。
スワヒリ語の歌詞の件でもめ、
一人が退場した他は、全員が夜明けまで残った。
プリンスは結局やって来ず、
そのパートはヒューイー・ルイスが歌った。
ボブ・ディランがどう歌ったらいいか困惑した様も出て来る。
レコーディングが終わり
皆がそれぞれに帰っていく中で、
ダイアナ・ロスが最後まで残り、
「終わって欲しくない」と言って泣いたという話も出て来る。
曲が完成すると、
1985年4月5日に、
世界中の8千以上ものラジオ局で
世界一斉同時オンエアされ、
その後、
アメリカだけで800万枚のシングルが売れ、
全世界では2000万枚以上の売上を記録、
シングル・アルバム・ビデオの合計で6300万ドルの収入となり、
全ての印税はチャリティーとして寄付された。
ビルボード誌では、
1985年4月13日から4週連続で1位を獲得した。
欠席したプリンスもアルバム盤に楽曲を提供している。
これだけの超一流アーティストを一堂にそろえて
一晩でレコーディングしたなんて
奇跡中の奇跡。
マイケル、ライオネル、クインシーらの
人徳の賜物だと思う。
既に39年前の出来事だが、
当時のスターたちのきらめくような顔が見れて、
胸が熱くなる。
監督は、ブルース・リーのドキュメンタリー「Be Water」で知られる
バオ・グエンが務めた。
ラストで、公式映像が出るかと思ったが、
権利の関係か、流れなかった。
当然観賞後、YouTubeのお世話↓になった。
https://www.youtube.com/watch?v=wXTcV0F4Dm0
Netflixで、1月29日から配信。
歌詞は、著作権上、出せないが、
大意は、次のとおり。
時が来た
ある叫びを聞く時が
死に瀕した人々に
手を差し伸べる時だ
どこかの誰かが
変えてくれるだなんて
知らんふりの日々はもう終わりだ
僕らは一つの世界
僕らはその子供
僕らこそがもっと明るい日にできる
だから分け与えよう
本当さ もっと良い日にできる