茶の湯 徒然日記

茶の湯との出会いと軌跡、お稽古のこと

利休百首10 点前こそ

2008-07-03 15:56:16 | 利休百首
10.点前こそ薄茶にあれと聞くものを 麁相になせし人はあやまり


 点前の基本は薄茶にあると聞くものなのに、それをいい加減にする人は間違っている。
 相伝物だから、濃茶だからと丁寧に点前して、薄茶をいい加減にするのは誤りである、点前の巧拙は運びの平点前薄茶にこそ最も表れるという教えです。
 井口先生は、書道の例をあげ、楷書だから丁寧に書き、行書だから少々麁相(そそう)にかき、草書だから最もいい加減に書くという理屈はなく、草書になるほど難しい。それと同様に薄茶点前がしっかりできていないのでは、台子や濃茶の点前がしっかりできるはずがないとしている。
 
 一番最初に学んだ運びの薄茶平点前。やがて、棚や台を使ったり、季節の点前が増えたり、と学ばなければならないことが増えていき、新しい点前を覚えたり、次に進むことばかりを考えて稽古を積んできた。運びの薄茶点前は自分の中で一番簡単なものとして、いつの間にか風炉と炉の切り替わる時期に1回行うだけになり、それも慣れる為にという位の目的でしかなくなっていた。しかし、四カ伝を学び終わり、相伝稽古を始めたころ、平点前の意味が見えてきた。あの中に全ての基本が盛り込まれていることに気付き、自分のひとつひとつの動作を振り返るようになった。
 この言葉は、私にとって今でこそ深く感じ入ることができる一首となった。多分、上の点前を学んだ人の方がこの首のいわんとすることは理解できるのではないかと思う。
 割り稽古を終えて初めて続けて一通り平点前できた時の大学時代の喜びと感動を思い出し、基本に立ち戻ってこれからも繰り返し平点前を行いたいと思う。
  
 最後に、井口先生はこう続けている。
「茶道だけではない。何事でも基本が大事である。その基本を麁相にしては芸の上達はのぞまれない。」 
 おっしゃる通りである。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 濃茶と薄茶の適量 | トップ | 亀蔵棗 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

利休百首」カテゴリの最新記事