四月に使用される透木釜(羽のある釜)のお話をしようと書き始めたら、茶道を知らない方には羽のある釜がどういうものか想像がつかないかなと思い直し、まずは釜の製作工程についてお話しようと思います。
以前書いた釜の予備知識も宜しければご参照下さい。
茶道具-釜- http://blog.goo.ne.jp/m-tamago/e/2d432d19a6c778667316cc61ae1ccb4b
釜の製作工程は以下の通り。言葉だけですが想像がつくでしょうか。
①デザイン作り、下図描き(模様や形など)
②下図から木型を作る。釜を上下に分けた半円形の木型で、軸を中心にして木型を回すと立体的な釜の形になる。
③鋳型作り。木型を元に外型を特殊な粘土で作り焼き上げる。これも上下二つを合わせる形になっている。デザインにより外型を掘って模様を作る。
④外型から釜の中を空洞にする為の中型(中子という)を作り、同様に焼く。
⑤中子を釜の厚さ分だけ削る。
⑥外型の中に中子を入れ、上下型を正確に合わせてしっかりしめる。
⑦型の上部(釜の底)に熔けた鉄を流し込む。 釜底を見るとへその様な丸いものがありますが、そこが鋳込みの痕跡です。
⑧鋳上がった釜は外形をはずし、中子は砕いて取り除く。
⑨釜を一度赤く焼き、焼膚をはがす。
⑩最後に釜膚に漆と酸化鉄を混ぜたものを塗って着色する。
結構手間のかかる作業です。外と中の鋳型作りを精巧にしないと仕上がりも違ったものになってしまいます。
上下に分かれた型を使って鉄を流し込むので、上下間の繋ぎ部分には当然鉄が流れ出ます。はみ出た鉄の部分を羽と呼びます。ちょうど釜から羽が生えたように見えるからでしょう。出来上がった後に削りとった(羽落とし)釜が普段目にすることの多い釜ですが、景色として上下繋ぎ部分の羽を残したり、わざわざ円盤みたいに羽ができるように鋳型を作る釜もあります。この羽があり、透木という木を使って炉にかける釜のことを特に透木釜と呼びます。
透木・透木釜の由来と、四月に使用する訳については後日ご説明したいと思います。これで羽のある釜とはどんなものか、お分かり頂けたでしょうか。
釜はもともとは湯を沸かしたりご飯を炊くものとして利用されてきたのが、茶道の流行と共に茶の湯専用の釜が製作されるようになりました。先人は、丸や四角と形を変えてみたり、釜の口や蓋の形を工夫したり、釜肌に模様を施したり、羽を作ってみたりして様々な釜を生んできたのでしょう。利休様の時代に炉の大きさが定まるにつれ、釜の大きさもある程度決まってきたものと思われます。
釜の外型は高価な釜だと1回で壊してしまうようですが、何度か使用することもできるそうです。ただ、中型(中子)は壊して取り出すので、都度作り直します。何でもいいものを作るには時間と手間がかかりますね。
それにしても、茶道具には昔から伝わる木型が存在して、今も伝承されて再現できるということには感動します。小さな木型から左右対称の精巧な立体の道具を作る。昔の人の知恵はすごいものです。
以前書いた釜の予備知識も宜しければご参照下さい。
茶道具-釜- http://blog.goo.ne.jp/m-tamago/e/2d432d19a6c778667316cc61ae1ccb4b
釜の製作工程は以下の通り。言葉だけですが想像がつくでしょうか。
①デザイン作り、下図描き(模様や形など)
②下図から木型を作る。釜を上下に分けた半円形の木型で、軸を中心にして木型を回すと立体的な釜の形になる。
③鋳型作り。木型を元に外型を特殊な粘土で作り焼き上げる。これも上下二つを合わせる形になっている。デザインにより外型を掘って模様を作る。
④外型から釜の中を空洞にする為の中型(中子という)を作り、同様に焼く。
⑤中子を釜の厚さ分だけ削る。
⑥外型の中に中子を入れ、上下型を正確に合わせてしっかりしめる。
⑦型の上部(釜の底)に熔けた鉄を流し込む。 釜底を見るとへその様な丸いものがありますが、そこが鋳込みの痕跡です。
⑧鋳上がった釜は外形をはずし、中子は砕いて取り除く。
⑨釜を一度赤く焼き、焼膚をはがす。
⑩最後に釜膚に漆と酸化鉄を混ぜたものを塗って着色する。
結構手間のかかる作業です。外と中の鋳型作りを精巧にしないと仕上がりも違ったものになってしまいます。
上下に分かれた型を使って鉄を流し込むので、上下間の繋ぎ部分には当然鉄が流れ出ます。はみ出た鉄の部分を羽と呼びます。ちょうど釜から羽が生えたように見えるからでしょう。出来上がった後に削りとった(羽落とし)釜が普段目にすることの多い釜ですが、景色として上下繋ぎ部分の羽を残したり、わざわざ円盤みたいに羽ができるように鋳型を作る釜もあります。この羽があり、透木という木を使って炉にかける釜のことを特に透木釜と呼びます。
透木・透木釜の由来と、四月に使用する訳については後日ご説明したいと思います。これで羽のある釜とはどんなものか、お分かり頂けたでしょうか。
釜はもともとは湯を沸かしたりご飯を炊くものとして利用されてきたのが、茶道の流行と共に茶の湯専用の釜が製作されるようになりました。先人は、丸や四角と形を変えてみたり、釜の口や蓋の形を工夫したり、釜肌に模様を施したり、羽を作ってみたりして様々な釜を生んできたのでしょう。利休様の時代に炉の大きさが定まるにつれ、釜の大きさもある程度決まってきたものと思われます。
釜の外型は高価な釜だと1回で壊してしまうようですが、何度か使用することもできるそうです。ただ、中型(中子)は壊して取り出すので、都度作り直します。何でもいいものを作るには時間と手間がかかりますね。
それにしても、茶道具には昔から伝わる木型が存在して、今も伝承されて再現できるということには感動します。小さな木型から左右対称の精巧な立体の道具を作る。昔の人の知恵はすごいものです。
たぶん今までお目にかかったことがないと思うのですが、もしかしたら出会っていたのに気づかなかったのかもしれません。
羽の大きさというのはどれくらいなのでしょうか?
釜の製作工程を興味深く拝読いたしました。
わたしは今まで考えたこともなかったのですが、知るとますます興味と楽しみが広がるような気がしますね。
たまごさんのお陰です。ありがとうございます。昔から伝わる木型というのが、あるのですね。すごいなー。またいろいろお教えください。楽しみにしております。
久しぶりのお稽古、とても楽しかったです。
あ~~、、頭でくるくる色々なお釜がでるのですが
言葉にでない今日この頃。なさけないです(涙)
工程わかりやすく書かれていてよかったです☆
鉄釜は手入れがねぇ~(汗)常に使用していると
よいのですがしまいこんでいると錆からくずれて
くるみたいになって水漏れが~。
私は渡米する時に電気釜を持参しました。海外便は
やはりキツイです。水差し蓋、茶碗もばりばり割れました(ToT) お道具ってやはり常に愛でながら使って
いないと精彩を欠きますね(反省)
*毎回拝読するのが本当に楽しみ♪
m-tamagoさんはアップなさるのがたいへんですよね。
ありがたく勉強させていただいております。
表では透木釜はどちらかというと3月に使います。
透木の扱いとか、炭手前のとき釜敷の出す位置とか、
(釜の羽の大きさを考えて於かないと釜を動かすときのさわりになりる)勉強することが多いです。
山形は茶釜の産地ですが作業場は見たことが
ありません(ハズカシイ事)
透木釜、もしかしたら出会っているかもしれませんよ。
見たら、ああこれか!って。
羽の大きさは釜によりそれぞれなので一概に言えませんが、大きくても炉に入る大きさまでになります。
また近いうち透木釜については書きますね。
釜の作り方は以前、千家十職の大西さんが作業している様子をテレビで拝見しました。とても面白かったです。いつか実際に作っているところを拝見してみたいものです。
鉄を流しいれるところなど暑そうですね~。
昔から伝わる木型、本当にすごいですね。
本当に、一つとして同じ釜はないと思うと愛着も湧きますね。湯が沸いていい音がしてくるとうれしくなります。
お稽古楽しまれた様子、何よりです。
他のものもですがしまいこんでおくと古びた感じになったり、錆びたりかびたりしちゃいますよね。
楽しく読んで下さるとのこと、ありがとうございます。
いつまで続くのかって感じですが、思いつくまま気の向くまま、今後ともどうぞおつきあい下さい。間違っていることは教えて下さい。
表では透木釜は3月なのですか、、、。なるほど~。
本当に透木ひとつでも扱いの手が増えるので勉強になりますよね。
私も実際の工程は目にしたことがないのです。テレビと本で見ただけでー。いつか見学してみたいですが。
グランマさん、ご覧になることがあったらどんな感じだったか是非教えて下さい。