第六感

　人間は五感を持っています、視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚。人が外界を感知するための感覚機能のうち特に重要とされる５つ。
　これ以外に時に超能力とさえみなされる第六感、いわゆる直感があります。動物も地震や火災などの前に避難するのは予知という直感からでしょうし、人間でいえば、いわゆる虫の知らせも直感のひとつでしょう。　　
　自身のことでいえば、入院していた祖母のお見舞いに行くはずだった日より一日前に何故か強烈に行かなくてはと思い、予定を変更して行ったところ到着したころには危篤状態、おばあちゃん！と声をかけて数分後に祖母が息をしなくなったという経験があります。一日どころか一時間遅れていたら間に合わなかったわけで、まさに直感だったのでしょう。直感は無意識の働きながら、過去の学習とわずかな周囲の状況変化から異常事態の判断を下しているもの、だそうです。無意識の力ってすごいですね。

　脳科学者の茂木健一郎さんも、『脳の中の人生』（中公新書）の中で、「直感」の重要性について述べています。
　人は大脳皮質で理性的に判断することに加えて、
　「内臓感覚」といわれる情動系の反応を判断材料としている、と。
　特に、正解を見つけることが難しい問題などは、
「よくわからないけれどもこれが正しい」という直感が、
大きく事態を発展させることにつながる、と。
　
　直感は特別な能力ではなく、問題はそれに気づくか気づかないか。自分の身体は常に何かを感じているはずで、それに敏感か愚鈍かにすぎません。意識をむけるようにすれば、感受することは可能なはず。ただ、近年は頭で考えたり、機械に頼ることが増えていて、そうすると身体で感じるものが感じ取れなくなっている可能性は高い。人間以外の動物は理性で考えることがないので、身体で感じる能力が高いということになるでしょう。
　私もついつい頭で考える性質なのですが、自分の身体がどう反応しているのか、そのことにもっと敏感になるべきでしょう。わかりやすい例でいえば、緊張したり嫌な人に会う時は胃がキリキリ傷むとか、好きな人に会うとドキドキするとか身体は何かしらの信号を発しています。誰かに出会った時、自分の中にどんな直感が生まれるのか、新しい事象を体験した時、どんな直感が自分に生じるのか、そのインスピレーションを大切にしたいですね。案外頭で考えたことよりこの第六感の方が当たっていたりするものですから。