茶の湯 徒然日記

茶の湯との出会いと軌跡、お稽古のこと

『茶遊庵』の初日 稽古とは一より習い十を知り 十よりかえるもとのその一

2022-07-29 16:10:47 | 茶遊庵おしらせ
 暑い日が続いています。
 コロナも猛威を振るって、まだ先が見えません。
 支えて下さる保健所や医療従事者の方に深く感謝しつつ、
自身は自己免疫力を上げ、行動に気を付ける、いざという時の準備を整えるなど
できる対策をしつつ、前を向いて進むしかありません。

 『茶遊庵』のお稽古もそろそろ6か月目に入ります。
 通ってくださる方も増えて、私自身もきちんとした内容を伝えたいとの思いを
強くしています。責任を感じる=自身の精進の励みにもなっています。
茶道の楽しさを正しい知識と共に広めたい。そして、その人なりの茶道を味わって頂きたい。

 『茶遊庵』で嬉しいことの一つに、何でも疑問があれば気軽に聞けることとおっしゃった方がいらっしゃいました。小さなことでも疑問があればいつでも聞いてほしいです。わからなければ調べてお答えできますし、私自身の勉強にもなるからです。


 『茶遊庵』で教えることで私は最初のお点前からもう一度学び直している感があります。

 利休百首に、「稽古とは一より習い十を知り、十よりかえるもとのその一」という言葉あります。
”稽古とは一から習って十まで知った後、また一に戻って学び直す、
その時戻った一は、一番最初に習った時の一とは全く違ったものになり、学ぶ自身の心持も全く違うものである。繰り返しているうちに茶道の真意が理解できるようになる。”

 まさにその通りであると、教えることで強く感じています。
今、お稽古している方も、この細かい作法が何の意味があるのか?と思われるかもしれませんが、それを重ねていくことで、ある時、理屈がわかり繋がっていく、世界が広がっていく瞬間があると思います。
私自身、更なる茶道の世界を見るために一生繰り返し学んでいくつもりです。
十よりかへるもとのその一
https://blog.goo.ne.jp/m-tamago/e/7982496665caba8fb31f35315c1a672c


 さて、『茶遊庵』の初日は、なかなか忙しいです。
 親子であっても大人であっても、初日に指導する内容は変わりません。
 毎回、大変だったかな、茶道を嫌になってしまわないかなと心配していたのですが、
新しい知識を学ぶことに楽しさを感じる方がほとんどで、楽しかった!と
お帰りになります。

『茶遊庵』生徒の声
https://sayuuan.amebaownd.com/pages/5601655/page_202112051513

 
 まずは床の間の前にてご挨拶。
 床の間の拝見の仕方。
 新しく準備した帛紗挟みとその中身の説明。
 襖の開け閉め
 畳の座り方
 お辞儀の仕方
 畳の歩き方・向きの変え方
 水屋の一通りの説明
 盆略点前の仕込み
 帛紗の扱い・捌き方
 割稽古の開始

 勿論、これら全てをすぐに覚える必要はなくて、そういえば最初にこれ聞いた気がする、
やった気がする、位でよいのです。また出てきた時に何度でも話します。

 ただ、どれも茶道をする上でずっとついてくる内容なので、最初に一通りの説明をします。

 大きなお社中では、こういったことは直接先生からというより先輩が教えてくれたり、徐々に見ながら覚えていく内容かもしれません。
私自身も大学茶道部では先輩がやっていることを真似したり手伝ったりして徐々にできるようになっていきましたし、社会人になってからも、お稽古場に通ううちに先輩の姿からなんとなくこういうものだと理解して、できるようになっていたことが多くあります。
 『茶遊庵』でも今学んでいる生徒がいずれは後輩に指導できるようになって頂きたいなと願っています。
 実際、親子茶道はお母様は月1回、お嬢様は月2回習っているので、お嬢様が先輩となり、お母様に教えるという微笑ましい風景が見られます。



 割稽古が終わると、最後に薄茶と美味しい主菓子を頂きながら座学をします。
初日は、
〇割稽古した盆略点前の由来や道具について
〇帛紗について
〇清めるということについて
プリントを使ってお話をします。
自分が学んだことをプリントを使って整理してもらい、次に繋げられたらとの想いです。
ハードなお稽古の後の季節の和菓子と抹茶は、皆さん、とても美味しいようで、リラックスしたいい表情をしておられます( ´∀` )


 教えていて反省点やたくさんの気づきがあります。

 一番最初の生徒の時、帛紗は汚れても洗わないということをお伝えし忘れたことに気づき、
メールでお知らせしたところ、既に洗濯済だったということがありました。
 長く習っている自分には当たり前のことですが、細やかな部分も自分が初心者だった時のことを思い返しながら伝えていかなければと思った反省すべき出来事でした。

 初日は教えることがいっぱいなので、私自身が必死で、これまで
生徒が正座で足が痛いことに気づかないことも多々ありました。ごめんなさい。
正座はしなれないので、最初から長時間は辛いですね。
大事なところでは正座をして頂きたいですが、それ以外は慣らしながらでよいと思っています。
正座も慣れてくると自分で上手に座れるようになるので、
やれる範囲で頑張っていけばよいのです。
正座は辛いのでとおしりの下に小さな座椅子を挟んでお稽古されている方もいらっしゃいます。
足を気にせずお点前に集中できる方が充実した時間になりますから。


 お稽古にはほとんどの方が洋服でいらっしゃいます。
私自身も学生時代はずっと洋服でお稽古しましたし、OL時代もお茶会の時以外は洋服でよいという社中で、いわゆるお稽古着を身に着けてのお稽古でした。
 茶道のお稽古というと、着物や正座を気にする方が多いのですが、そういう理由で茶道を学ばないのは本当にもったいないことだと思うので、私自身は重要視していません。
ただ、茶道をやっているうちに着物を着てみたくなったとか、必要があって着るようになったとなれば素敵だなあと思います。私も茶会では着物参加だったため、必要に迫られてハクビさんで一通りの着付けを習いました。

 最初からお嬢様(小学二年生)だけ必ず浴衣でお稽古される親子さんがいます。
お母様がささっと着せるのですが、帯はマジックテープで止める簡易式のものです。
これがいい。
 帛紗の懐中の仕方、腰へのつけ方、お菓子を頂く時の懐紙の出し方、扇子の出し入れ、着物の足さばきなど、洋服では扱えない所作が身に着く。小さいころからやっているかどうかは大きいと思います。
先日は、親子で水玉のワンピースに袖付きの上着を羽織り、お手製の帯を巻いてお稽古されました。
(巻頭の写真の通りです)
 先月からお入りになった親子さんは、おばあさまが茶道を習っていて、お稽古着を作って下さったそうで、初おろしされてお稽古にのぞみました。

 お稽古は洋服でいいですよ!とは思っていますが、二部式の稽古着や、着物でするお稽古は断然お勧めだと気づきました。

 私自身も点前の順番はできていても、いざ着物でやってみたら、道具の位置取りが難しかったという経験があります。着物だと袖があるので、動かし方次第で道具に当たってしまったり、体の向きを変えるのにも着物の前が乱れてしまったり、やはり着物でなければ経験できない事象があるものなのです。


 月2回の自身のお稽古は、ここ1年は必ず着物で出かけています。
最初は面倒くさくて、気合が必要でした。
お稽古に行く前に着物を着るために十分な時間をとらなければならない!
着物一式を前日に準備しておかなければ!
明日は忙しいから洋服でもいいんじゃない?という悪魔のささやき などなど。
ですが、回数を重ねると慣れてきて、着物と下着類を一式にしておいて朝着るだけと思えるようになりました。
『茶遊庵』を始めるにあたり、先生に着付けについて教えを乞うた時、先生は「ここ一年、上手な着付けとは言えなかったけれど着物を自分なりに着ていたから、少しポイントを押さえるだけできれいに着られるようになったのよ、よかったわね。」とおっしゃいました。実際、先生に教えて頂いた箇所を直すと、どこを締めれば着崩れないか、自分が楽に過ごせるかがわかるようになってきました。
茶道のお稽古と同じで、これも回数、繰り返しなのでしょう。


 最近、自身は茶箱のお稽古をしています。
昨年集中して取り組んだので、手を動かし始めると思い出すスピードも速くなりました。
茶箱のサイズ
https://blog.goo.ne.jp/m-tamago/e/f4a4c9567d96b993c6689c8b85805dd3

 裏千家のお点前の課目は多いので、全部を完璧に覚えることは大変です。
まずは見様見真似で繰り返していく、年月を経ると実は身についているものです。
言い訳みたいですが、忘れてもいいのです、完璧でなくてもいいのです、
ただしっかり身につけよう、精進しようという気持ちを持ち続けて取り組んでいこう、と伝えたいです。
季節を楽しみ茶室の雰囲気を味わい、リラックスしに来たいという方もいらっしゃるかと思いますが、お点前自体がそのうち集中してリラックスできる時間に繋がっていくので、是非取り組んでみてほしいです。


 習いにきてくれた生徒には大人、子供問わず、私の今持っている全てを伝えたいと思います。
一緒に一服の茶を楽しみましょう。



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2 コメント

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自然数の本性[1] (もみじ葉の石に潜みし十牛図)
2023-12-02 19:48:38
  ≪…「稽古とは 一より習い十を知り
  十よりかえる もとのその一」…≫を、数の言葉ヒフミヨが、平面からの送りモノとして眺めると、[もとのその1]は、[十牛図]に観る一連の流れに[一を聞いて十を知る]が見とれる。
 これは、五色の十の[五蘊物指]から[1]が生まれるようだ・・・
 この物語の淵源は、3冊の絵本の力で・・・
 すうがくでせかいをみるの
 マンマルさん
 もろはのつるぎ
     (有田川町ウエブライブラリー)
返信する
自然数の本性 (m-tamago)
2023-12-04 12:22:32
コメントをありがとうございます。
数字や禅の教え、深いですね。
まだまだ勉強中です。
絵本は図書館で拝見してみたいと思います。
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