先日紹介した、「彦十蒔絵」。
あそび心の蒔絵 彦十蒔絵 茶道具
https://blog.goo.ne.jp/m-tamago/e/2e12d256960c7d74831d3ecf9c45f096
今回は、日本古典 源氏物語に関する作品について。
初音源氏物語 銘々皿 五枚組
黒地に金色で、絵や文字が描かれている銘々皿。
シックだけれど華やかでおしゃれ。
これらの絵や言葉は、『源氏物語』 第二十三帖「初音」の場面をモチーフにしているそうだ。
WAWAさんによると、「初音」には娘を想う母が和歌を通して描かれていて、それゆえにこれをモチーフにした嫁入り道具を娘に持たせ幸せを願う習慣もある、というお話だった。
ネットで検索すれば、その和歌も出てきますよ、ということだったので、調べてみました。
「初音」は、『源氏物語』五十四帖のうちの第二十三帖。
二十三帖が「初音」と名付けられたのは二十三帖の中の以下の部分によるものです。
六条院と呼ばれる光源氏、36歳の新春、紫の上と歌を詠み交わし、新年を寿いだ。
そんな中、紫の上の下で養育されている明石の姫君に、生母明石の御方から贈り物と和歌が届く。
“年月をまつに引かれて経ふる人に今日鶯の初音聞かせよ”
長い年月、待っている人にせめて今日鶯の初音を聞かせてください。
鶯の音の聞こえない場所では生きている甲斐もありません。
と実母なのに、小さいころ別れて以降、一緒に暮らすことのできない嘆きを詠んでいる。
源氏は娘との対面も叶わぬ明石の御方を哀れに思い、明石の姫君(明石の御方が実母とは知らない)
に返事を書くよう勧める。
“引き分かれ年は経ふれども鶯の巣立ちし松の根を忘れめや”
お別れして年月は経ちましたけれど、鶯は巣立ちした松の根を忘れましょうか。
第二十三帖はもっと長いお話ではありますが、
この銘々皿はこの和歌の部分を絵や文字にして散りばめています。
梅の木や、松=待つの言葉に掛けられたり。
江戸時代の教養人の子女は『源氏物語』をこの「初音」から学んでいったそう。
また、三代将軍徳川家光の長女千代姫(当時数え三歳)の婚礼調度の一つ、
国宝「初音蒔絵調度」は、「初音」の巻にちなんだものだそうで、
これがWAWAさんがおっしゃっていたお話と繋がりました。
「初音」の場面の正月元旦は、ちょうどめでたい子(ね)の日で、
春の訪れを告げる鶯の「初音」と「初子」を重ねた題材で、
婚礼にふさわしいとされて調度のモチーフに選ばれたのです。
調べたところ、なんと今、この「初音蒔絵調度」が徳川美術館で一挙公開されているようです!
こんなご時世ですが、お近くの方は是非足を運んではいかがでしょうか。
また、行けない方も、こちらのHPで一部を拝見することができます。
写真だけでもなんとも豪華で見事ですね~。
*********************************
徳川美術館・蓬左文庫開館80周年記念春季特別展 全点一挙公開
国宝 初音の調度 日本一の嫁入り道具
https://www.tokugawa-art-museum.jp/exhibits/planned/2015/0411/
三代将軍家光の長女 千代姫は、1639年(寛永16年)、わずか数え年三歳で尾張徳川家二代光友に嫁入り。
千代姫の婚礼調度は、意匠が源氏物語の初音の帖にちなんだもの47件、胡蝶にちなんだもの10件と、染織品・金工品を加えた総計70件が現存、それらが一挙に公開されている。
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このことから、その後も「初音」をモチーフにした婚礼調度品は色々あるようです。
私は今回の彦十蒔絵さんの作品を拝見して、源氏物語と婚礼調度品に関連があることなど、
初めて知りました。
説明を聞きながら作品を見ると、ちりばめられた初音のモチーフが意味を持って動き始めます。
彦十蒔絵さんの作品によって、
丁寧にご説明下さったWAWAさんにお会いしたおかげで、
また新しい知識を増やすことができました。
出会いに感謝です。
彦十蒔絵を率いる若宮隆志さんがどういう思いで作品作りをされているのか、
以下のページを見つけましたので、参考までに添付します。
インタビュー 若宮隆志さんは何をつくりだしているのか
https://media.b-ownd.com/archives/article/%e8%8b%a5%e5%ae%ae%e9%9a%86%e5%bf%97%e3%81%af%e4%bd%95%e3%82%92%e4%bd%9c%e3%82%8a%e5%87%ba%e3%81%97%e3%81%a6%e3%81%84%e3%82%8b%e3%81%ae%e3%81%8b
あそび心の蒔絵 彦十蒔絵 茶道具
https://blog.goo.ne.jp/m-tamago/e/2e12d256960c7d74831d3ecf9c45f096
今回は、日本古典 源氏物語に関する作品について。
初音源氏物語 銘々皿 五枚組
黒地に金色で、絵や文字が描かれている銘々皿。
シックだけれど華やかでおしゃれ。
これらの絵や言葉は、『源氏物語』 第二十三帖「初音」の場面をモチーフにしているそうだ。
WAWAさんによると、「初音」には娘を想う母が和歌を通して描かれていて、それゆえにこれをモチーフにした嫁入り道具を娘に持たせ幸せを願う習慣もある、というお話だった。
ネットで検索すれば、その和歌も出てきますよ、ということだったので、調べてみました。
「初音」は、『源氏物語』五十四帖のうちの第二十三帖。
二十三帖が「初音」と名付けられたのは二十三帖の中の以下の部分によるものです。
六条院と呼ばれる光源氏、36歳の新春、紫の上と歌を詠み交わし、新年を寿いだ。
そんな中、紫の上の下で養育されている明石の姫君に、生母明石の御方から贈り物と和歌が届く。
“年月をまつに引かれて経ふる人に今日鶯の初音聞かせよ”
長い年月、待っている人にせめて今日鶯の初音を聞かせてください。
鶯の音の聞こえない場所では生きている甲斐もありません。
と実母なのに、小さいころ別れて以降、一緒に暮らすことのできない嘆きを詠んでいる。
源氏は娘との対面も叶わぬ明石の御方を哀れに思い、明石の姫君(明石の御方が実母とは知らない)
に返事を書くよう勧める。
“引き分かれ年は経ふれども鶯の巣立ちし松の根を忘れめや”
お別れして年月は経ちましたけれど、鶯は巣立ちした松の根を忘れましょうか。
第二十三帖はもっと長いお話ではありますが、
この銘々皿はこの和歌の部分を絵や文字にして散りばめています。
梅の木や、松=待つの言葉に掛けられたり。
江戸時代の教養人の子女は『源氏物語』をこの「初音」から学んでいったそう。
また、三代将軍徳川家光の長女千代姫(当時数え三歳)の婚礼調度の一つ、
国宝「初音蒔絵調度」は、「初音」の巻にちなんだものだそうで、
これがWAWAさんがおっしゃっていたお話と繋がりました。
「初音」の場面の正月元旦は、ちょうどめでたい子(ね)の日で、
春の訪れを告げる鶯の「初音」と「初子」を重ねた題材で、
婚礼にふさわしいとされて調度のモチーフに選ばれたのです。
調べたところ、なんと今、この「初音蒔絵調度」が徳川美術館で一挙公開されているようです!
こんなご時世ですが、お近くの方は是非足を運んではいかがでしょうか。
また、行けない方も、こちらのHPで一部を拝見することができます。
写真だけでもなんとも豪華で見事ですね~。
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徳川美術館・蓬左文庫開館80周年記念春季特別展 全点一挙公開
国宝 初音の調度 日本一の嫁入り道具
https://www.tokugawa-art-museum.jp/exhibits/planned/2015/0411/
三代将軍家光の長女 千代姫は、1639年(寛永16年)、わずか数え年三歳で尾張徳川家二代光友に嫁入り。
千代姫の婚礼調度は、意匠が源氏物語の初音の帖にちなんだもの47件、胡蝶にちなんだもの10件と、染織品・金工品を加えた総計70件が現存、それらが一挙に公開されている。
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このことから、その後も「初音」をモチーフにした婚礼調度品は色々あるようです。
私は今回の彦十蒔絵さんの作品を拝見して、源氏物語と婚礼調度品に関連があることなど、
初めて知りました。
説明を聞きながら作品を見ると、ちりばめられた初音のモチーフが意味を持って動き始めます。
彦十蒔絵さんの作品によって、
丁寧にご説明下さったWAWAさんにお会いしたおかげで、
また新しい知識を増やすことができました。
出会いに感謝です。
彦十蒔絵を率いる若宮隆志さんがどういう思いで作品作りをされているのか、
以下のページを見つけましたので、参考までに添付します。
インタビュー 若宮隆志さんは何をつくりだしているのか
https://media.b-ownd.com/archives/article/%e8%8b%a5%e5%ae%ae%e9%9a%86%e5%bf%97%e3%81%af%e4%bd%95%e3%82%92%e4%bd%9c%e3%82%8a%e5%87%ba%e3%81%97%e3%81%a6%e3%81%84%e3%82%8b%e3%81%ae%e3%81%8b